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14世紀の音楽~イタリア・イギリス~

14世紀の音楽<イタリア>

 

14世紀のイタリアでは、単旋律の歌曲がまだ大多数を占めていましたが、多声のイタリア語世俗歌曲として、マドリガーレやバッラータが作られていました。

 

フランチェスコ・ランディーニはこの時期を代表する音楽家で、盲目のオルガニストとして知られています。

 

徐々にフレーズ末での終止定型が形を整え始めたこの時期、導音からそのまま主音に上行するのではなく、一度6度音に下行してから主音に解決する形が頻繁に見られ、これはランディーニ終止と呼ばれています。

 

但しこれはランディーニの作品に限らず、14世紀から15世紀初頭の作品で多用された終止定型であり、この時期の特徴的終止定型となっています。

 

14世紀末に向かい、当時教皇庁が置かれていたアヴィニョンなどの南フランスや近隣の北イタリアでは、極度に複雑な記譜法・リズム技法を多用する音楽がもてはやされる風潮がありました。

 

こうした音楽は、アルス・ノヴァに対してアルス・スブティリオル(繊細な技法)と呼ばれることもあり、その後もほとんど類を見ないほどの込み入ったリズムの絡まり合いが特徴となりました。

 

いかに複雑な表記が可能かを競うような記譜法は、手段ではなく目的そのものと受け止められ、ある種世紀末的な趣すら感じさせるものです。

 

 

14世紀の音楽<イギリス>

 

次の時代のルネサンスの幕開けに向けて、新しい音楽の響きの可能性を提示したのはイギリスでした。初期のオルガヌムにも明確に現われているように、中世の時期の音楽を特徴づけているのは、単純な数比で表される8度(2:1)、5度(3:2)、4度(4:3)を協和音程とする響きでした。

 

3度や6度の響きが経過的に用いられることも当然ありますが、曲頭や曲尾、重要なポイントで用いることのできるのは、完全協和音程とされた8度、5度、4度のみでした。

 

イギリスでは元々3度や6度の響きを多用する傾向があったことは、当時の理論書などでも繰り返し述べられており、こうした響きを特徴的に表しているのがイングリッシュ・ディスカントと呼ばれる聖歌の即興的な多声唱法です。

 

これは、聖歌の旋律に3度や4度の音程関係の旋律を重ね、6の和音(3和音の第1転回形)を連ねたような響きを生み出すこともあり、これはファバードンとも呼ばれ、大陸で用いられる同じ様な響きのフォーブルドンとも影響関係があると考えられています。

 

イギリス風の甘美な響きを伝えたとして当時から非常に高く評価されていたのが、イギリスの音楽家ジョン・ダンスタブルです。

 

フランスの王位継承権をめぐるフランス王家とイギリス王家の間の百年戦争(1337~1453)の最中、ダンスタブルの作品は大陸の写本に数多く筆写されて残されており、その影響力の程がうかがえます。

  




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