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カンタータ第140番 1. 目覚めよと呼ぶ声あり BWV.140【バッハ】~音楽作品 名曲と代表曲

 

 

 

数多いカンタータの中でも特に名高いBWV.140

 

カンタータ第140番『目覚めよと、われらに呼ばわる物見らの声』は、1731年に作曲された全7曲から成るカンタータで、題名は『目覚めよと呼ぶ声が聞こえ』『目覚めよと呼ぶ声あり』などと表記されることもあります。

 

バッハは1723年(38歳頃)にライプツィヒ・トーマス教会のカントルに就任していて、カントルとはオルガン演奏などで教会音楽を仕切る合唱指揮者のことです。

 

バッハが後半生を過ごしたライプツィヒの聖トーマス教会

 

 

就任してから日曜を主とした礼拝用のカンタータを300曲以上創作し、多くの作品が消失するなどしましたが、それでも200曲近い作品が現存して残されています。

 

「カンタータ第140番」は、1731年バッハが46歳頃の時の作品で、三位一体節後第27日曜日用に作曲され、初演は同年の11月25日に行われました。

 

「目覚めよと呼ぶ声あり」は作品全体と第1曲のコラールのタイトルで、この冒頭の合唱曲とシオンの娘の喜びを歌うテノールの第4曲『シオンは物見らが歌うのを聴く』は特に名高く、後にオルガン作品「シューブラー・コラール集」の第1曲 BWV645に編曲されています。

 

教会カンタータは、ルーテル(ルター)派の礼拝の説教の前後に演奏されていて、歌詞はその日に朗読される使徒書簡や福音書などを説明する内容です。

 

通常のカンタータは、合唱(全体)→アリア→レチタティーヴォ→重唱→合唱の順を経て、最後に合唱によるコラール(讃美歌)で締め括るという構成ですが、バッハはこのような基本的な形式には留まらず、様々な構成による手法で書かれています。

 

構成

第1曲【コラール】目覚めよと、われらに呼ばわる物見らの声
弦とオーボエが付点リズムを行進曲風に奏し、やがてコラール旋律がソプラノに現れる。

 

第2曲【レチタティーヴォ】彼は来る、まことに来る
イエスの姿を伝えるテノールの語り。婚礼の祝宴を前に再び「目覚めよ」の声が発せられる。

 

第3曲【二重唱】いつ来ますや、わが救いのきみ?
魂(ソプラノ)とイエス(バス)の間で交わされる、霊化された愛の二重唱。ヴィオリーノ・ピッコロの技巧的なオブリガートを伴う。

 

第4曲【コラール】シオンは物見らの歌うの聞けり
テノールの歌うコラールは、ユニゾンの弦が晴れやかな落ち着きを持って絡む。

 

第5曲【レチタティーヴォ】さらばわがもとへ入れ
花嫁が登場し、イエスに擬せられたバスが「永遠の契り」を宣告する。

 

第6曲【二重唱】わが愛するものはわが属となれり
再び魂とイエスとの二重唱となる。軽やかに浮かれ立つようなオーボエ・オブリガート付きの明朗な音楽が繰り広げられる。

 

第7曲【コラール】グローリアの頌め歌、汝に上がれ
簡潔な4声体楽曲で、ニコライのコラールが再々度変ホ長調で響き出す。

カンタータ第140番は「コラール・カンタータ」と呼ばれる形式に基づいていて、カンタータの基礎となっているコラールは、作曲家フィリップ・ニコライのコラールを第1曲、第4曲、第7曲に用いています。

 

そのコラールの着想の原点となっている三位一体節後第27日曜日の福音書章句(マタイ伝第25章1から13節)では、真夜中に物見らの声を先導として到着したイエスが、待ちこがれる魂との喜ばしい婚姻へと至る情景が描かれています。

 

 

 
  




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