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交響曲第6番 ヘ長調 Op.68 「田園」 第3-5楽章

 

 

後のロマン派の標題音楽にも大きな影響を及ぼした交響曲

 

楽曲の全体は「第1楽章」「第2楽章」のあと、「第3・第4・第5楽章」を続けて演奏するよう書かれていることから、全曲は三つの部分から構成されていると捉えられます。

 

第3楽章以下の例に見られるような異なる部分の接合形態は、ベートーヴェン好みのものであり、初期から晩年まで一貫して幾つかの作品の中で用いられています。

  • 第3楽章【田舎の人々の楽しい集い】
  • 第4楽章【雷雨、嵐】
  • 第5楽章【牧歌 嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち】

第4楽章の「嵐」は、実質的に第3楽章と第5楽章の間の長い挿入句であり、交響曲全体の中で果たす役割は、ソナタ形式の展開部の機能に似ており、このことはベートーヴェンは田園交響曲において、ソナタ形式の構成を作品全体に拡張しようとしたともとれます。

 

「第6番」は深くベートーヴェン的創造理念の根底に横たわっている作品であると言え、また「第6番」がハ長調「ミサ」(1807)と同時期に作曲されていることが大きな意味をもっています。

 

牧歌的世界と「ミサ」の自然と神の世界との関わりは、後に「ミサ・ソレムニス」と「交響曲第9番」の関係の中に、いっそう明確な形で表れてくることになるものです。

 

楽章の初めのところでクラリネットが吹奏する主題は、牧童の笛を模したものであり、これはバッハのオルガン用「パストラーレ」の主題にも共通するものです。

 

一方、曲は「田園交響曲」と記されていますが、原題は「シンフォニア・パストラーレ」であって、この語は必ずしも「田園」にその意味を限定されるものではなく、特にベートーヴェン作品にあってはこの語は特別の意味を持っていると言えます。

 

「パストラーレ」はキリスト降誕を祝う音楽でもあり、元来聖書の記事に因んで、キリスト降誕を告げられた牧童達が喜んで笛を吹いて祝ったとされるところから、「牧人の歌(パストラーレ)」が「降誕劇(パストラーレ)を意味することになりました。

 

「第6番」終楽章の「牧人の歌」とされる笛の音はこれを踏まえたもので、同じ楽章に付けられた「喜ばしい感謝の気持ち」という注記は、従って牧童の笛に託した神への感謝の気持ちを歌い出したものであると言えます。

 

晩年に重い病から回復したベートーヴェンは、弦楽四重奏曲「第15番」の緩徐楽章に「神に捧げる聖なる感謝の歌」と記して、病気の回復を神に感謝する音楽を書いています。

 

「第6番」の嵐、晩年の病気、共にこれは苦難を表明するものであり、その苦難からの救いや解放がここで喜ばしく歌われているのです。

 

 

 
  







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