喜びの島【ドビュッシー】~音楽作品 名曲と代表曲
煌くように豊かな色彩のピアノ独奏曲
『喜びの島』は1904年に作曲されたピアノ独奏曲で、ドビュッシーの数あるピアノ曲の中でも一際、豊かな色彩感や華やかさに満ちています。
装飾音やリズムの変化といった技巧を駆使して、煌くように豊かな色彩の細やかな音を連ねて、幻想的な愛の歓びが描き出されています。
イタリアの指揮者ベルナルディオ・モリナーリによる管弦楽版もあり、こちらはドビュッシー自身の指示に基づいた編曲で、原曲の繊細な華やかさを損なうことなく仕上げられています。
初演は1905年2月にパリの国民音楽協会で、リカルド・ビニェスの演奏によって行われました。ちなみにこの演奏会では『仮面』も初演されています。
この『喜びの島』は、ジャン・アントワーヌ・ヴァトーの作品「シテール島への巡礼」の影響を受けていて、当初は「シテール島への船出」というタイトルでしたが、後に改題されて現在のタイトルとなりました。
シテール島(キティラ島)は、エーゲ海のクレタ島の北西にある島で、神話では愛の女神ヴィーナス(アフロディーテ)の島とされています。
ギリシャのシテール島(キティラ島)
この『喜びの島』は、当初「月の光」で有名な『ベルガマスク組曲』の1曲になる予定でしたが、出版社の都合上でひとつの独立した曲として出されることになりました。ちなみに『仮面』も同様の理由で、組曲への編成が見送られ単独曲として出版されています。