叙情小曲集 第1集 2. ワルツ Op.12-2【グリーグ】~音楽作品 名曲と代表曲
ピアノの楽しさがコンパクトにまとめられた愛らしい作品集
「抒情小曲集」は、四季折々の情景、素朴な暮らしの一場面が個人の日記のように記されていて、その背景には人はいかにして生きるべきかというグリーグの省察があります。
グリーグは当時のヨーロッパの諸民族の作曲家たちと同じように、故郷ノルウェーの民俗音楽を強く意識し、それをクラシック音楽に取り入れました。
また、グリーグは自然そのものとも対峙していて、自然は人間を様々な属性から解放し、純粋な一個人へと還元しそして人を謙虚にさせます。この謙虚さがグリーグの音楽の持っている「徳」の源なのかも知れません。
グリーグは“北欧のショパン”とも呼ばれるように、ショパンを彷彿させるようなピアノ作品を数多く書き残しました。
日々を綴ったようなこの「叙情小曲集」も、メンデルスゾーンの無言歌を思わせるような作品で、ロマン派の作曲家の影響が自らの作品に表れることも度々でした。
ドイツのライプツィヒ音楽院で学び、シューマンから影響を受け、ドイツロマン派に傾倒したグリーグの初期の作品には、しばしばロマン派からの影響を色濃く感じられる作品があり、国民楽派風の作風になったのは後年になってからのことです。
グリーグの気品ある佇まいの「叙情小曲集」は、ショパンやシューマンのピアノ曲ほど知名度はありませんが、叙情的で美しい旋律が散りばめられ、ピアノの楽しさがコンパクトに収められた愛らしい作品集です。
演奏会よりどちらかと言えば家庭やサロン向けに作られた小品集なので、ピアノに親しむ家庭などからは大変な人気を得ました。