ビゼー:歌劇《カルメン》から 第2幕「闘牛士の歌」
ハバネラなどと並ぶ劇中の代表的なアリア
『カルメン』はビゼーが作曲したフランス語によるオペラで、オペラ『カルメン』はプロスペル・メリメの小説『カルメン』を基にしたものです。
アンリ・メイヤックとリュドヴィク・アレヴィがリブレットを作り、全4幕で音楽(歌)の間を台詞でつないでいくオペラ・コミック様式で書かれています。
あらすじ
第1幕
セビリアの煙草工場でジプシーの女工カルメンは、喧嘩騒ぎを起こし牢に送られることになります。しかし護送を命じられた伍長ドン・ホセは、カルメンに誘惑されて彼女を逃がすことになり、パスティアの酒場で落ち合おうと言い残してカルメンが立ち去ります。
第2幕
カルメンの色香に迷ったドン・ホセは、婚約者ミカエラを振り切ってカルメンと会いますが、上司との諍いのため密輸をするジプシーの群れに身を投じます。しかし、その時すでにカルメンの心は闘牛士エスカミーリョに移っていました。
第3幕
冒頭でジプシーの女たちがカードで占いをしていて、カルメンが占いをすると不吉な占いが出て結末を暗示します。密輸の見張りをするドン・ホセを婚約者ミカエラが説得しにやってきます。闘牛士エスカミーリョもやってきてドン・ホセと決闘になり、騒ぎが収まったあと思い直すように勧めるミカエラを無視するドン・ホセに、ミカエラは切ない気持ちを一人独白します。カルメンの心を繋ぎとめようとするドン・ホセですが、カルメンの心は完全に離れていました。ミカエラから母の危篤を聞き、ドン・ホセはカルメンに心を残しつつも盗賊団を去ります。
第4幕
闘牛場の前にエスカミーリョとその恋人になっているカルメンが現れ、エスカミーリョが闘牛場に入った後、1人でいるカルメンの前にドン・ホセが現れ復縁を迫ります。復縁しなければ殺すと脅すドン・ホセに対して、カルメンはそれならば殺すがいいと言い放ち、逆上したドン・ホセがカルメンを刺し殺します。
1875年3月3日、パリのオペラ=コミック座で行われた初演は不評に終わりましたが、しかしその後の客入りと評判は決して悪くはなく、ビゼーのもとには「カルメン」のウィーン公演と、そのために台詞をレチタティーヴォに改作したグランドオペラ版への作曲が依頼されました。
この契約を受けたビゼーでしたが、持病の慢性扁桃炎による体調不良から静養を余儀なくされ、初演から6ヶ月後の6月4日に心臓発作を起こして急死してしまいます。
そこでビゼーの友人である作曲家エルネスト・ギローが、彼の代役としてこの改作を担当し、ウィーン上演を成功させて火がつき、それ以降フランス歌劇の代表作として世界的な人気作品となりました。