《カルメン》 第1組曲から 「間奏曲」
フルート・ソロが印象的な第3幕への「間奏曲」
《カルメン》のリブレットはフランス語で書かれていますが、物語の舞台はスペインであり、音楽もハバネラやセギディーリャなど、スペインの民族音楽を取り入れて作曲されています。
組曲はビゼー自身によるものでないこともあって、指揮者により演奏順が変えられたり、第1・第2組曲を1つの組曲として演奏したり、2つの組曲から選曲してオリジナルの組曲を編むなどその形態も多様になっています。
「前奏曲」「ハバネラ」「闘牛士の歌」と有名な楽曲が並びますが、フルート・ソロが印象的な第3幕への「間奏曲」も組曲の内の一つで、この楽曲は1872年作曲の劇付随音楽「アルルの女」から転用されていて、激しく情熱的なオペラの幕間に可憐な一輪の花を咲かせています。
今日ではオペラ・コミック様式に復元した原典版である「アルコア版」による上演も行われ、現行の主要な版は原典版のほか、オペラコミック版、グランド・オペラ版、メトロポリタン歌劇場版があり、またミュージカル『カルメン・ジョーンズ』として改作されたハマースタイン版なども存在します。
ビゼーの《カルメン》は世界的にも一二を争う人気のオペラであり、特に親しみやすいメロディが豊富なことが特徴で、これほど頻繁にオーケストラ用の組曲がコンサートや録音で演奏されるオペラは他にはないでしょう。