交響曲 第2番 ニ長調 Op.73 第2楽章
静かな瞑想的な中にも重厚さを備える第2楽章
『交響曲第2番』は、ブラームスの作品としては明るい情緒に貫かれ、それはこの曲が美しい自然の景観に恵まれたペルチャッハで書かれたからではないかと言われています。
ペルチャッハは、オーストリア南部のヴェルダー湖畔にある風光明媚な保養地で、ブラームスは2年間続けてペルチャッハで夏を過ごし、この地でヴァイオリン協奏曲やヴァイオリンソナタ第1番「雨の歌」などを生み出しています。
ブラームスが「交響曲第2番」を作曲したオーストリアのペルチャッハ
ペルチャッハの明るい夏の陽光が、ブラームスの心奥に射しこんだのか、開放的な自然の中でリラックスして寛ぐ気分が感じられ、全曲を通して明るく伸びやかで、精神的にもゆとりをもって創作していたことが伝わります。
ブラームスはペルチャッハから、批評家エドゥアルト・ハンスリックに宛てた手紙に次のように綴っています。
「ヴェルター湖畔の地にはメロディがたくさん飛び交っているので、それを踏みつぶしてしまわないよう、とあなたはいわれることでしょう。」
ブラームスの親友の一人である外科医のテオドール・ビルロートは、『交響曲第2番』に接して「ペルチャッハはどんなに美しいところなのだろう。」と語ったといいます。
第2楽章は三つの主題による歌謡的楽章で、提示部とそれを変化させた反復部の二部分構造をとっています。