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交響曲 第3番 ヘ長調 Op.90 第1楽章

 

 

困難に立ち向かう勇者の姿を想起させる勇壮で逞しい交響曲

 

『交響曲第3番』は1883年5月から10月にかけて作曲され、ブラームスの交響曲の中では演奏時間が最も短く、新鮮かつ明快な曲想で知られています。

 

特に第1楽章の第1主題で見られるようなスケール感は壮大で、コンパクトでありながらも勇壮でたくましい交響曲になっています。

 

初演は1883年12月2日、ハンス・リヒター指揮のもとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によって行われ、再三のカーテンコールを受け大成功を収めました。

 

初演で指揮したハンス・リヒターが、「この曲はブラームスの”英雄”だ」と表現したことから、「ブラームスの英雄交響曲」とも呼ばれています。

 

「第2番」がベートーヴェンの「第6番”田園”」に対比させられるのと同様に、この「第3番」もベートーヴェンの「第3番”運命”」と対比されることがあります。

 

当のブラームス自身は特に標題音楽的に描こうとはしておらず、「第2番」の場合と同様に何ら根拠のあるものではありません。

 

両端楽章で英雄的な闘争をイメージさせる部分もありますが、その根底を流れているのは、ロマン的な叙情や憂愁と考えられます。

 

第1楽章ではへ短調主和音が奏でられると同時に、ヴァイオリンが下降する第1主題を提示し、この冒頭部分に見られるへ短調ーへ長調の交代は有名なところです。

 

このようなスイッチ1つで明暗の交代が行われるのは、モーツァルトが得意にした手法で、長短調による明暗の交錯の中に烈しい情熱の奔出が聴かれます。

 

第2主題はイ長調の四分の九拍子に変わったところでクラリネットによって歌い出されますが、クラリネットもまた晩年のブラームスが好んで用いた楽器で、そのどこか暗いトーンがブラームスの秋の色によくマッチしています。

 

楽想は大きく異なりますが、モーツァルトも晩年にクラリネットのための傑作を書いており、両者は晩年に「クラリネット五重奏曲」を作曲しています。

 

 

 
  




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