交響曲第4番 ホ短調 Op.98 第2楽章
ブラームスの実直な人柄が表れたいぶし銀のような音楽
この「交響曲第4番」はブラームスが晩年に書いた作品で、これまで積んできた音楽的キャリア、また52歳という年齢からくる寂寥感や人生の孤独感が含まれた、ブラームス音楽の集大成ともいうべき最後の交響曲です。
第2楽章では中世の教会旋法であるフリギア旋法が用いられ、終楽章にはバロック時代の変奏曲形式であるシャコンヌが用いられるなど、擬古的な手法が多用されています。
このことから発表当初から晦渋さや技法が複雑すぎると言う事で、批判的に指摘されることがありましたが、今日では古い様式に独創性とロマン性を盛り込んだ、円熟した作品としての評価がなされています。
音楽的精神性では「第1番」が挙げられますが、ブラームスらしさという点では4曲の交響曲の中で筆頭に挙げられる楽曲で、ブラームス自身も「第4番」を”自作で一番好きな曲””最高傑作”と述べています。
第2楽章のホルンと木管による主題は、イ短調ないし古い教会旋法的な調べによるもので、一種独特の感興をもたらしていて、これが発展していった後にチェロによって新たな主題が提示されます。
明らかにこの第2楽章も性格的小品であり、「インテルメッツォ」又は「ロマンツェ」といった名称が相応しい音楽であると言えるでしょう。