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奏法記号 [英:performance mark]

 

楽譜には文字や記号による演奏上の指示が記されています。

 

音の切り方、つなげ方など様々な奏法を示す奏法記号があります。

 

 

 

基本的な奏法記号

 

楽譜には演奏上での技巧を示す記号(言葉)があり、その記号を「奏法記号」といいます。

 

最もわかりやすい例では、ピアノやヴァイオリンでの指使いを数字で記されるもので、ピアノでは「1」が親指「5」は小指を示し、ヴァイオリンではピッチを作る左手の指を示し、「0」は開放弦、「1」が人差し指、「4」が小指で奏すといったように指示されています。

 

奏法記号の中でもスラーやスタッカートは、声楽も含めて一般的に多く用いられています。

 

スラーは異なる高さの音に付けられた弧線で、同じ高さの音をつないで伸ばすタイとは区別され、スラーの間は継続して音をつなげて奏し、ピアノでは指を放さず歌では息つぎをしません。

 

スタッカートはその音を「短く切って」という意味で、「跳ねる」という奏法ではありません。

 

スタッカートとは逆にその音を充分に伸ばしたい場合はテヌートを用います。テヌートは「音を保って」奏すという意味で、その音符本来の長さ以上に延ばすわけではありません。

また一つ一つの音を明確に奏したい場合にはマルカート「marc.」を用います。

 

声楽の息つぎ(ブレス)では∨とがあり、∨は特に歌曲に用いられる記号です。の他の用途は小節線上に記された時などに、僅かな間を取るという意味にも使われます。

 

他の奏法記号では、どのような楽器においても共通する奏法で強勢記号というものがあり、「特に強く」というアクセントの意味をもつ記号で{ }などがあります。

 

これらの記号は「記された音符のみ」特に強く奏するという記号で、のみが「その辺り」を特に強く奏するという意味合いを持ちます。

 

他には装飾記号や略記法に近いもので、全ての楽器ではありませんが、ハープのように和音を分散させて奏するアルペジオ記号、高さの異なる2音間を滑らせるグリッサンド、技術的にはグリッサンドと同じでグリッサンドより次の音に移る瞬間を素早く移動するポルタメントがあります。

 

 

 

様々な奏法記号

 

タイ

外国語表記

〔英:tie〕

解説

つながれた音符の長さを切らさずに持続して演奏する奏法

隣り合う同じ高さの音に付けられた弧線で、和音の場合は構成音の各音ごとに弧線を用います。

 

◇タイの演奏法

 

スラー

外国語表記

〔英:slur〕

解説

高さの異なる音を繋げ滑らかに演奏する奏法

音の高さが違う二つ以上の音符にまたがっている弧線です。レガート奏法とアーティキュレーションを示すために用いられ、レガート奏法では高さの異なる音をつなげて滑らかに演奏します。ヴァイオリンなどの弦楽器は、同じ方向の一弓で弾き、ギターなどはハンマリング・オンやプリング・オフを使って弾き、管楽器ではタンギングしないで一息で演奏し、声楽では息継ぎをしないで一息で奏します。フレーズの区切りを示す場合では、スラーの始点から終点までが一括りに聞こえるように演奏し、始点の音を少し強め終点の音を弱めて、始点と終点との強弱により、まとまりを感じさせるように演奏します。

 

◇レガートを示す記号

 

◇フレーズの区切りを示す記号

 

スタッカート

外国語表記

〔伊:staccato〕

解説

音価よりも短く切って次の音との間をあける奏法

通常は「・」の記号が使用されますが、連続する場合には「sempre staccato」などのように文字で記す場合もあり、「stacc.」と略記されることもあります。一般的にはその音の約半分の長さで演奏するとありますが、どの程度短くするのかは実際のその曲の速さや性格などの楽曲の構成によって、演奏者の音楽的解釈に任され、感覚的なもので数量的なものではありません。

 

◇楽譜上の表記

 

 

◇実際の演奏

 

スタッカティッシモ

外国語表記

〔伊:staccatissimo〕

解説

スタッカートよりもさらに短く切って演奏する奏法

音価の約1/4の長さで演奏するとありますが、実際にはその曲の速さや性格などの楽曲の構成によって、演奏者の音楽的解釈に任され、感覚的なもので数量的なものではありません。なお古典派までは、「」をスタッカート、「・」をメッゾスタッカートに使用していました。

 

スタッカティッシモの演奏法

 

◇楽譜上の表記

 

 

◇実際の演奏

 

メッゾ・スタッカート

外国語表記

〔伊:mezzo staccato〕

解説

音価よりもやや短く切って演奏する奏法

スタッカートにスラーやテヌートを付けて表記されます。音を保ちつつ切り離し、スタッカートとレガートの間に位置し、その音の約3/4の長さで演奏するとありますが、実際にはその曲の速さや性格などの楽曲の構成によって、演奏者の音楽的解釈に任され、感覚的なもので数量的なものではありません。

 

メッゾ・スタッカートの演奏法

 

◇楽譜上の表記

 

 

◇実際の演奏

 

テヌート

外国語表記

〔伊:tenuto〕

解説

その音の長さを充分に保って演奏する奏法

tenuto ten.言葉の表記でもよい。ben(十分に)を付けたben tenuto(ベン・テヌート)もよく用いられています。

ソステヌート

sostenuto(sosten.)

外国語表記

〔伊:sostenuto〕

解説

「音符の長さを十分に保って演奏する」

テヌートと同様の意味ですが、個々の音や和音ではなく、楽章や曲の全体に付けられ、「Andante sostenuto」などのようにテンポを補足する形で用いられます。

ペダル・マーク

 

外国語表記

〔英:pedal/伊:pedale〕

解説

ピアノのダンパー・ペダル(右側)の操作を指示する記号

でペダルを踏み、でペダルを離します。ペダルを踏むとピアノ内のダンパーという装置が全て上がり、鍵盤を上げても音が残ったままの状態になります。ペダルの使用範囲をカギ線で表すこともあります。他に、ハープ・オルガン・ティンパニ・ヴィブラフォンなどに記されます。

センツァ・ペダーレ

senza ped.

外国語表記

〔伊:senza pedale〕

解説

ピアノのダンパー・ペダルを使用しないこと

今まで使用していたペダルを離す場合と、それ以降はペダルを使用しないという場合に用いられます。

コン・ペダーレ

con ped.

外国語表記

〔伊:con pedale〕

解説

全体的にペダルを用いて演奏するように

と同様にピアノのダンパー・ペダルを使用するという意味ですが、が各々の音や和音に具体的に指定されるのに対して、「con ped.」は全体的にペダルを用いて演奏するようにという指示であり、具体的な踏み方は演奏者に任せられています。「con pedale(コン・ペダーレ)」とも書かれます。

ハーモニクス

外国語表記

〔英:harmonics harm.〕

解説

「弦の特定の場所に指を軽く置いて倍音を出す奏法」

弦楽器やハープにおいての奏法で、flageolet(フラジョレット)、「○」で表す場合もあります。ナチュラル・ハーモニクスや技巧ハーモニクスなど、いくつかの奏法があり、それらを指定する表記法もあります。

 

ハーモニクスの表記法

 

◇ナチュラル・ハーモニクス

 

 

◇技巧(テクニカル)ハーモニクス

 

ゲシュトップフト

gestopft

+(〇)

外国語表記

〔独:gestopft〕

解説

ベルに右手を差し込んで音色や音量を変化させる奏法

ホルンを演奏する際の奏法で、手を差し込む程度によって音高を変えることもできます。「+」でストップ、「〇」でオープンという記号で指示を出します。

運指記号

12345

p,i,m,a

外国語表記

〔英:fingering〕

解説

運指を示す記号

数字は鍵盤楽器などの運指を示す記号で、親指から順に「1、2、3、4、5」。「p,i,m,a」はクラシック・ギターの右手運指を指示する記号。いずれもスペイン語で各指を表す単語の頭文字で、p(pulgar)は親指、i(indice)は人差し指、m(medio)は中指、a(anular)は薬指を指します。一方、左手は数字を用いますが、人差し指から順に「1、2、3、4」となります。ポピュラー音楽では英語の頭文字を取って、T:親指、i:人差し指、m:中指、r:薬指、l:小指と表記することもあります。

 

◇左右の運指記号

 

ピッツィカート

pizzicato

(pizz.)

外国語表記

〔伊:pizzicato〕

解説

弦を指で弾く弦楽器の奏法

一般にヴァイオリンなど弓弦楽器の場合をいい、右手の指1~4本を使い、弓では出せない最も短い鋭い音から長く響きのある音まで奏でることができる奏法です。低音ほど余韻は長く、コントラバスのピッツィカートは全弦楽器の中で最も豊かな余韻と表情があります。通常pizz.と示され、再び弓にするときはarc.(弓)と記されます。ピチカートと呼ばれることもあります。

左手のピッツィカート

外国語表記

〔伊:left-hand pizzicato〕

解説

本来、弦を押さえるべき左手で弦をハジく奏法

pizz.と共に「+」マークを付けて表記します。イタリアのヴァイオリニストの巨匠、作曲家でもあるパガニーニが考案し導入した奏法です。

バルトーク・ピッツィカート

外国語表記

〔伊:bartok pizzicato〕

解説

指板の上で弦を強くハジくピッツィカート

弦楽器の演奏記号で、バルトークが考案した図案が普及したために、このように呼ばれることになりましたが、奏法自体は以前から存在しております。マーラーはpizz.の後に、「指板に当たるくらい激しく」と注釈を付けてこの奏法を指示しています。

スピッカート/サルタンド

spiccato

(spicc / saltando)

外国語表記

〔伊:spiccato / saltando〕

解説

弓の弾力で弦上を軽くはずませるようにして1音1音切り離して演奏すること

ヴァイオリンなどの弦楽器の奏法の1つです。スタッカートと同じ記号を用いますが、「spicc.」や「saltando」などと文字で表記されることもあります。

コル・レーニョ

col legno

外国語表記

〔伊:col legno〕

解説

木を用いて

弓を用いる弦楽器において、弓の木の部分で弦を叩いたり擦ったりする奏法。

アルコ

arco

外国語表記

〔伊:arco〕

解説

弓を用いる通常の奏法に戻すこと

ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器において、ピッツィカートなどの奏法で弾いた後に、弓を用いる通常の奏法に戻すこと。

ウナ・コルダ

una corda

外国語表記

〔伊:una corda〕

解説

1本の弦で

ピアノのソフト・ペダルを踏むことで、それにより打弦する弦を3本から1本に減らし音量を抑えます。

トレ・コルデ

tre corde

外国語表記

〔伊:tre corde〕

解説

3本の弦で

「una corda」を解除する際に用います。

コン・ソルディーノ

con sordino

(con sord.)

外国語表記

〔伊:con sordino〕

解説

弱音器を付けて

主に弦楽器、金管楽器、打楽器に対しての指示。英語では「(with) mute」、ドイツ語では「mit dampfer」と表記。

センツァ・ソルディーノ

senza sordino

(senza sord.)

外国語表記

〔伊:senza sordino〕

解説

弱音器を外して

主に弦楽器、金管楽器、打楽器に対しての指示。英語では「open」、ドイツ語では「ohne Dampfer」と表記します。

アクセント

外国語表記

〔伊:accento〕

解説

他の音から際立たせるように強調して演奏する奏法

通常は「>」を使用し、より強調する場合にを使うことが多い。などとも同じ意味です。スタッカートやテヌートとともに使用する場合もあります。

 

◇アクセントの演奏法

 

 

◇アクセント・テヌート

 

 

◇アクセント・スタッカート

 

マルカート

marcato

(marc.)

外国語表記

〔伊:marcato〕

解説

その音をはっきりと強調して演奏する奏法

より強調する場合は「-issimo」を付けて、marcatissimo マルカティッシモと表記します。marcatiss.と略記されて表記されることもあります。ben(十分に)を付けたben marcato(ベン・マルカート)もよく用いられます。

レッセ・ヴィヴレ

レット・リング

l.v.

Let Ring

外国語表記

〔仏:laissez vibrer〕

〔英:let ring〕

解説

演奏した後に残響を止めずに響かせたままにしておくこと

シンバルやハープなどで用いられます。ピアノでも(ダンパー・ペダルを用いて)十分に響かせる指示で使用することがあります。

レガート

legato (leg.)

外国語表記

〔伊:legato〕

解説

いくつかの音をつなげて滑らかに演奏する奏法

ときには最上級形のleatissimo(レガティッシーモ)も使用されます。legatiss.と略記され表記されることもあります。

スル・ポンティチェッロ

sul ponticello

外国語表記

〔伊:sul ponticello〕

解説

駒の近くで

弓を用いる弦楽器において、駒の近くで弾く奏法。通常の位置で弾く場合より高い倍音が多く鳴るために、独特の音色効果が生まれます。「sul ordinario」又は「mode ordinario」の指示で通常の奏法に戻ります。

スル・タスト

sul tasto

外国語表記

〔伊:sul tasto〕

解説

指板の上で

弓を用いる弦楽器の演奏において、指板の上で弾く奏法。音量的に弱く柔らかい音色になります。「sul ordinario」または「mode ordinario」の指示で通常の奏法に戻ります。

スル・ジー

sul G

外国語表記

〔伊:sul G〕

解説

ヴァイオリンなどの弦楽器のG線(第4線)で弾く奏法

太い弦で演奏するために重厚な音色になります。作曲者によっては「sul A(A線で弾く)」「sul D(D線で弾く)」など、他の弦を指定する場合もあります。

センプレ

sempre

外国語表記

〔伊:sempre〕

解説

常に

「sempre legato(常に滑らかに)」など、発想記号や強弱記号に付けて使用されます。

シーミレ

simile

外国語表記

〔伊:simile〕

解説

同様に

その前の部分で示された指示をそのまま継続する奏法。スタッカートなどの奏法や音型、強弱など様々な場面で用いられます。

 

◇楽譜上の表記

 

 

◇実際の演奏

 

グリッサンド

外国語表記

〔伊:glissando〕

解説

高さの異なる2つの音符の間を滑らせるように演奏する奏法

似たような奏法にポルタメントもありますが、ポルタメントは音階以外の中間音も含むのに対して、グリッサンドは鍵盤や指板上を滑らせて演奏します。

 

◇グリッサンド(アップ)

 

指の甲側を使ったグリッサンド(アップ)。オルガンなどでは、掌全体を使ってグリッサンドすることもあります。

 

◇グリッサンド(ダウン)

 

右手小指、薬指あたりを使ったグッリサンド(ダウン)。人差し指、中指側を使うこともあります。

ポルタメント

外国語表記

〔伊:portamento〕

解説

高さの異なる2つの音の間を滑らかに演奏する奏法

演奏する際に楽器の構造上の違いで、2音の間の全ての音を経過する点がグリッサンドと異なり、演奏者の判断に任されることが多いです。port.と略記されたり記号で示される事もあります。ヴァイオリンなど弓弦楽器や声楽、音高(ピッチ)が定められていない楽器で用いられます。ジャズでは重要な表現法の一つで、邦楽でも多用されます。

ブレスマーク

 

外国語表記

〔英:breath〕

解説

息つぎの場所を表す記号

声楽だけではなく器楽曲においても、度々フレーズの区切りを示す場合に用いられます。

メッサ・ディ・ヴォーチェ

messa di voce

外国語表記

〔伊:messa di voce〕

解説

だんだん強く演奏していき、ある箇所からだんだん弱く演奏していく奏法

18世紀に発達したベル・カント唱法の一種で、後に器楽の奏法にも応用されました。

メリスマ

外国語表記

〔伊:melisma〕

解説

歌詞の音節がいくつかの音符にまたがっている場合にその範囲を示すための線の名称

日本語歌詞の場合は、通常音引き線「ー」を使います。メリスマの本来の意味は、歌詞の一音節にいくつかの音符を割り当て、装飾的に表情を付けて唄う歌唱のことです。古くからのミサ曲などの他、ヨーデルや日本の追分にもメリスマが見られます。

ハミング

外国語表記

〔英:humming〕

解説

唇を閉じて声を出す唱法

音符の下に「bocca chiusa」や、「B.F(bouche fermee:ブッシュ・フェルメの略号)」などで記譜される場合もあります。口を開けたオープン・ハミングという唱法もあり、その場合はフランス語の「B.O(bouche ouverte:ブッシュ・ユベールの略号)」などと表記します。

シュプレッヒシュティンメ

外国語表記

〔独:Sprechs timme〕

解説

語りと歌の中間のような発声の唱法

20世紀前半に、シェーンベルクを始めとする多くの作曲家によって試みられました。Sprechgesang シュプレッヒゲザングも同義。

アップ・ボウ/アップ・ピッキング

V

外国語表記

〔英:up-bow/up picking〕

解説

弓を先端から手元へ動かす運弓法

ヴァイオリンなどの弓を用いる弦楽器においての奏法で、上げ弓ともいいます。

ダウン・ボウ/ダウン・ピッキング

外国語表記

〔英:doun-bow / down picking〕

解説

弓を手元から先端へ動かす運弓法

ヴァイオリンなどの弓を用いる弦楽器においての奏法で、下げ弓ともいいます。

デタシェ

detache

外国語表記

〔仏:detache〕

解説

1音ごとにアップ・ボウとダウン・ボウで交互に弾く奏法

ヴァイオリンなどの弓を用いる弦楽器においての奏法。スタッカートと同じ記号を用いますが、「detache」などと文字で表記されることもあります。元々の意味は「切り離して」。

開放弦

0

外国語表記

〔英:open string〕

解説

弦楽器において指板やフレットを指で押さえずに鳴らす弦のこと

ゼロ・フレットの意味から数字の「0」、もしくはそれを模した記号となっています。ヴァイオリンなどの弦楽器の場合、通常はヴィブラート奏法をする為に開放弦は使用しないですが、特に開放弦を指示する際にはこの記号を用います。

マーノ・デストラ

マン・ドロワト

レヒテ・ハント

ライト・ハンド

m.d R.H r.h.

外国語表記

〔伊:mano destra〕

〔仏:main droite〕

〔独:recht Hand〕

〔英:right hand〕

解説

右手で

ピアノを始めとした鍵盤楽器に使われる指示で、ヘ音譜表で右手を指定したい場合や、ト音譜表でも右手と左手を同じ音域で、交互に使用する場合などに使用されます。

ソプラ

sopra

外国語表記

〔伊:sopra〕

解説

上に・上にある

鍵盤で下の五線に記譜されていても、右手で演奏する場合などに記譜されます。

通奏低音

12345

外国語表記

〔伊:basso continuo〕

〔英:thorough bass〕

解説

バロック時代の合奏音楽における伴奏者用の低音声部に使われた略記法」

「数字付き低音」ともいい、数字はその伴奏の構成和音を示します。チェンバロやオルガン奏者などは、この数字を基に即興的に和音を演奏しました。

シャルトリヒター・アウフ

Schall trichter auf

外国語表記

〔独:Schall trichter auf〕

解説

管楽器のベルを持ち上げて演奏する

マーラーは、ホルンやトランペットだけではなく度々、木管楽器にも同様の指示を出しています。

フラッター・タンギング

Flatter zunge flz flt.

外国語表記

〔英:flutter tonguing〕

〔独:Flatter zunge〕

解説

舌の先端を上口蓋に軽く当てて空気を送り出し、舌先を震わせる演奏法

タンギング(管楽器演奏の舌を使った音のコントロール技法)の1つで、「Trrr・・・」のように舌先を震わせる演奏法。マーラーやラヴェル、オネゲルらの作品に効果的に使用されています。

ムータ

muta

外国語表記

〔伊:muta〕

解説

取り替え・交換

ティンパニにおいては調律を変更することで、「muta D in C(D音からC音に変更する)」「muta in D,A(D音とA音に変更する)」などと表記します。また、管楽器ではフルートからピッコロへの楽器の持ち替え、クラリネットではA管からB♭管への持ち替えなどの指示をする際に使用されます。
①ティンパニの場合
muta in D,A→ティンパニの調律をDとAに変更します
muta D in C→ティンパニの調律をDからCに変更します
②管楽器の場合
Fl.Ⅱ. muta in Fl.picc.→フルート2はピッコロに持ち替えます
muta B♭ in A→B♭管の楽器をA管の楽器に持ち替えます

トーン・クラスター

外国語表記

〔英:tone cluster〕

解説

多量の音で埋め尽くした時に生ずる密集音塊のこと

ある音程内の短2度、又はそれよりも狭い音程を含む多量の音で埋め尽くした時に生ずる密集音塊のことで、ピアノなどの鍵盤楽器の場合は、手の平や前腕(肘から下)の部分で鍵盤を打鍵します。

弦番号

外国語表記

〔英:string number〕

解説

クラシック・ギターの楽譜で演奏する弦を示す数字

音符の傍に記されます。

 

◇楽譜上の記譜例

 

ハーモニクス

harm.12

arm.12

外国語表記

〔英:harmonics〕

解説

ハーモニクスの指示

主にクラシック・ギターの楽譜上に見られるハーモニクスの指示で、後ろの数字はギターのフレット数を示します。

 

◇楽譜上の表記例

 

ソロ

solo

外国語表記

〔伊:solo〕

解説

単独の

協奏曲において独奏楽器によって演奏される部分を指します。対義語はtutti。また管弦楽曲や声楽曲において、特定の楽器(パート)を1人で演奏するように指定する場合も使用されます。なお、協奏曲におけるソロ・パートはPrincipale(プリンシパル)と表記されることもあります。

ソリ

soli

外国語表記

〔伊:soli〕

解説

soloの複数形

複数の演奏者によって演奏される部分を示します。

トゥッティ

tutti

外国語表記

〔伊:tutti〕

解説

全員で

協奏曲では独奏パートによるsoloに対して、オーケストラ全体での部分を指すほか、管弦楽曲では特定の楽器にソロを指定した後、全体による演奏に戻るときに用いられます。

ユニゾン

unison

(unis.)

外国語表記

〔伊:unison〕

解説

同時に同じ音やメロディを演奏すること

複数の楽器または声楽で、同時に同じ音やメロディを演奏することで、同じ高さの場合もあれば、オクターヴ違いの場合もあります。主にdivisiを解除する際に用いられます。

ア・ドゥエ

a2

外国語表記

〔伊:a due〕

解説

スコアで2つの楽器が1つの五線上に記されている場合に、どちらか一方ではなく両方で演奏すること

管楽器に多く用いられます。多くの管楽器を使用する大編成の管弦楽曲では、a3(ア・トレ)やa4(ア・カットロ)という使い方もします。

プルト

Pult

外国語表記

〔独:Pult〕

解説

譜面台

オーケストラにおける弦楽奏者は、1台の譜面台で2人の奏者が演奏することから、奏者2人を1プルトと数え、演奏者数を指示する場合に使用します。「半分の奏者で」などと指示する場合は、「Halfte Pult」と表記します。

ディヴィージ/ノン・ディヴィージ

divisi / non divisi

(div. / non div.)

外国語表記

〔伊:divisi / non divisi〕

解説

スコアなどで、ある楽器パートが2つ以上の声部で記されている場合に、それぞれの声部ごとに分かれて演奏すること
一方の「non divisi」は、分かれずに演奏すること。ヴァイオリンなどの和音演奏が可能な弦楽器では、記譜された和音をdivisiで演奏しないように、あえて注記されることがあります。

オッシア

Ossia

外国語表記

〔伊:ossia〕

解説

あるいは・もしくは

高度な技法を用いる楽曲について、比較的難易度を抑えた別のヴァージョンを併記したもの。演奏者はそのどちらかを選んでも良い。一般的に「Ossia」の部分は若干小さい五線に記譜されています。

オッターヴァ・アルタ

8va

外国語表記

〔伊:ottava alta〕

解説

「記された音符を8度下

1オクターヴ低く演奏することを示す記号。加線が多くなることによる読み違いを避けるために使用されます。va bassaを省略し「8」の下側に点線を付記することで、オクターヴ下を指示する場合も多い。

 

オッターヴァ・アルタの演奏法

 

◇楽譜上の表記

 

 

◇実際の演奏

 

オッターヴァ・バッサ

8vabassa

外国語表記

〔伊:ottava bassa〕

解説

「記された音符を8度下

1オクターヴ低く演奏することを示す記号。加線が多くなることによる読み違いを避けるために使用されます。va bassaを省略し「8」の下側に点線を付記することで、オクターヴ下を指示する場合も多い。

 

オッターヴァ・バッサの演奏法

 

◇楽譜上の表記

 

 

◇実際の演奏

 

クインディチェージマローコ

15ma / loco

外国語表記

〔伊:quindicesima / loco〕

解説

「記された音符の2オクターヴ(15度)上を演奏する記号

8vabassaと同じように、2オクターヴ下を演奏するための「15mabassa(クインディチェージマ・バッサ)」もあります。locoは「もとの位置で」の意味で、8vaや8vabassaで1オクターヴ移動したあと、通常のポジションに戻る際に使用されます。

タチェット(羅)

タセット(仏)

tacet

外国語表記

〔羅・仏:tacet〕

解説

「交響曲などで、一部の楽器が特定の楽章全てで休みの場合、小節分の全休符の代わりに用いられる表記」

カデンツァ

cadenza

外国語表記

〔伊:cadenza〕

〔独:kadenz〕

解説

「協奏曲などで、伴奏楽器をほとんど伴わなず、独奏楽器による独奏部分のこと」

通常は楽章の終りの方に置かれ、名人芸的な技巧を要求されることが多い。元々の意味は、「終止形」としての和声進行「ⅠーⅤーⅠ」などを指します。

アド・リビトゥム

(アド・リブ)

ad libitum

(ad lib.)

外国語表記

〔羅:ad libitum〕

〔英:improvisation〕

解説

自由に・随意に

協奏曲のカデンツァなどに表記されることが多い。また、主にジャズにおいては「ad lib.」と呼ばれ、奏者が自由なソロ演奏を行うことをいいます。英語のimprovisation即興演奏とほぼ同義に使用されます。

アタッカ

Attacca

外国語表記

〔伊:attacca〕

解説

間を置かずに続けて演奏すること

楽章の終りにこの指示が記されたら、「次の楽章に切れ目なく入る」という意味。ドイツ語で「Folgt ohne Unterbrechung No.〇(間をあけずにNo.〇に移れ)」と記される場合もあります。

ゲネラルパウゼ

G.P.

外国語表記

〔独:General pause〕

解説

管弦楽曲などで、全ての声部を同時に休止すること

パート譜には「G.P.」と記されていても、スコアに記されていることは余りありません。ブルックナーの交響曲第2番はゲネラルパウゼが多く、「ゲネラルパウゼ交響曲」などと呼ばれたこともあります。

フェード・イン

フェード・アウト

Fade in/Fade out

外国語表記

〔英:fade in / fade out〕

解説

「音量を次第に上げて曲の開始をはっきりさせないこと」

「Fade out」の場合は「F.O.」と省略する場合が多い。通常演奏されることはほとんどなく、録音の手法、またそれを記譜した場合に見られます。

ヴィーデ

Vi-de

外国語表記

〔羅:vide〕

解説

見よ

演奏者の注意を喚起させる際に用いられます。videoの語源にもなりました。

リハーサル・ナンバー(練習番号)

Intro

 

123

ABC

外国語表記

〔英:rehearsal number〕

〔独:Buchstabe〕

解説

「合奏などで曲の途中から練習がしやすいように、スコアに付けられている通し番号」

数字やアルファベットなどが用いられるほか、ポピュラー音楽では英語でIntro Introduction:前奏やInter(interlude:間奏)、Ending(後奏)なども使われます。ドイツでは習慣的に J が省略され、 H   I   K となります。

オーパス(作品番号)

Opus(Op.)

外国語表記

〔羅:opus〕

解説

「作曲家ごとに作品に付けられる整理番号」

opusとはラテン語の「作品」の意味。作曲家自らが付与したものの他に、後に研究者によって付けられたものがあります。「Opus post.(Opus posthmus)」は作曲者の死後に発表、出版されたもので「遺作」と呼ばれますが、ショパンのノクターン第20番 嬰ハ短調のように、遺作とされていながらも、実際には比較的若い時期の作品もあります。

 

後世に付けられた主な整理番号

整理番号 読み方 解説
BWV ビー・ダブリュー・ヴィ 「Bach Werke Verzeichnis バッハ作品目録」の略号で、J.S.バッハの作品整理番号。作曲順ではなく、作品種別の整理番号になっています。
Hob. ホーボーケン 「Hoboken」の略号。ハイドン研究の第一人者であった、オランダのA.v.ホーボーケンによって作成された「ハイドン作品目録」による整理番号。作品種別で整理されています。
K/KV. ケッヘル 「Kochel」の略号。オーストリアの音楽学者L.v.ケッヘルによって作成された、モーツァルトの作品整理番号で、作曲順に並べられています。現在まで数度の改訂がなされており、2つの番号が併記されているものもあります。なお、「K.Ahn.」は付録(Anhang)番号。
D ドイッチュ 「Deutsch」の略号。オーストリアの音楽学者O.E.ドイッチュによるシューベルトの作品整理番号で、作曲順に並べられています。
WoO. ヴェー・オー・オー 「Werke ohne Opuszahi」の略号。ベートーヴェンが作品番号を与えなかった作品を整理・分類した番号。

ヴォルティ・スーピト

V.S.

外国語表記

〔伊:volti subito〕

解説

急いでページをめくれ

オーケストラのパート譜などで、急いで次のページにめくらなければならない場合に、ページ末に表記される注意マーク。

ノータ・ベーネ

NB.

外国語表記

〔伊:nota bene〕

解説

注を意味する記号で、作曲者の演奏指示や校訂者の注釈などを伴って、欄外などに入れられます。

チューズラ

外国語表記

〔伊:caesura〕

解説

「句読点」

楽曲の大きな段落分けなどを強調する場合に使うほか、同じ五線内に別のパートを併記する場合などにも使います。

 

アーティキュレーション 〔英:articulation〕

 

アーティキュレーションとは、フレーズ内の旋律にある形や意味を与えるために、各音相互の結び付け方や区切り方のことをいいます。

  







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