カノンの種類 【楽典】ピアノ/クラシック入門 初心者向け音楽 音符・楽譜の読み方
カノンは先行する声部の旋律を、後から他の声部の旋律が厳格に模倣して楽曲を構成する技法で、カノンは13世紀頃に起こりバッハの器楽曲で集大成されました。
canonの英語には、<教会法令集、学問、芸術分野で公理として受け入れられている規範、原則>などの意味があり、語源のギリシア語は<規則、標準>を意味し、カノンが厳格な規則で作られることに由来します。
カノンの種類 [英・仏:canon 独:Kanon 伊:canone]
フーガの構造を知る前に、まずカノンを紐解く必要があります。フーガはバロック時代に集大成された古い形式です。
そのバロック時代が複旋律(ポリフォニー)音楽の隆盛期であったため、対位法(追いかけの技法)によって構成される複音楽を知るために、カノンの技法や構成を取り上げる必要があり、次のような種類があります。
カノンの種類 | 技法 |
---|---|
平行カノン
(順行カノン) |
平行カノン
「先行する旋律を輪唱曲のように同じ音程で模倣するもの」
◇平行(順行)カノンの例<1度のカノン>
先行旋律(主題) 模倣旋律(追唱) |
反行カノン
(転回カノン) |
反行カノン
「先行する旋律を転回(反転)させた形で模倣するもの」
◇反行(転回)カノンの例
先行旋律(主題) 模倣旋律(追唱) |
逆行カノン
(蟹行カノン) |
逆行カノン
「先行する旋律の最後の音から、逆に読み進めた形(逆行形)で模倣するもの」
◇逆行(蟹行)カノンの例
先行旋律(主題) 模倣旋律(追唱) |
逆行転回カノン |
逆行転回カノン
「逆行と転回を混合したもの」
◇逆行転回カノンの例
先行旋律(主題) 模倣旋律(追唱) |
拡大カノン |
拡大カノン
「先行する旋律の各音を、一定の比率(整数倍)の長さにして模倣するもの」 |
縮小カノン |
縮小カノン
「拡大カノンの反対で、先行する旋律の各音を一定の比率で音価を短くした、等倍より小さい何分の一の長さにして模倣するもの」 |
反比例カノン
(逆比例カノン) |
反比例カノン
「拡大と縮小を同時に用いたもの」 |
有限カノン |
有限カノン
「演奏の最後にコーダ(結尾句)によって各旋律が同時終止するもの」 |
無限カノン (循環カノン / 永久カノン) |
無限カノン
「各声部の旋律が最後まで進むとまた始めに戻り、幾度となく繰り返され終わらないもの」 |
多重カノン (群カノン) |
多重カノン
「先行する多重の声部の旋律を、同じ多重の声部の旋律で模倣するもの」 |
混合カノン |
混合カノン
「先行する3声部以上の旋律で、追いかける模倣の中で、模倣しない声部の旋律が混じっているもの」 |
圏状カノン |
圏状カノン
「先行する声部の旋律を一回模倣する度に、次第に高く転調しながら各声部の模倣を繰り返すもの」 |
謎カノン |
謎カノン
「楽譜に単旋律が記されてあり、そして模倣開始の位置や音の高さなどを示した記号が付けられ、そしてそれをどのように補えばカノンになるのかを演奏者に解かせるもの」 |
様々なカノンの種類がありますが、平行カノンと反行カノン、拡大カノンと縮小カノン、これら以外のカノンは遊戯的な側面と技巧的な色彩の濃いものでもあります。