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フーガの構造 〔羅・伊:fuga 英・仏:fugue 独:Fuge〕

 

フーガは一つの主題を奏する声部に対し、新しい声部が模倣や反復(応答)をしながら加わり展開されていきます。

 

模倣対位法による多声音楽(ポリフォニー)の代表的な音楽をいいます。

 

 

 

フーガ

 

楽曲の冒頭に提示される単旋律の主題(テーマ)が楽曲構成の中心になって、これを複数の旋律が模倣や反復(応答)をしたり、他の不随的な旋律を重ねたりして構成され展開していきます。

 

バロック時代にJ.S.バッハが高度な作曲技法として確立し、集大成を極めた作曲形式で、バッハは鍵盤楽器の分野で特に多くの芸術作品を残しています。

 

トッカータやプレリュードなど、即興的あるいは技巧的な作品と一緒に奏されることが多いのもフーガの特徴です。

 

フーガという言葉は古くはカノンのことをいい、現在の意味でのフーガは17世紀からのことです。この言葉の変遷からもうかがえる様に、フーガは色々な模倣対位法から生まれた音楽です。

 

その後1世紀はフーガの全盛期でしたが、バロック時代の終焉と共にその発展は止まってしまい、ソナタの時代に移ってからはフーガという独立した曲はあまり作られなくなりましたが、その形式はソナタなどの中に用いられていたり、特に宗教曲の中で用いられることが多く、今もなお生き続けています。

 

フーガはソナタ形式の以前に完成されたものなので、ソナタ形式の考え方により、構成されている構造を解釈したもので、カノンの手法を駆使して作曲されるこの種の曲は、その集大成を行ったJ.S.バッハですら同じ構造のフーガを書いていない事からもわかるように、ある程度の技法や原則はあるものの、普遍的な構造は持っていません

 

 

フーガの概念

 

フーガは普遍的なものであり、明瞭に解釈できるものではありません。

 

フーガの起源はすべての声部が等しく模倣に参加する、ポリフォニーの通模倣様式に基づいて作られた16世紀ルネサンスの「モテット」であると言われています。

 

この声楽曲の様式に準じる形で器楽化されたリチェルカーレ、カンツォーナ、ファンタジア、カプリッチョなどを経て、通奏低音に基づく和声プラン、バロック・コンチェルトのリトルネロ的発想、変奏の手法など各時代の様々な音楽形式や作曲技法や楽曲構成法により、複合的に多くの影響を与えている器楽曲としてフーガは一つの完成を見出しました。

 

西洋音楽史においてフーガが成立するバロック時代は、歌詞のもつ情緒や感情の表現が重んじられ、独唱を通奏低音で伴奏するモノディーが生み出され、ルネサンスの対位法の否定が発想の源にあり、その後のホモフォニー音楽の発展のきっかけとなりました。

 

16世紀末から17世紀の初めの頃にかけては、バロックの新しい音楽様式やジャンルの開発期にあたり、モノディー様式、通奏低音、劇的様式(スティーレ・ラップレゼンタティーヴォ)が起こり、声楽ではオペラやオラトリオ、カンタータが生み出されると共に、器楽では協奏様式を取り入れた作品が書かれました。

 

その中でのフーガは、モノディー様式によるオペラの登場、ルネサンスのポリフォニーからバロックの通奏低音に基づくホモフォニーへの移り変わりで、一旦は途切れてしまうにも関わらず、17世紀以後も対位法的技法は途絶えることなく存続し、平均律と和声を基礎としながら転調と模倣技法を巧みに操り、その潜在していた可能性を極限まで追求し、バッハによって十二分に引き出されたフーガは全盛期を迎えます。

 

後の歴史的変遷でソナタ形式へと移りますが、その形式はソナタ等の中に受け継がれ、なおもフーガの中で楽曲構成法は生き続けているのです。

 

 

 

フーガの構造

 

単一主題によるフーガの構造は、模倣様式に基づく連続形式です。

 

頭の提示部より後の部分の構成については、通奏低音的な和声と転調のプラン及び変奏の技法であり、カデンツや転調を含め楽曲全体に明瞭な切れ目がない連続形式で、型にはまった形式ではないので何部分構成や何部形式というものではありません。

 

ジョスカン・デ・プレ以後のモテットでは、単一の主題的旋律に基づいて作られた音楽的小区分を指すポイント(16世紀多声音楽に関わる用語)の終りと、次のポイントの始まりとは重なり合って連続していることが多く、フーガも同様にカデンツでは、一つのカデンツの終りと次のカデンツの始まりとが一つに重ね合わされていたり、転調の際にも一つの調の和音を他の調の和音に読み替えられて転調されていたりと、切れ目を見出すのが難しいことにあります。

 

フーガの各部分や構成要素が、型にはまらず柔軟に変貌自在に扱われ、一つの連続として応答が主調から属調への転調を伴い、そして推移的な部分である間奏は、主題や応答、主調へと回帰する部分として必然的に生まれることになります。

 

つまり冒頭の提示部の構成により、その後の楽曲構成が生まれることになり、それぞれの間奏で現れる旋律素材は冒頭の提示部に由来するものであり、対位旋律についても冒頭の提示部の主題の素材(動機)より構成され、変奏の技法も取り入れられ音形が変化したりと、楽曲全体の調プランを確立するよう旋律素材の巧妙かつ自由な扱いをみることができます。

 

展開部、反復部、嬉遊部、挿句部、結句、間句、間奏など色々な呼称がありますが、ここでは煩雑さを避けるために、冒頭の提示部以後の転調プランに基づく主題や応答で構成されている部分を、第2提示部、第3提示部・・・とし、各提示部へ橋渡し役の推移的な部分を間奏1、間奏2・・・とします。

 

バッハのフーガの多様性を前提とし、転調プランに基づく構成で見ていきます。

 

フーガは声部の数によって二声のフーガ、三声のフーガ、四声のフーガなどがあり、カノンのように多重フーガ、反行フーガ、拡大・縮小フーガなどの種類もあります。

 

もともとは合唱のための曲種で、合唱は混声四部が完全な形となりますので、ここでは4声部のフーガ、そして最重要素である冒頭部を中心に見ていきます。

 

 

 

冒頭提示部

 

構成するのは、主題(ドゥックス)、応答(コメス)、対唱(対旋律)の3要素

 

 

①第1声部で主題である旋律(主唱)が提示されます。

 

第1声部(アルト):ドーレーミーファーミーレード

 

②第2声部が第1声部の主題に対し、属調(5度上又は4度下)で応答し主唱を模倣します。

 

第1声部(アルト):応答に対して対唱(対旋律)、短めの要素で協唱。
第2声部(テノール):ソーラーシードーシーラーソ(5度上の属調で平行カノン)

 

③第3声部で音域等を考慮し、第1声部の主題を演奏します。

 

第1声部(アルト):自由唱(自由旋律)
第2声部(テノール):第3声部の主題に対して対唱(対旋律)、短めの要素で協唱。
第3声部(バス):ドーレーミーファーミーレード(1オクターブ下)

 

④第4声部が第3声部の主題に対し、属調(5度上or4度下)で応答し主唱を模倣し冒頭提示部終了。

 

第1声部(アルト):自由唱(自由旋律)
第2声部(テノール):自由唱(自由旋律)
第3声部(バス):第4声部の応答に対して対唱(対旋律)、短めの要素で協唱。
第4声部(ソプラノ):ソーラーシードーシーラーソ(5度上の属調で平行カノン)

 

冒頭提示部をまとめると下記のようになります。

 

・単一主題による四声のフーガの場合

 

展開主要

第一声部 主題(主調) 対唱(対旋律) 自由唱(自由旋律) 自由唱(自由旋律)
第二声部   応答(属調) 対唱(対旋律) 自由唱(自由旋律)
第三声部     主題(主調) 対唱(対旋律)
第四声部       応答(属調)

 

・二つの主題による四声の二重フーガの場合

 

展開主要

第一声部 主題A 対唱(対旋律) 主題B

第2声部の対唱
(対旋律)

第二声部   応答(属調)

第3声部の対唱
(対旋律)

主題Bの応答(属調)
第三声部     主題A(主調)

第4声部の対唱
(対旋律)

第四声部       主題Aの応答(属調)

 

この後、第2提示部までの橋渡し役である主題の旋律要素を用いた推移的部分の間奏が来ますが、バッハではここに対提示部(結句)というソナタ形式での確保のような働きを持つ部を作り付ける事もあり、これ以降、間奏1→第2提示部→間奏2→第3提示部・・・と続きます。

 

最後の間奏の最終部分では、バスに属音保続音が現れ第1のクライマックスを迎え、最後の提示部はコーダにあたりますが、また主題と応答が再現し終曲へと導き、次第にそれが接近する場合(ストレッタ)があり、ここが第2のクライマックスとなり最後の提示部の長さは一定せず終了します。

 

終わりには主音保続音の上で、主題の拡大や反行が行われることがあります。

 

冒頭提示部のまとめ

 

・主題が提示された後、別の声部が属調で模倣(5度カノン)することを応答といいます。

 

・主題や応答に対して伴奏ではなく、対位法を用いてメロディらしさを保つことを対唱といいます。

 

・対唱(対旋律)は、主題や応答の旋律が展開している間は、常に別の声部で順次進行します。

 

 

 

フーガ形式の例(ハ長調第3提示部の場合)

 

 

 

 

4声フーガの例

 


  







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