楽器の音域 【楽典】ピアノ/クラシック入門 初心者向け音楽 音符・楽譜の読み方
オーケストラで使用される楽器は、どの楽器も充分に独奏楽器としての性能を誇りますが、オーケストラで用いられる際は人間の声域と対応して4つの音域の区分に編成されます。
これには作曲の基本が混声四部合唱曲を書くことに起因しています。4種類の声域ではソプラノ→アルト→テノール→バスの順に低くなり、各音域に楽器を当てはめていきます。
ソプラノ(soprano) | フルート、トランペット、第1ヴァイオリン |
---|---|
アルト(alto) | オーボエ、ホルン、第2ヴァイオリン |
テノール(tenore) | ヴィオラ、クラリネット、トロンボーン(テナー) |
バス(bass) | チェロ、ファゴット、トロンボーン(バス)、コントラバス、チューバ |
コントラバスとチューバは、バスを補強するための楽器です。
各楽器の音域に適した楽譜を書くために、使用される音部記号が決まっています。
ソプラノにあたる楽器では全ての楽器がト音記号となり、アルトにあたる楽器ではホルン以外はト音記号で、ホルンだけが音域が広いので併用してヘ音記号も用います。
テノールにあたる楽器では、ヴィオラはアルト記号(ハ音記号)、テナー・トロンボーンはテノール記号(ハ音記号)を用います。
バスにあたる全ての楽器はヘ音記号となります。
ハ音記号とヘ音記号で記譜される楽器は、楽曲によって高い音域になる場合に別の音部記号も用いることがあり、ヴィオラはト音記号、チェロはテノール記号とト音記号、ファゴットはテノール記号、コントラバスは例外的にト音記号を用います。
以上のことから、オーケストラの総譜(スコア)を読むためには、ト音記号とヘ音記号に加えて、アルト記号とテノール記号のハ音記号を読む必要があることがわかります。
弦・管楽器は出せる最低音は決まっていますが、最高音は奏法や演奏者により上限が変わります。
高音部記号(ト音記号) | フルート、トランペット、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、オーボエ | |
|
高音部記号(ト音記号) |
ホルン |
低音部記号(ヘ音記号) | チェロ、ファゴット、トロンボーン(バス)、コントラバス、チューバ | |
アルト記号(ハ音記号) | ヴィオラ | |
テノール記号(ハ音記号) | トロンボーン(テナー) |
<高い音域の場合>
ヴィオラ | 高音部記号(ト音記号) | |
---|---|---|
チェロ |
テノール記号(ハ音記号) |
|
ファゴット | テノール記号(ハ音記号) |
打楽器では、ピアノのような音律のあるものはト音記号やヘ音記号で記譜し、その他は一線譜のリズム譜を用いて記譜します。
その場合にも高音域のトライアングルやシンバル、中音域の小太鼓、低音域の大太鼓や銅鑼など、高音域から低音域といった順に上下に並べて記譜するのが一般的です。
ト音記号・・・シロフォン、グロッケンシュピールなど
ヘ音記号・・・ティンパニなど
弦楽器の音域
ヴァイオリン |
---|
外国語表記 |
〔英violin〕 〔独:Violine / Geige〕 〔仏:violon〕 〔伊:violino〕 〔略:Vn. / Vl. / Vln.〕 |
音域 |
ヴァイオリンの開放弦
ヴァイオリンの音域
高音部譜表(ト音記号)を使用 |
ヴィオラ |
外国語表記 |
〔英:viola〕 〔独:Bratsche〕 〔仏:alto〕 〔伊:viola〕 〔略:Vla. / Bra. / Alt.〕 |
音域 |
ヴィオラの開放弦
ヴィオラの音域
アルト譜表(ハ音記号)を使用 <高い音域の場合> →高音部譜表(ト音記号)を使用 |
チェロ |
外国語表記 |
〔英:cello / violoncello〕 〔独:Violoncello〕 〔仏:violoncelle〕 〔伊:violoncello〕 〔略:Vc.〕 |
音域 |
チェロの開放弦
チェロの音域
低音部譜表(ヘ音記号)を使用 <高い音域の場合> →テノール譜表(ハ音記号)と高音部譜表(ト音記号)を使用 |
コントラバス |
外国語表記 |
〔英:double bass〕 〔英:contrabass〕 〔英:string bass〕 〔独:KontrabaB〕 〔仏:contrebasse〕 〔伊:contrabasso〕 〔略:Cb. / D.b. / K.b.〕 |
音域 |
コントラバスの開放弦
コントラバスの音域
低音部譜表(ヘ音記号)を使用 |
ハープ |
外国語表記 |
〔英harp〕 〔独:Harfe〕 〔仏:harpe〕 〔伊:arpa〕 〔略:Hrp. / Apa.〕 |
音域 |
ハープの音域
大譜表を使用 |
木管楽器の音域(実音)
ピッコロ |
---|
外国語表記 |
〔英:piccolo〕 〔独:Kleineflote〕 〔仏:petite flute〕 〔伊:flauto piccolo / ottavino〕 〔略:Picc.〕 |
音域 |
ピッコロの音域
オクターヴ下げて高音部譜表(ト音記号)に記譜 |
フルート |
外国語表記 |
〔英:flute〕 〔独:Flote〕 〔仏:flute〕 〔伊:flauto〕 〔略:Fl.〕 |
音域 |
フルートの音域
高音部譜表(ト音記号)を使用 |
オーボエ |
外国語表記 |
〔英:oboe〕 〔独:Oboe〕 〔仏:hautbois〕 〔伊:oboe〕 〔略:Ob.〕 |
音域 |
オーボエの音域
高音部譜表(ト音記号)を使用 |
イングリッシュ・ホルン(コーラングレ) |
外国語表記 |
〔英:english horn〕 〔独:Englishes Horn〕 〔仏:cor anglais〕 〔伊:corno inglese〕 〔略:E.hrn.〕 |
音域 |
イングリッシュ・ホルンの音域
実音の完全5度上の音を高音部譜表(ト音記号)に記譜 |
クラリネット |
外国語表記 |
〔英:clarinet〕 〔独:Klarinette〕 〔仏:clarinette〕 〔伊:clarinetto〕 〔略:Cl. / Kl.〕 |
音域 |
クラリネットの音域
B♭の楽器は実音の長2度上の音を高音部譜表(ト音記号)に記譜 |
バス・クラリネット |
外国語表記 |
〔英:bass clarinet〕 〔独:BassKlarinette〕 〔仏:clarinette basse〕 〔伊:clarinetto basso / Clarone〕 〔略:B.Cl. / B.Kl.〕 |
音域 |
バス・クラリネットの音域
オクターヴと長2度上げて高音部譜表(ト音記号)に記譜 |
ファゴット(バスーン) |
外国語表記 |
〔英:bassoon〕 〔独:Fagott〕 〔仏:basson〕 〔伊:fagotto〕 〔略:Fag. / Bsn.〕 |
音域 |
ファゴットの音域
低音部譜表(ヘ音記号)を使用 <高い音域の場合> →テノール譜表(ハ音記号)を使用 |
コントラファゴット(ダブル・バスーン) |
外国語表記 |
〔英:double bassoon〕 〔独:Kontrafagott〕 〔仏:contrebasson〕 〔伊:contrafagotto〕 〔略:K.fag. / D.bsn.〕 |
音域 |
コントラファゴットの音域
オクターヴ上げて低音部譜表(ヘ音記号)に記譜 |
金管楽器の音域
ホルン |
---|
外国語表記 |
〔英:horn / french horn〕 〔独:Horn〕 〔仏:cor〕 〔伊:corno〕 〔略:Hrn. / Cor.〕 |
音域 |
ホルンの音域
完全5度上げて高音部譜表(ト音記号)に記譜 |
トランペット |
外国語表記 |
〔英trumpet〕 〔独:Trompete〕 〔仏:trompette〕 〔伊:tromba〕 〔略:Trp. / Tp. / Tba.〕 |
音域 |
トランペットの音域
高音部譜表(ト音記号)を使用 |
トロンボーン(テナー) |
外国語表記 |
〔英:trombone〕 〔独:Posaune〕 〔仏:trombone〕 〔伊:trombone〕 〔略:Trb. / Pos.〕 |
音域 |
トロンボーン(テナー)の音域
低音部譜表(ヘ音記号)を使用 <高い音域の場合> →テノール譜表(ハ音記号)を使用 |
トロンボーン(バス) |
外国語表記 |
〔英:bass trombone〕 |
音域 |
トロンボーン(バス)の音域
低音部譜表(ヘ音記号)を使用 |
チューバ |
外国語表記 |
〔英:tuba〕 〔独:Tuba〕 〔仏:tuba〕 〔伊:tuba〕 〔略:Tub. / Tba.〕 |
音域 |
チューバの音域
低音部譜表(ヘ音記号)を使用 |