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管楽器の材質と仕上げ~管楽器の性格と特徴

管楽器の材質

 

  • 貴金属でお馴染みの銀ですが、管楽器では多くのフルートがこの銀で作られています。その他で銀を使用しているものに、トロンボーンのベル、マウスパイプ(吹き込み管の中にセットされている管)があります。
  • また、銀で製作されたトランペットも一部にあります。真鍮や洋銀に比べ銀は比重が重いため、響き渡りは良いですがその分体力も必要とします。

  • 貴金属で多用されている高価な金ですが、管楽器では一部の高級フルートに使用されている程度です。金は非常に柔らかいという性質があり、金管楽器のベルのような薄い部分に使用するとすぐに変形したり凹んだりしてしまいますので、管楽器では不向きな材質となります。
  • フルートに使用される場合も24K(純金)では柔らかすぎるので、9K・14K・18Kなどが使われています。金は非常に比重が重いので響き渡る度合いも増しますが、上級者でないと上手く扱うことができないのでプロの奏者に愛用されています。さらに比重の重いプラチナ(白金)製フルートを使用する奏者もいます。

洋銀

  • 洋銀は真鍮の原料である銅と亜鉛の他にニッケルが混ぜられたもので、別名ジャーマンシルバー(洋白)やニッケルシルバーと呼ばれる合金です。銀よりも手頃で音が鳴りやすいことから、初心者用のフルートに使われることが多いです。
  • また、真鍮に比べると錆びにくい為、楽器の接合部分の管にも用いられます。真鍮より音がダークになりますが、ホルンなどの一部の金管楽器のベルも洋銀で作られることがあります。

真鍮(イエローブラス)

  • 金管楽器で最も使用されるのが、銅と亜鉛の合金である真鍮のイエローブラスです。磨かれた際の表面は、金を彷彿させるほど黄色く光るのが特徴です。
  • 加工がしやすく響きやすい性質があるため、金管楽器に留まらずサクソフォンの材質としても用いられています。

真鍮(レッドブラス・ゴールドブラス)

  • レッドブラス・ゴールドブラス共に、イエローブラスと同様の銅と亜鉛の合金ですが、異なる点はどちらもイエローブラスより銅の含有率が高いことです。そのため見た目に赤みを帯びているのが特徴です。
  • さらにレッドブラスは、ゴールドブラスより銅の含有率が高いため銅に近い色になります。イエローブラスの音色に変化を与えるため、金管楽器のベルなどにこれらの合金が使われます。また、腐食に強い性質があるため吹き込み口のマウスパイプにも用いられます。

グラナディラ

  • グラナディラはアフリカに生息する黒い木材の呼称です。黒檀とは見た目が黒いことで混同されることがありますが、全く別物の木になります。非常に堅い材質のため変形しにくい特性があり、クラリネットやオーボエの管体に使われています。また、フルートに用いられることもあります。

メープル

  • メープルとは黄みを帯びた白色の楓の木の呼称で、蛙の手に似た葉やメープルシロップが有名です。ヴァイオリンやチェロの裏板に用いられ、管楽器ではファゴットの管体に使われています。
  • ファゴットや弦楽器のボディには、塗料やニスが塗られているため茶色い色をしています。楽器以外では、野球でメープル製のバットが使用されています。

ABS樹脂

  • 木材とは異なり、湿度によって変化が起きない特性を備えるプラスティックの一種です。丈夫で堅く、入門者用のクラリネットのボディに使われています。
  • また、丈夫で軽量化も図れることから、スーザフォンのボディにも多く用いられます。

 

 

金管楽器&サクソフォンの表面仕上げ

 

ラッカー仕上げ

  • 金管楽器とサクソフォンで一般的に用いられる表面仕上げです。地金の金属の上に樹脂系の塗料をコーティングしたもので、このコーティングを施すことで、地金の美しさを長きに渡って保つことができます。
  • また、音色が明るくなり適度なしまり具合を与えると言われています。メンテナンスも容易で湿気にも弱くはありません。透明なクリアラッカーの他に、ゴールドラッカーやブラックラッカーなどもあります。

銀メッキ仕上げ

  • ラッカー仕上げの次に金管楽器で用いられる仕上げです。金管楽器のトランペットやユーフォニアムで好まれる他に、クラリネットやオーボエなどのキーにも銀メッキ仕上げが施されています。
  • 見た目は銀と同じで地金の錆びやすさを防いでくれますが、銀製と同様に磨かずにいると、黒ずみが進行し紫色に変色しやすいという難点があります。

金メッキ仕上げ

  • 見た目が金と同じになる仕上げで、コストは高くなりますが、外観が豪華で美しくなり銀メッキよりもメンテナンスが容易だというメリットがあります。他の仕上げに比べると、音色や吹奏感は重厚感が増して音の通りが良くなると言われています。
  • また、銀メッキのように黒ずむことがないため、金管楽器のマウスピースや銀製のフルートに用いられることもあります。

サテン仕上げ

  • サテンの呼称は、砂状の粒を高速で打ち付けた際、布のサテンのようになるところから呼ばれ、表面を細かい粒子状にして光沢を抑えて艶消しにする仕上げです。銀メッキの上から加工したサテンシルバー、金メッキの上から加工したサテンゴールドがあります。
  • また、地金に加工したものやその上にラッカーを施したものもあります。サテン仕上げのメリットは、見た目の質感が渋くなることと、表面の反射が複雑になることで音色に味わいが加わることです。

ノーラッカー仕上げ

  • 地金のままで表面に何の仕上げも施していないものを指します。素材本来の音が出ると言われますが、表面に錆びや汚れが発生しやすくなるので小まめなメンテナンスを要します。初期段階での酸化を施せば、表面が酸化膜でコーティングされる形になり比較的メンテナンスが軽減します。
  • 湿気の多い日本では、ラッカーやメッキ仕上げを施されたものを選択するのが無難かもしれません。ヨーロッパの古い金管楽器やヴィンテージサクソフォンには、ノーラッカー仕上げのものが多く、現代でもホルンやチューバでノーラッカー仕上げを好む人がいます。

 

 

 

様々な材質の楽器

 

グラナディラ製フルート

  • 現代のフルートは金属製ですが、古くは木で作られていた楽器でした。バロック期や古典派の時代のフルートは茶色い柘植などで作られていましたが、19世紀に入るとアフリカなどの植民地から輸入された黒のグラナディラが多く用いられるようになります。
  • 木製フルートはその後、加工面での利便性や気候の影響を受けにくいことから金属製へと移り変わります。しかし、木の独特の味わいが消えることはなく、木製フルートを愛用する奏者が途絶えないので、メーカーは木製のフルートも製作し続けます。
  • その背景には、現代の優れた加工技術の導入により、木のボディを薄く頑丈に製作する技術を可能とし、木製の特性を残しつつ金属製と同等の性能を得られるようになったことが関与しています。

金属製クラリネット

  • 古くはクラリネットやオーボエも金属製のものが存在しました。これらの楽器を金属で製作した場合、音量が増し粗雑な音質になるイメージがありますが、実音は木製クラリネットとさほど変わりません。
  • 現代では金属製クラリネットは一般的に殆ど使用されなくなりましたが、大型のコントラアルト・クラリネットやコントラバス・クラリネットは金属製のものが主流です。
  • フルートの金属製は音量増加を図るためでしたが、クラリネットの金属製は、野外で使用する際のメンテナンスの簡略化を図るためでした。

木製ベル付きトランペット

  • 金管楽器のように唇を振動させて音を出す楽器の中には、金属以外の材質で作られたものもあります。例えば、スイスの民俗楽器である木製のアルプホルンや、日本の法螺貝などがあります。
  • クラシックで用いられる金管楽器にも、金属以外の材質で作られたものがあり、ワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』で使用される「ホルツトランペット」などがそうです。
  • ホルツトランペットは木のトランペットという意味で、アルプホルンのような音色と外観を図った楽器です。長細い木製のベルを備え一本のピストンで演奏します。
  • その他の楽器では、同じくアルプホルンのような音色を図られベルのみ木製にしたフリューゲルホルンや、音の柔らかさを図るために作られた木製ベル付きのピッコロトランペットなどがあります。

  




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