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フルートの構造と特徴 ~初心者入門 木管楽器 フルートの仕組み

フルート本体と特徴

 

 

 

 

 

ベームシステム

 

現代で用いられているフルートの大半は、「べームシステム」と呼ばれる方式を採用しています。以前のフルートは、リコーダーのように先端に向かって細くなっていく逆円錐形の管を備え、小さな孔を指で直に押さえる構造のものでした。

 

ベームシステムは、さらに豊かな音量と均質な音質が得られるように、19世紀ドイツのフルート奏者兼製作者のテオバルト・ベームによって改良した楽器のことを言います。

 

ベームシステムの具体的な構造は、音量の豊かさを増すために管の内側を円筒形にし、半音順に大きな孔を開け、キーの操作で開閉するという構造に変えたものです。音孔が半音順に開いているため、半音階を演奏するときの指使いが機能的になりました。

 

また、クラリネットもべーム式と呼ばれることがありますが、ベームフルートと同じような構造は持ち合わせていないので、名前を拝借した形で正確なベーム式とは言えないことがあります。

 

どちらかと言えばサクソフォンの方が、半音順に開けた大きな音孔をカップキーで押さえるという点でベームシステムに近いと言えます。

 

 

 

カヴァードキーとリングキー

 

べームシステムのフルートは、音を切り替える音孔の大きさが人の指先よりも大きいため、カップ型のキーで塞ぐ必要があります。このベーム式の構造では直に指で押さえることができないので、指で穴の塞ぎ具合を微調整して、音程のニュアンスを変えるということができないデメリットがあります。

 

それに対応するために、大きなカップキーの中央部に指で押さえる孔を開けたのがリングキーのフルートです。このキーの構造によって音程の微妙な変化を行うことが可能になり、キーに孔が開いたことで音が開放的で明るくなるというメリットがありますので、多くの上級者の方に利用されています。

 

反対にキーに穴が開いていないカヴァードキーのフルートは、初心者の方や手の小さい方でも無理なくキーを押さえることができます。また、キーを閉じた際に管の内部に複雑な凸凹ができないというメリットもあります。先入観に捉われることなく、両タイプを試奏して自身にとって演奏しやすいものを選ぶといいでしょう。

 

 

 

 

オフセットとインライン

 

フルートのキーの配置には、本体の音孔が真っ直ぐ一直線のラインに並んでいるインラインのリングキーフルートと、一直線ではなく左手の薬指が届きやすくて押さえやすいように音孔が配置されているオフセットのリングキーフルートがあります。

 

直線上にキーが配置されているインラインモデルは、パーツの数が少なくて余分な部品が管体に付かない分、抜けの良い響きが得られるのが特徴で、リングキーのフルートは殆どがインラインモデルになっています。

 

初心者の方や趣味で楽しむ方には、カヴァードキーのオフセットタイプが楽に構えることが出来るモデルになっています。また、インラインになかなか馴染めずカヴァードのオフセットモデルの使用が長い方で、リングキーで演奏したい場合は、リングキーオフセットモデルもオプションとして出しているメーカーもありますので、検討してみるのもいいでしょう。

 

 

 

 

Eメカニズム

 

Eメカニズム」とは、フルートの演奏で出しにくい3オクターヴ目のE(ミ)音を、出しやすくするために備えた機構のことを言います。E(ミ)音は古典派やロマン派の美しい旋律や、現代曲の技術的に高度な作品にも多く用いられている音なので、演奏する楽曲によってはEメカニズムは極めて有効なシステムと言えるでしょう。

 

ただし、Eメカニズムを備えていることで、僅かに重量が増えることや、高音域でのトリルの指使いが変わってしまうなどの要素がありますので、一概に装備されていれば良いと言えるものではありません。先ずは楽器の特性をしっかりと認識した上で、自分に合ったものを選ぶことが大切です。

 

具体的な仕組みでは、フルートの音作りはキーを一つずつ開けていくことで半音ずつ高くなり、2オクターブ目からは倍音を用いて鳴らしていきますが、高音のEの音は低いEの第4倍音になりますので、Eの管の長さの下から1/4の箇所に穴が開いていればいいことになります。

 

 

1/4の箇所のキーは左手の薬指で押さえるAキーで、そこが開けばいいのですが、Eメカニズムが付いていないフルートは、その隣の表G#のキーも一緒に開くことになります。そこで、その表G#のキーを閉じようとする機構がEメカニズムです。

 

 

Eメカニズムが搭載されいないフルートは、一つキーが多く開いているため、3オクターブ目のEの音が出にくいという現象が起こるのです。

 

同じような現象は3オクターブ目のF#にも感じられることですが、これは楽器の特性上で起こりうる現象ですので、音が出にくいことは仕方のない事になります。

 

Eメカニズムが装備されていない場合は、息のスピードをコントロールする必要があります。3オクターブ目のD(レ)音を生み出す管の長さより、E(ミ)音を生み出す管の長さの方が長くなりますので、それだけ息のスピードを上げなくてはならないのです。

 

総合的な観点としては、カヴァードキーとリングキー、オフセットとインラインなど、他のメカニズムとの相性や、自身が演奏する楽曲のジャンルなどを考慮して、その必要性を判断して選択すると良いでしょう。

 

傾向的にはオフセットのフルートを好まれる方はEメカニズムありを、インラインのフルートを好まれる方はEメカニズムなしを選択しているケースが多いようです。

 

 

 

C足部管とH足部管

 

フルートには、一番低い音がC(ド)音まで出るC足部管タイプのフルートと、それよりも半音低いH(シ)音まで出るH足部管タイプのフルートがあります。初心者用のモデルではC足部管タイプのフルートが大半ですが、上級者の方などはH(シ)音までカバーしているH足部管タイプのフルートを利用する人が多いです。

 

本来ベームシステムのフルートの最低音はC(ド)音まででしたが、古くにドイツで用いられていたフルートが低いHの音まで出すことができ、オーケストラの楽曲で出てくる低いHの音に対応することができたため、H足部管の需要が広まっていきました。

 

H足部管を使用する目的は、オーケストラの楽曲に出てくる低いHの音に対応するためもありますが、H足部管が利用されている背景には、「最低音をHまで伸ばすと高音域が安定する」という利点があり、高音域の音を上ずらないように安定して出すためにH管が適しているということで、オーケストラの1番吹きの方もH足部管を利用していることがあります。

 

H足部管タイプのフルートは、C足部管タイプのフルートより当然ながら重量が増えることになり、演奏も変わってきますので、初心者の方はC足部管タイプのフルートから始めるといいでしょう。

 

 

 

 

仲間の楽器~ピッコロ~

 

フルートのオクターヴ上の音域を備える小型の笛。

 

およそフルートの半分くらいの大きさの可愛らしい楽器で、基本的なメカニズムはフルートと変わりませんが、管の形状は円筒形のフルートとは異なり、先端に向かうほど細くなっていく逆円錐形で、最低音はD(レ)音までとなっています。

 

また、金属製のピッコロよりも木製のピッコロの方が多く使用されています。

  




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