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日本伝統音楽の土台<古代~中世>

 

後に日本の伝統音楽の根幹となる部分は、西暦1000年頃には総じて整ったとはいえ、芸能や文化史の方面では、中世的な傾向が著しくなったと推測されています。

 

今様が当世風の象徴であり、言葉の内容が意味する意思表示を伝え届けることを、演奏の目的に据える傾向が著しくなっていきます。

 

13世紀には平家(平曲)が確立し、平家(平曲)は稚楽器の琵琶を伴奏に、長大な物語文学を弾き語りしていくもので、日本語による物語形式の声明の技法を採用しています。

 

古代の音楽文化である雅楽と仏教音楽を、盲人で僧形の芸能者が引き継いで、新時代の芸能を繰り広げたと推測されます。

 

後の中世の末に本土に伝来した、三味線を伴奏とする語り物の形成に影響を与えたのが琵琶で、伴奏楽器に琵琶を用いた語り物は、近世・近代にも繁栄しました。

琵琶を用いた音楽は琵琶楽と総称され、器楽楽器として展開したのは、楽器輸入当時の伝承を保つ雅楽の琵琶のみです。

 

日本で発生した琵琶の場合は、仏教経典や説話を唱えながら奏する法要の琵琶が始まりで、すべて声楽の伴奏楽器としての用途です。

 

九州に現存する琵琶を宗教的に奏するものに、筑前盲僧・薩摩盲僧・肥後盲僧・日向盲僧などがあります。読経と琵琶の繋がりは、後に仏教説話・和讃などから、別の技芸として一般的な語り物を取り入れるようになりました。

 

宗教的な行いを脱した語り物音楽である平家(平曲)は、盲僧琵琶以来の伝統を受け継いだとされ、また声明の講式の技法と平家の施律型の関わりが言及され、比叡山の慈鎮の参画を暗示する資料もあります。

 

中世が過ぎ去り江戸時代に入ると、平家琵琶は箏曲や地歌などと共に、当道(とうどう)という盲人が統括する音楽家組織に属しました。

 

盲人専業の体制が長く続いた後、宗教芸能から晴眼での鑑賞芸能へと変化し、武家階層を演奏者に据えた薩摩琵琶・筑前琵琶などの新しい種目が生み出されました。

 

近代では新たな観衆の層を開拓し、琵琶はやがて日本を代表する楽器へと成長し、現代音楽でも用いられるほどの地位を得るようになりました。

  




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