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音楽と空間の相互作用

 

演奏音が豊かに響くように、コンサート・ホールの設計には様々な工夫が込められています。

 

ホールの響きが豊かな音色を形成し広がり感を生み出し、演奏音の最後のスパイスとなり得ます。

 

 

 

コンサート・ホールの機能

 

コンサート・ホールは聴衆者へ音を届ける空間であり、最後のスパイスとなるべく重要な役割を担います。コンサート・ホールの空間で聴く音楽の生の臨場感は、音の広がりや豊かな音色で響くように、緻密に設計された工夫のもとに成り立ってもたらされています。

 

電力を使用しないクラシック音楽の場合、楽器が織りなす演奏音の響きの美しさの度合いは、ホールによって左右されますので、演奏会場は重要な要素となります。そのため、コンサート・ホールには厳しい音響条件が求められています。

 

ホール内の空間で音楽を楽しむためには、外部の音が侵入しないように十分な遮音をする必要性があり、外部からの音や振動がホール内の空間に伝わらないように、壁を二重にするなどしてホール内の空間と外部を遮断します。さらに空調の音などにも細心の注意を払い、空気が流れる経路での小さな音なども極力抑えられるように工夫がなされています。

 

コンサート・ホールは、多くの聴衆者が時間的芸術を楽しむための空間です。そのためにホール内の隅々にまで音が行き届くように配慮された設計が必要とされ、どの席においても十分な音量が得られるようにする必要があります。

 

ホール内の演奏音は沢山の壁に反射して届けられますが、壁からの反射が集中してしまうと、音の焦点(サウンド・フォーカス)と呼ばれる局所的に音量が上昇する場所ができてしまいます。反対に音が十分に行き届かない場合は、音量が小さくなるデッド・スポットと呼ばれる場所が発生してしまいます。このような現象が生じないように、コンサート・ホール内の形状をデザインする必要があります。

 

コンサート・ホール内での響きの度合いも重要な要素であり、どの程度の響きが妥当なのかは音楽のジャンルによって異なってきますが、響かない空間ではホール内の生演奏の醍醐味が減ってしまいますので、響き過ぎない程度の適度な響きが求められます。

 

ホール内の音の響きは、壁や天井からの反射音によって形成され、程良い響きを作り出すためにホール内全体の容積、形状、壁や天井の材質の吸音性能などを考慮して音響設計を行います。現代ではホール内の響きの状態を正確に見積もるために、コンピューター・シミュレーションが用いられます。

 

音の焦点(サウンド・フォーカス)

 

 

ホール内での音の響き

 

 

 

演奏音の広がり感とエコー

 

音の広がり感は音楽演奏のクオリティを決定づける重要な要素であり、コンサート・ホール内での音の広がり感の程度もホール特性の重要な要件となります。十分な広がり感を得るためには、様々な角度からの反射音がありますが、十分に耳に到達するには横方向からの反射音が有効となります。

 

良い音の条件に広がり感は欠かせませんが、あまり広がり感があり過ぎてしまうと、今度は音像がぼやけてしまう可能性があります。オーケストラのような大規模な音楽であれば、ステージいっぱいに音像が広がるぐらいの迫力があってもいいのですが、ヴァイオリンのソロなどで同じような広がりがあると違和感を残してしまいます。

 

エコーがある環境も演奏には好ましくなく、音が遅れて到達すると直接音と分離して聞こえるため妨げの要因となり、人間の声でエコーがかかると聴きづらくなり、演奏者も演奏しづらい環境となります。

 

反射音は直接音の後にすぐに到達すると、直接音の聞こえを助けて響きを豊かにする働きがありますが、エコーは比較的長い時間をかけて伝搬されるエネルギーの大きい反射音なので、直接音と分離されて聞こえます。演奏音にエコーが加わると、音楽の理解を妨げる要因にもなってしまいます。

 

人間が発する声や演奏する音楽が、まずは発音体として理解できることも大事な要素で、直接音が明確に聞こえていることが重要となります。言葉を正しく理解することだけに焦点をあてた場合には、十分な音量さえあれば反射音は少ないほうがいいのです。またエコーがある場合には明瞭さ著しく低下し、明瞭さは騒音によっても損なわれてしまいます。

  




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