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マルコフ・チェイン

 

メロディのピッチ推移は統計的に階名間の確率分布で表現でき、楽曲の情報伝達効率も示します。

 

ある事象の後に次の事象が発生する確率を推移することを、マルコフ・チェインといいます。

 

 

 

情報理論観点からの音楽理論

 

ピッチ間などの事象間の推移の様子をマルコフ・チェインといい、推移確率で示すことができます。楽曲はある程度の冗長度を持っているもので、ピッチの変化もある程度予測できるようになっています。

 

下図は、民謡や子守歌のメロディの2音間の推移確率を示したものですが、実際の楽曲では3音以上の音の連なりの推移確率も視野に入れる必要があり、ピッチ推移の状況も多少複雑になります。

 

民謡・子守歌のピッチ推移の確率分布

 

先行音 後続音

  休符 ファ
休符 0.38 0.17 0.10 0.10 0.06 0.13 0.03 0.02
0.36 0.23 0.13 0.07 0.02 0.10 0.03 0.07
0.26 0.20 0.21 0.19 0.03 0.06 0.01 0.05
0.22 0.15 0.18 0.16 0.16 0.12 0.01 0.00
ファ 0.15 0.00 0.14 0.35 0.14 0.20 0.01 0.01
0.29 0.14 0.00 0.16 0.06 0.26 0.08 0.00
0.17 0.05 0.07 0.00 0.02 0.36 0.15 0.17
0.18 0.39 0.12 0.01 0.01 0.08 0.21 0.08

 

音楽のジャンルや楽曲そして制作者によって冗長度が異なりますが、等確率で音階上の各音が現われる12音技法を用いた楽曲は、11音目から見た12音目の冗長度は100%となりますので、冗長度の低いジャンルと言えます。

 

冗長度は情報伝達での効率を示す指標で、冗長度の高い情報伝達は効率の悪い状態を意味します。西洋音楽の古典派の作曲家メンデルスゾーンと、ロマン派の作曲家シューベルトとシューマンの作品の2音間のマルコフ・チェインの分析では、数値に違いが表れています。

ロマン派の作曲家シューベルトとシューマンの冗長度はそれぞれ、35.6%、37.3%となり、それに対し古典派の作曲家メンデルスゾーンの冗長度は43.5%と値が大きくなっています。これには、古典主義の秩序を重視したとみられる傾向があり、冗長度の高さに反映したものと考えられ、一方ロマン派の作曲家の作品では比較的冗長度の低い値に反映されています。

 

西洋音楽のクラシック楽曲を対象とした和音の出現確率の分析では、Ⅴの和音が35%以上と最も多く、Ⅰの和音も差がなく続き、ⅠとⅤの和音を合わせた出現率は全体の70%近くに及ぶことがわかりました。

 

これに続くのがⅣの和音であり、Ⅰ、Ⅳ、Ⅴの主要3和音が頻繁に出現していることで、クラシック音楽の調性感を築いていることが顕著に表れています。

 

また和音推移の確率では、Ⅰの和音の後にはⅤの和音、Ⅴの和音の後にはⅠの和音が続く確率が高く、続いてⅣの和音からⅠの和音、Ⅱの和音からⅤの和音への推移確率も比較的高くなっています。これらの和音推移の確率から、カデンツのパターンに従っていることがわかります。

 

和音の出現確率(クラシック楽曲)

 

  







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