ピックでのピッキング
ピック弾きは、指弾きと同様に古くから親しまれている弾き方です。特にロック系では必須と言っていいほどのフォームであり、その他ロックに限らず幅広いジャンルで用いられています。
ピック弾きで大切なことは、正しいフォームで弾くことであり、間違った弾きグセが付かないようにチェックし、プレイアビリティを向上させていきましょう。
ピック選び
どのピックを使用しても問題はありませんが、ピックは膨大な種類がありますので、自分が使用する上で弾きやすいかどうかを判断基準にし、好みに合うものを選ぶと良いでしょう。
メーカーによって硬さの表記基準は様々ですが、ハードやへヴィと記されているものが良いでしょう。形に関しては、ティアドロップ型のような小さいものは避け、おにぎり型などのある程度面積があるタイプを選択するといいでしょう。
ピックは消耗品になりますので、ピック弾きスタイルがメインの場合は、常に予備を用意しておかないといけないので、追加ですぐに手に入るものが理想的です。
ピックの種類
- ある程度硬さのあるものが良い
- ある程度面積のあるものが良い
- マニアックなモデルなどではなく、オーソドックスで簡単に手に入るものが良い
ピックの持ち方
ピックの持ち方も十人十色で基準はありませんが、ベーシックな持ち方では、主に人差し指と親指で支え、中指を少し添えるというイメージです。
手首や手の筋肉は軽くリラックスさせておいた方が良いですが、指まで全てをリラックスさせてしまうと、ピッキング時にピックが飛んで行ってしまう恐れがありますので、ある程度の力は必要になります。
指先だけに力を入れるのが理想ですが、この時に手首やひじ、腕などに余計な力が入らないように気を付けましょう。
実際には常に力を入れているのではなく、弦をピッキングする瞬間に力を入れ、それ以外のときは力を抜いている感覚のイメージです。
ピックの角度
弦に対して平行に当てる
標準的に用いられている当て方で、弦に対してピックを平行に当てる方法です。自然な音色になりやすく、音の粒も揃えやすいなどの特徴があります。まずはこの方法で練習すると良いでしょう。
角度をつけて当てる
弦に対して少し角度をつける当て方で、この方法では平行に当てるよりも少し重たい雰囲気の印象の音になります。また、少しピッキングノイズが入りワイルド感を醸し出すことができ、ワイルド系の音楽ではこのようなピッキングスタイルを用いた方が良い場合もありますが、常に同じ角度で当てないと音色が安定しないという難点がありますので、慣れるまでは難しいかもしれません。
ピックが弦に当たる角度
ピックが弦に当たる角度を考える
気にしないといけないのが角度であり、ストラップの長さを含めたベースの構え方によってもピックが弦に当たる角度は変わり、人それぞれとなってしまいますが、「ピックが弦に当たる角度」によって音色が変わるという事実を認識しましょう。
具体的にはピックが弦に当たる角度が斜めになるにつれ、弦とピックによる摩擦音が増すと同時に弦に伝わるパワーも変化し、これらが音色に影響する要素になります。
ピックが弦に当たる角度に関しては、一般的に多く見られる「順アングル」、摩擦音が比較的少ない「平行アングル」、ベースでは少数ですが黒人系音楽のギターカッティングで多く用いられる「逆アングル」などがあります。
パワーロスの少なさという観点からでは、平行アングルが最も効率は良いのですが、4本の全ての弦に対してこのアングルを保ち続けることは現実的に不可能に近いので、多少の意識を残して極端に斜めになり過ぎないように注意し、実際に音を出しながら、角度の変化で音色とプレイアビリティがどのように変わるかを確かめてみましょう。
ピッキングする位置
- 【ブリッジ寄り】…かなりブリッジに近い位置
- 【中央付近】…最終フレットとブリッジの中間ぐらいの位置
- 【ネック寄り】…フロントピックアップよりもネック寄りの位置
- 【ジョイント付近】…最終フレットの上ぐらいの位置
ボディ上にも幅がありますが、ブリッジ側になるにつれ手ごたえが強めになり、音色は固めになります。反対にネック側になるにつれ手ごたえがゆるくなり、音色は丸くなっていきます。
音色はベース本体のトーン・コントロールやベースアンプなどで変えていきますが、ピッキングする場所によっても音色が変えられるということです。
楽曲の中で速いフレーズだけをブリッジの近くで弾くなどと言う事もあり、部分的に移動しながら演奏することもあります。
ピッキングフォーム
- 【リスト・ターン型】…前腕の回転運動
- 【ストローク型】…前腕の上下運動
- 【ピストン型】…上腕も含めた腕全体を上下
ピッキング・フォームは大きく分けると3通りが挙げられ、一つ目は最もパワーロスの少ない省エネ奏法の「リスト・ターン型」で、小刻みに動くフレーズやテンポの速い時でも対応可能な型です。
ダウン・アップを一定のリズムで繰り返す「オルタネイト・ピッキング」にも適したフォームです。二つ目は8ビートなどの8分弾きなどでよく見られる「ストローク型」で、「リスト・ターン型」と比べると速く小刻みなフレーズにはやや不向きな面があります。
三つ目はベースを低い位置で構えるタイプの人に見受けられる「ピストン型」で、ストラップを長めにして低く構える型は最もパワーロスが多く、速弾きにも適していないフォームになります。
ビジュアル面を考慮したフォームも、場合によっては大事な要素になりますが、技量を持ち合わせた上でのフォームだと言う事を認識しておきましょう。
技術の向上を計っている最中であれば、基礎を身に沁み込ませることが先決であり、自分の出したい音や弾きたいフレーズが思い通りに弾けるフォームや弾き方は、その後に自然と身に付いていることでしょう。