ルネサンス中期(1470~1520年頃)
ルネサンス中期は、15世紀後半から16世紀前半にかけての時代で、ヨーロッパの芸術や文化が大きく変化した時期です。音楽においては、フランドル地域(現在のベルギーやオランダなど)の作曲家たちが活躍し、フランドル楽派と呼ばれる音楽様式を確立しました。
中期ルネサンス音楽の特徴
フランドル楽派の代表的な作曲家ではジョスカン・デ・プレが挙げられ、彼は通模倣様式という技法を用いて、循環ミサ曲やモテットなどの宗教曲を作りました。
通模倣様式とは、声部間で同じ旋律をずらして入れることで、複雑で美しい和声を作る技法です。ジョスカン・デ・プレの他にも、オケゲムやオブレヒトなどの作曲家たちもフランドル楽派に属します。
彼らは宗教曲だけでなく、シャンソンと呼ばれる世俗曲も作りました。シャンソンとは、フランス語で歌われる恋愛や風刺などを題材とした歌曲です。
ルネサンス中期の音楽は、当時の人々の感性や思想を反映した音楽でした。宗教改革や発明技術の発展などによって、人間中心の文化が広がり、音楽もまた人間の声や感情を重視するようになりました。
多声構成の基礎を形成した既存のメロディー(多くの場合plainchantから)であるcantus filmusが使われています。
ドイツ語の合唱団によって歌われる賛美歌であるコラール、フランス語の世俗的な歌であるフランスのシャンソン、イタリア語または英語による世俗的な歌であるマドリガルなどの新しい音楽形式の発展もみられました。
ジョスカン・デ・プレ、ジョヴァンニ・ピエルルイジ・ダ・パレストリーナ、オルランド・ディ・ラッソ、トーマス・タリスなどの新しい作曲家が出現し、また音楽印刷の発明により、音楽作品の普及と保存が可能となりました。