印象主義音楽
印象主義音楽は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてフランスで発展した音楽の流派の一つです。この音楽は、ロマン派音楽に見られるような主観的表現を斥け、激しい情緒や物語性の描写よりも、気分や雰囲気の表現に比重を置いた音楽様式です。
印象主義音楽は、ドイツ後期ロマン派音楽への反動に始まり、中世西洋音楽・ルネサンス音楽などバロック以前の音楽様式の影響の下、長調と短調をぼかすような音楽語法に特徴があります。
その他にも非機能的な和声法や完全音程の平行、旋法性、不協和音の多用、簡潔で明快な形式への偏愛などを特徴とします。一般的にはクロード・ドビュッシーにより始まったとされています。
印象主義音楽は、美学的に言うと、例えばドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』に見られるように、感情を表現しようとか物語を語ろうとかするのではなく、気分や雰囲気を喚起しようとするものです。
印象主義者はこの実現のために、全音音階を積極的に用いて、夢見心地の「気だるい」効果を作品にもたらします。不協和音の全般的な活用や全音音階の利用は、結果的に和声進行が曖昧になります。
17世紀以来の調体系も故意に放棄され、作曲技法的に言うと印象主義の作曲家は、数々の作曲技法を開発した(複調性、並進行、三全音を含む和声進行、曖昧模糊の形式感、音色の強調)と言えます。
印象主義音楽はクロード・ドビュッシーが代表的な作曲家でありますが、モーリス・ラヴェルやジャック・イベールなども有名です。