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ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 OP.73 「皇帝」 第3楽章【ベートーヴェン】~音楽作品 名曲と代表曲

 

 

 

偉大な交響曲にも比肩するような完全無比な傑作

 

このピアノ協奏曲第5番「皇帝」Op.73は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中で最高の作品であるばかりではなく、音楽史上でも最高峰に位置する曲の一つで、名実ともに「皇帝」の名に相応しい作品として評価されています。

 

「皇帝(エンペラー)」という別名は、ベートーヴェン自身により付けられたものではなく、命名した人物・由来については確かな記録は残されていませんが、交響曲第3番の「英雄」とは違い、ただ曲の印象から名付けられたものであるということです。

 

「ピアノ協奏曲第4番」がどちらかと言えば静かな傑作であるのに対して、この「第5番」は雄大でエネルギッシュで豪華・絢爛な作品であると言え、ベートーヴェンの作品の系列としては、動的な作品傾向で奇数番号の交響曲と同列のものと言えます。

 

第3楽章は、前楽章の最後で顔を出したロンド主題が独奏ピアノによって力強く弾かれ、第2楽章の静けさを破ったエネルギッシュでダイナミックな始まりが特徴的で、この勇壮華麗なロンド主題と二つの副主題によって楽章は構成されています。

 

ベートーヴェンはピアノ協奏曲を生涯で5作品残しており、作品数こそ少ないですが、そのどれもが名曲とされるもので、中でもその壮大さや気高さ、気品などにおいて郡を抜いた存在として燦然と輝く名作がこの「第5番変ホ長調」です。

 

この「ピアノ協奏曲第5番」を作曲した頃のベートーヴェン(40歳)は、既に交響曲「運命」や「田園」といった大曲を書き上げていた大作曲家でしたが、この作品を書くにあたってはバッハやハイドン、モーツァルトなどの全総譜を取り寄せて一から研究し直しています。

 

ベートーヴェンは、青年時代に故郷ボンを離れてウィーンに拠点を移した後、1787年の春ベートーヴェンが17歳の時にモーツァルト宅を訪ねて、一度だけモーツァルト(31歳)と出会いを果たしています。

 

歌劇「ドン・ジョバンニ」の作曲中であったモーツァルトを前に、ベートーヴェンは得意のピアノ即興演奏を披露し、モーツァルトから歌劇の一節を主題として与えられ即興演奏を始めると、モーツァルトはその演奏を聴いて驚愕し、隣部屋の友人たちに向かい「諸君、この若者に注意したまえ! いつか彼の名は世界に知れ渡るだろう」と高らかに声を上げたといいます。

 

 

 
  




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