ショパン:ワルツ第6番 変ニ長調 Op.64-1 《子犬のワルツ》
「1分間のワルツ」の愛称でも親しまれているショパン最晩年の作品
ワルツ第6番Op.64-1は、ショパンが晩年の1846年から1848年にかけての作品で、デルフィーヌ・ポトツカ伯爵夫人に捧げられ、『小犬のワルツ』の通称で親しまれています。
Op.64は3曲の対照を成すワルツで構成されていて、Op.64-2は有名な嬰ハ短調のワルツ、Op.64-3は転調色彩感溢れる変イ長調のワルツです。
第1曲に明朗な作品を配置し、以降の曲に陰鬱深刻な情緒を組み合わせるのはショパンの常であり、『華麗なる円舞曲』や『軍隊ポロネーズ』も同様の手法で公表されています。
この曲は英語では「1分間のワルツ(Minute Waltz)」という愛称でも親しまれています。なお、中盤の高く短い音は子犬がつけた鈴の音と言われています。
ショパンの作曲には数々のエピソードがあり、『子犬のワルツ』の場合には「可愛がっていた子犬の走り回る姿をピアノ曲にしてほしい」と、サンドにせがまれ創ったという話もあります。
サンドとは、ショパンより6歳年上の女流作家ジョルジュ・サンドのことで、ジョルジュ・サンドはペンネームで本名はオーロール・デュパンといいます。
1836年にリストの紹介で知り合い、ショパンとは9年間共に過ごしました。「彼の創作は突発的であり、驚くべきものだった」とサンドが語るように、ショパンのピアノ曲には即興的なイマジネーション溢れるものが多いです。