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ピアノ小曲集《四季》から 6月-舟歌 Op.37b-6【チャイコフスキー】~音楽作品 名曲と代表曲

 

 

ロシアの風物詩を曲の題材としたピアノ曲集

 

『四季』Op.37bは、ロシアの一年の風物を各月ごとに12のピアノ曲で描写した作品集で、雑誌「ヌーヴェリスト」の企画依頼で1875年から翌年にかけて作曲されました。

 

毎月の季節感を描いたロシアの詩人による作品と、その詩の性格を音楽的に描写したチャイコフスキーのピアノ曲が合わせて掲載され、単体の雑誌の中でロシアの詩と音楽の芸術的コラボレーションが実現しました。

 

曲集としては1885年に出版され、12曲とも三部形式で書かれています。また、各曲ともロシアの詩人が各月の風物を題材にした作品を参考にしています。

 

なお、作曲当時のロシアでは旧暦が使われていた為、チャイコフスキー『四季』で描かれる季節感は、現在の月々の季節感と多少ずれています。

 

チャイコフスキーの『四季』はピアノ曲ではありますが、その各曲には管弦楽(オーケストラ)で用いられるような楽器を彷彿とさせる書法が散見されます。後に、ソ連の指揮者・作曲家のアレクサンドル・ガウクは、『四季』を管弦楽(オーケストラ)向けに編曲を施しています。

 

構成

1月 炉端にて【At the Fireside】イ長調
詩:アレクサンドル・プーシキン(Alexander Pushkin/1799–1837)
夜が薄明かりのうちに静かな喜びの一隅をつつむ
いろりの火は小さくなり ろうそくは溶けてしまった

 

2月 謝肉祭【Carnival】ニ長調
詩:ピョートル・ヴャゼムスキー(Pyotr Vyazemsky/1792–1878)
間もなく感謝祭で賑やかな楽しいお祭り騒ぎが始まる

 

3月 ひばりの歌【Song of the Lark】ト短調
詩:アポロン・マイコフ(Apollon Maykov/1821–1897)
空の光と輝きが まだ眠っていた花の上に落ちる
春のひばりの歌は 明る青い深みに響き渡る

 

4月 松雪草(雪割草)【Snowdrop】変ロ長調
詩:アポロン・マイコフ(Apollon Nikolayevich Maykov/1821–1897)
明るい光が積もった雪を通してかすかに光り
こんなに青く清らかな松雪草が輝いている
古い運命への涙の最後  そして幸福の夢への最初のあこがれ

 

5月 白夜(五月の夜)【Starlit Nights】ト長調
詩:アタナシイ・フェート(Afanasy Fet/1820—1892)
何という夜! 何という恍惚!
私の真夜中の国 お前に感謝する
何と新鮮で澄んでいることだろう この五月の爽やかさは!

 

6月 舟歌【Barcarolle】ト短調
詩:アレクセイ・プレシチェーエフ(Aleksey Pleshcheyev/1825–1893)
浜辺で波を我々の足で愛撫させておくれ
輝く星は我々に 悲しくひそかなあいさつをおくる

 

7月 刈り入れの歌(草刈り人の歌)【Song of the Reaper】変ホ長調
詩:アレクセイ・コリツォフ(Aleksey Koltsov/1809–1842)
私の手はむずむずする 打つために振り上げよ!
風よ 南から顔に吹いてくれ!

 

8月 収穫の歌【Harvest】ロ短調
詩:アレクセイ・コリツォフ(Aleksey Koltsov/1809–1842)
今 男も女も子供も
茎がそんなにも背高く伸びた穀物を刈っている
それらを束にして村に運んでいく
そして一晩中 車の軋む音が聞こえる

 

9月 狩りの歌【The Hunt】ト長調
詩:アレクサンドル・プーシキン(Alexander Pushkin/1799–1837)
さあ今だ! 角笛が鳴っている!
狩人たちはすでに構えた
猟犬は跳びはね 前へ行こうとする
そのうちに 今にもとめておくことができなくなりだしている

 

10月 秋の歌【Autumn Song】ニ短調
詩:アレクセイ・ニコラエヴィチ・トルストイ(Aleksey Nikolayevich Tolstoy/1883-1945)
わたしたちの庭から秋が
金色の木の葉の飾りを奪った
そして木の葉はゆっくりと
林の中を風にはためいて行く

 

11月 トロイカ【Troika】ホ長調
詩:ニコライ・ネクラーソフ(Nikolay Nekrasov/1821–1878)
あこがれに満ちて遠くを見てはいけない
トロイカの馬を追ってはならない
心の中であんなに悲しく語った絃は
永久に消えさせてしまえ

 

12月 クリスマス週【Christmas】変イ長調
詩:ヴァシーリー・ジュコーフスキー(Vasily Zhukovsky/1783–1852)
少女達はかつて未来のことをたずねてみようと企てました
自分たちの靴をクリスマスの日に門の前へ投げました

小曲集の6番目となる6月の「舟歌」は、チャイコフスキーらしい哀愁漂う旋律が魅力の人気曲で、中間部では4分の3拍子となりますが、4分の4拍子の楽曲となっています。

 

物悲しい旋律が繰り返され、月光に照らされ水面を行くゴンドラの様子を美しく描いています。

 

 

 
  




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