弦楽セレナーデ ハ長調 Op.48 第1楽章【チャイコフスキー】~音楽作品 名曲と代表曲
モーツァルトへの敬愛から生まれた流麗な旋律が印象的な名曲
弦楽セレナードOp.48は、1880年に作曲された弦楽オーケストラのための作品で、チャイコフスキーの代表作の一つとして広く親しまれています。
この作品はチャイコフスキーがモスクワ音楽院に着任した当時からの親友である、コンスタンチン・アルブレヒト(チェロ教授)に献呈されています。
第1楽章(ソナチネ形式の小品)、第2楽章(ワルツ)、第3楽章(エレジー)、第4楽章(ロシアの主題によるフィナーレ)という4楽章から構成されています。
18世紀後半という時代のセレナーデ様式とは直接的な関係は少なく、もっと自由なスタイルによって書かれた作品で、その分チャイコフスキーの持ち味といったものは存分に活かされていると言えます。
チャイコフスキー自身、この作品の仕上がりには大変自信を持っていたようで、後援者であったメック夫人に宛てた手紙の中で、「きっと満足してもらえるに違いありません」と書いているほどです。
第1楽章に関してチャイコフスキー自身は、「モーツァルトのスタイルを模倣した…」と書いており、「弦楽セレナーデ ハ長調」はモーツァルトへの敬愛から書かれた作品と言われています。
書簡にも「強い内的衝動によって書かれ、芸術的な価値を失わない」と記されています。全4楽章すべてが魅力に富み、チャイコフスキーらしい叙情的で流麗な旋律が印象的な名曲です。