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《子供の領分》から 第1曲 グラドゥス・アド・パルナッスム博士【ドビュッシー】~音楽作品 名曲と代表曲

 

 

 

大人が子供の気分に帰って楽しむような作品

 

《子供の領分》は、1906年から1908年にかけて作曲されたピアノのための曲集で、この作品は当時3歳だったドビュッシーの娘クロード・エンマ(愛称シュウシュウ)のために創作されました。

 

6つの小品からなる組曲で英語のタイトルが付されていて、題名が英語表記なのはエンマ夫人の英国趣味に影響されたものと言われています。

 

1908年にシュウシュウへの献辞付きでデュラン社から初版が刊行され、初演は同じ年の12月、パリにてハロルド・バウアーによって行われました。

 

この《子供の領分》は、ドビュッシーの第三期のピアノ曲のうちでは最も早い作品に属します。この曲が完成する数年前、ドビュッシーは最初の妻リリーがいたにも関わらず、銀行家バルダックの妻であったエンマと愛情関係に入り深い悩みを味わいました。

 

そして1904年7月には、妻を置き去りにしてエンマと共に短期間ですがジャージー島に向かいます。これがきっかけとなって生まれた作品が「喜びの島」ですが、その年の夏にリリーが自殺未遂事件を引き起こし、ドビュッシーは世間の非難を受けることになります。

 

そうした中、エンマはドビュッシーとの間に子どもを身ごもることになり、幸いドビュッシーもエンマも離婚が成立し、1905年の10月に二人の間に女児が誕生します。

 

当時43歳だったドビュッシーは、その子をシュウシュウ(キャベツちゃん)と呼んでとても可愛がりました。その子煩悩ぶりから生み出されたのが「子供の領分」と、さらに後になっての新古典的傾向を見せる「おもちゃ箱」という作品です。

 

子供をテーマに作曲された例としては、シューマンの「子供の情景」、ムソルグスキーの「子供部屋」、フォーレの「ドリー」といった曲が知られています。

 

シューマンの「子供の情景」は、作曲者の幼年時代へのメランコリックな回想といった色彩が強いもので、ドビュッシーの場合も大人の目から見たものに違いはないですが、現実に目のあたりにする子供の世界の描写といった趣を持ちます。

 

当時のフランス家庭では部屋の一画を囲って、そこにまだよちよち歩きの子供を入れて、積木やおもちゃで遊ばせていました。そのスペースが子供の領分と呼ばれるものです。

 

「グラドゥス・アド・パルナッスム」とは当時の著名な音楽教育者クレメンティの練習曲集のことで、これに“博士”と敬称を付けて、嫌々練習している愛らしい子供の姿を描くかのようなパロディにしています。

 

33小節辺りから気が散ってきて練習も渋りがちになりますが、再び気を取り直して練習に向かう(45小節)というふうに極めて写実的に捉えられています。

 

 

 
  




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