アラベスク 第1番 ホ長調【ドビュッシー】~音楽作品 名曲と代表曲
ドビュッシーが初期に遺したアルペジオが美しいピアノ作品
『2つのアラベスク』は、1888年頃のドビュッシーが26,7歳の時のピアノ曲で、ごく初期の頃の作品ですが、彼の作品の中では最も有名な楽曲の一つに数えられています。
ローマ大賞を受賞したドビュッシーが、フランス政府の援助で留学していた、イタリアから帰ってきた1888年に作曲され、その後の1891年に「2つのアラベスク」として出版されました。
「アラベスク」とは「アラビア風の」という意味で、イスラム教徒が装飾品にあしらっていた模様を指し、当時パリではこの唐草模様のアラベスクが流行していました。
この「アラベスク」という言葉やイメージは、音楽やバレエなどの芸術にも取り入れられ、「アラベスク」という名の作品を多く生み出しました。
2曲で構成される本作品は、いずれもロマン派音楽に典型的な三部形式による小品となっており、流れるようなアルペジオに乗せて、優雅で洗練されたメロディが印象的なピアノ曲です。
第1番のポリリズム部分は、川が流れる様子を表していて、流れるようなアルペジオの伴奏に乗って、優しい旋律が寄り添うように漂っていきます。