レントより遅く【ドビュッシー】~音楽作品 名曲と代表曲
ジプシーが奏でる音楽に触発されて書かれた作品
『レントより遅く』は、1910年頃に作曲されたピアノ小品で、非常にゆっくりとしたテンポの3拍子の楽曲です。
この楽曲はドビュッシーが48歳の時の作品で、後の代表作となる前奏曲集なども手掛けている頃で、既にフランス音楽界の重鎮とでもいうべき、楽壇に確固たる地位を築き上げた作曲家となっていました。
『レントより遅く』は、ジプシーが奏でる音楽にドビュッシーが触発されて書かれた作品で、ジプシーに対する関心や興味などが反映している楽曲であると言われています。
題名の通りとてもゆったりとしたワルツの3拍子の楽曲で、ドビュッシー流の遊び心を持ったフランス的な粋なピアノ小品です。
独特な幻想的な世界で肩肘を張らない佇まいのこの曲は、実際に踊るというよりも夢の中でゆったりとワルツのリズムをとって、体が揺れているような感じがします。
ドビュッシー自身はこの作品について、「美しい聴衆が集う5時のお茶の会のために書いた」と、当時カフェで流行っていたワルツを題材としたこの作品について語られています。
他の楽器用にもアレンジされ、ピアノ以外にも様々な編曲で親しまれていますが、ドビュッシー自身も後に管弦楽用の版を作っています。試聴はヴァイオリン版となっています。