《ペール・ギュント》第1組曲 Op.23-1 「朝」【グリーグ】~音楽作品 名曲と代表曲
「北欧のショパン」とも呼ばれるノルウェーの国民的作曲家
美しい自然に囲まれたノルウェー第2の都市ベルゲンを故郷とするエドヴァルド・グリーグの残した作品には、故郷ベルゲンを始めとするノルウェーの自然や息吹きが感じられます。
グリーグ自身が友人への手紙で語っているように、「ノルウェーの自然、民衆の生活、歴史そして民衆の詩を描くことが自分の一生の仕事」と考えていたようです。
一時期デンマークのコぺンハーゲンやノルウェーの首都オスロなどでも生活をしていますが、31歳の時から亡くなる時までベルゲンで生活をしました。
劇音楽『ペール・ギュント』は、グリーグ(32歳)が故郷ベルゲンに戻った1874年から翌年にかけて作曲されました。
ノルウェーの文豪イプセンに依頼されて、グリーグは各幕への前奏曲、舞曲、独唱曲、合唱曲など全23曲を作曲しました。
1876年オスロで初演されたこの劇は大好評を博し、初演後グリーグがその劇音楽の中から4曲ずつを選び2つの組曲に手直しされたものが、現在よく耳にする2つの組曲『ペール・ギュント』です。
ペール・ギュントとは、ノルウェーに古くから伝わる伝説に出てくる「若者の主人公の名前」で、イプセンはこの伝説をもとにして劇を書きました。
ペールは、実は智恵も力もあるのに意思が弱く空想に走りがちな若者で、純真な許婚ソルヴェイグを残し、一旗上げることを夢見て世界を放浪します。その彼の旅立ちから帰郷を描いたのが『ペール・ギュント』の物語です。
第1番の最初の曲『朝』は、CMなどでも使われることも多く、アフリカへ渡ったペールがモロッコの海岸で迎えた朝の情景を描いています。