交響曲 第1番 ハ長調 第4楽章
フランスの作曲家の系譜の上でも極めてユニークな作品
オペラ作曲家になることを目指していたビゼーは、他のジャンルには目もくれず、実際ビゼーの作品の大半は30曲以上になる舞台作品に集中しています。
若い頃から彼の中には常に“歌”がありましたので、ビゼーがこの時代に交響曲を残していたのはとても貴重なことです。
19世紀中頃のフランスでは、交響曲などの純音楽は殆ど認められていませんでしたので、古典派の最も正統的な交響曲を模して書かれたこの作品は、フランスの作曲家の系譜の上でも極めて先進的で特色のある作品であると言えます。
ウィーン古典派の交響曲とイタリア歌劇の旋律を一つにしたような作風で、どこまでも明るい楽想とすっきりと見通しがよい管弦楽で、交響曲というジャンルの中でこれほど旋律を豊かに歌い上げているのもビゼーならではの特色と言えるでしょう。
CDも少なく演奏会ではあまり聴く機会のない楽曲ですが、一方ではシンフォニック・バレエのレパートリーとしてSymphony-in-C、水晶宮などと呼ばれ高い人気を誇っています。
第4楽章はハ長調のソナタ形式で書かれていて、ヴァイオリンによる細かな動きの第1主題は木管楽器と対話するように進行していき、木管楽器による副主題も印象的な楽章です。