ズデニェク・フィビフ 【Zdeněk Fibich】 (1850-1900)
ズデニェク・フィビフ(Zdeněk Fibich, 1850年12月21日 - 1900年10月15日)はチェコの作曲家で、スメタナやドヴォルザークと共に、チェコ国民楽派の草創期を築いた作曲家。
チェコ民族独立の気運が胎動する時代にあって、スメタナやドヴォルザーク同様、チェコ民謡や民族舞曲のリズムを自作に取り入れた他、チェコ民族の伝説によるオペラを作曲するなど、その作品は民族的な素材によるものが少なくありません。
作曲技法の面では明らかにドイツ・ロマン派の系統にありながら、チェコ国民楽派として扱われるのは、このような彼の志向によるものです。
当時ドヴォジャークやヤナーチェクのように、音楽修行時代に満足にピアノに触れることもできなかった作曲家も居ましたが、フィビフはその点幼少時代から非常に恵まれた環境で音楽を学び育ちました。
音楽修行を終えてからも楽壇の要職に就くことはなく、生涯に渡り主に作曲と教師、音楽監督などの職で生計を立てました。
当時のチェコ楽壇は、同じ国民楽派とは言えスメタナの進歩派と、ドヴォジャークを擁するプヴォタの保守派に二分されていました。
フィビフは音楽上の立場としてはスメタナの側に立っていたこともあり、当時はスメタナの正統な後継者として目されていました。
《気分、印象と追憶》は、彼の他の数多くの作品との関連性を指摘できることから、フィビフの創作の集大成と言え、中でも「ジョフィーン島の夕べ」と題されたOp.41-139 (No.139) の旋律は、管弦楽の為の牧歌《黄昏》Op.39 の中間部に既に用いられていました。
また、後にヴァイオリニストのヤン・クベリークによってヴァイオリンとピアノのための《詩曲》に編曲されるなど、フィビフの作品の中でも最も知られるものとなりました。
アネシュカが暮らしていたジョフィーン島(スラヴ島)には現在、ジョフィーン館という建物が建っていて、この正面左側の壁にはフィビフを記念するレリーフが掲げられていますが、そこにはこの曲の旋律も刻まれています。