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交響曲第3番 ヘ長調 Op.90 第3楽章

 

 

ブラームスの持ち味が凝縮された逸品

 

「交響曲第2番」を完成させた6年後の1883年5月、ブラームスは温泉地として知られるヴィースバーデンに滞在し、この地で「交響曲第3番」を作曲しました。

 

ヴィースバーデンでは友人達との親交もあり、特にその地の若いアルト歌手ヘルミーネ・シュピースとの恋愛感情が、この曲に影響を及ぼしているとも言われています。

 

二人の関係は周囲から結婚も噂されるほどの仲でしたが、結局ブラームスは実ることのなかったシューマンの妻であるクララへの思いを貫き、独身のまま生涯を終えました。

 

ヴィースバーデン

 

 

第3楽章はブラームス特有の歌謡的楽章で、チェロが感情の起伏を込めて歌っていく主題を中心に構成されていて、第3楽章のメロディーは映画などでも使用され、全曲の中でもよく知られている楽章です。

 

ブラームスが好んで用いた「インテルメッツォ」に相当する楽章であり、明らかにロマン派の性格的小品と言えます。

 

多くは三部形式をとるキャラクター・ピースと呼ばれるこの形態は、シューマンの作例に見られるような何らかの標題をとるものと、標題を持たずにさらに内的な情緒の表出を目指すものとがあり、ブラームスが盛んに作曲したのは後者のものでした。

 

「第3番」はブラームスの作品に度々聴かれる光と陰の交錯を響かせていますが、これは「第1番」の光と陰にも似た内的力が満ち溢れ、深い諦念の表裏一体性を表すものであると言えます。

 

力の奔出が高貴さに通じるものであるなら、特に第3楽章に聴く深い情緒は、ブラームスの内的苦悩を表明しているものであると言えます。

 

この曲を作曲した時のブラームスは既に50歳になっていましたが、恐らくは作曲家としての社会的成功の反面で、孤独の陰を濃くしていたことが想像できます。

 

ブラームスの作品に聴く孤独は、究極的には存在していること自体の孤独であり、一時的な気分や感傷的な気分などとは決定的に異なっていて、「第3番」では未だ自己を頼むところがあるのに対して、次の「交響曲第4番」では苦悩の色がいっそう濃くなっていくのです。

 

 

 
  




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