ブルックナー:交響曲 第8番 ハ短調 第4楽章
壮大で神秘的な世界を描く最高傑作
ブルックナーは教会オルガンの響きをこよなく愛し、聖フロリアン修道院の壮麗なオルガンの音に魅かれて作曲家を志し、自らも優れたオルガニストとなりました。
ブルックナーは生涯を通じて大交響曲を書き続け、神秘的でロマンティックな作品で魅了した彼は、今は自らが憧れたオルガンの下に眠っています。
聖フロリアン修道院
「交響曲第8番」は、ブルックナーが一応の完成にまでこぎつけた最後の交響曲であり、演奏時間80分を越すこともある長大な曲で、後期ロマン派音楽の代表作の一つに挙げられます。
ブルックナーの交響曲にあっては、何をもって完成とみるかの判断が困難なため一応という表現になり、ブルックナーには「第9番」という巨大な作品もありますが、こちらは残念ながら第3楽章止まりの未完となっています。
第4楽章の冒頭で提示される第1主題は、第1楽章第1主題を発展させたもので、第1主題の提示・発展が終わったところで、ポリフォニックな弦の伴奏に乗ってホルンが第2主題を吹奏します。
ファゴットとクラリネットによる第3主題は、ユニゾンの弦が刻む力強い骨格に支えられており、ブルックナーの魂の故郷である、聖フロリアン修道院のバロック建築を思わせる楽章です。