交響詩 《フィンランディア》 Op.26
「第二の国歌」のようにして広く親しまれている名曲
祖国フィンランドの独立運動を鼓舞したという交響詩「フィンランディア」は、冷涼な自然を背景としつつも、人間どうしの熱い共感を求める雄弁な音楽となっています。
当時のシベリウスにとって、ドイツ音楽の影響下に新しいフィンランドの民族的音楽を創造することが大きな問題であったといえ、初期の「クレルヴォ交響曲」、交響詩「エン・サガ」など、祖国の民族譚に取材した作品がそのことを表明していると言えます。
また当時フィンランドはロシアの統治下にあり、有名な交響詩「フィンランディア」が、民衆の独立心を煽るという理由で演奏を禁止されたことがあるのも、彼の音楽がいかに民族的であるかを証明していると言えます。
この交響詩「フィンランディア」は、まずアンダンテ・ソステヌートの重々しい序奏に始まり、他の国からの支配を受けているフィンランドの人たちの苦しみを暗示しているような部分で、次いでアレグロ・モデラートになり、新しい旋律が現れそれが一気に盛り上がりを示します。
やがてコラールふうの旋律が木管に示されると、音楽は力強い終結へと進み出していきます。輝かしいクライマックスは祖国の勝利をうたいあげているようです。