交響詩《英雄の生涯》Op.40 1. 英雄
R.シュトラウスが夢想する最後の交響詩
R.シュトラウスは、ミュンヘンの音楽家の家庭に生まれ、父は宮廷管弦楽団のホルンの名手として知られ、また音楽学校の教授も務めていました。
早くから楽才を見せ、6歳から作曲を始めて神童と呼ばれ、ミュンヘン大学で美学・哲学を学びますが、ひたすら作曲に励みワーグナーに傾倒します。
21歳の時に当時の大指揮者ハンス・フォン・ビューローのもとで副指揮者となり、作曲家と指揮者の二つの道を本格的に歩むことになります。
作曲家としての成功は、24歳の交響詩「ドン・ファン」によってであり、また指揮者としては1919年からウィーン国立歌劇場指揮者として、その人気の絶頂を極めました。
後半生はもっぱら作曲家としての活動に専念し、今世紀前半のドイツ作曲界に君臨しました。「英雄の生涯」は、R.シュトラウスが34歳の時の作品です。
わずか30代半ばのR.シュトラウスも夢想の中でひとりの「英雄」として、これまでの自分の業績を讃美し、『英雄の生涯』に結晶していく彼の最後の交響詩となりました。