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古典交響曲 ニ長調 (交響曲第1番)Op.25 第1楽章

 

 

 

ハイドンの技法をもとに作曲した軽快で美しい作風の交響曲

 

『古典交響曲(交響曲第1番)ニ長調』Op.25は、1917年に作曲されたプロコフィエフが初めてピアノを用いずに書いた交響曲です。

 

プロコフィエフは当初、サンクトペテルブルク音楽院時代に作曲したホ短調の交響曲を「第1番」に据える予定でしたが、完成度の観点からこの「古典交響曲」を”交響曲第1番”としました。

 

プロコフィエフは同音楽院在学中に、ニコライ・チェレプニンの教室でハイドンの技法を研究しました。

 

同音楽院を卒業後、新進の作曲家・ピアニストとして地位を築きつつあったプロコフィエフは、第一次大戦中も寡婦の一人息子であったため、兵役を免除され創作活動に励むことができました。

 

1917年ソビエト革命が起こった年の夏、プロコフィエフはペテルブルク近郊で一人で過ごしていましたが、その折ピアノを使わずに作曲することを思いつき、この「古典交響曲」の創作に取り掛かりました。

 

ピアノを用いずに作曲するため、作品の形も輪郭の明確なものが選ばれ、”ハイドンが現代に生きていたら書いたであろう”ような古典的な形式性に従って書き上げられ、「古典交響曲」と名付けられました。

 

「古典交響曲」という名称は、この曲がハイドン的な古典的作品世界に立脚するものであることを示していますが、それと同時に「古典交響曲」はプロコフィエフの創造の中核をなす、明確な構成秩序や形態性を象徴するものでもあると言えます。

 

プロコフィエフの他の作品には、この曲におけるほど明らかな形では古典性は打ち出されていませんが、それだけにこの作品にはプロコフィエフ的創作世界の鍵が隠されていると言えます。

 

また、ヨーロッパ音楽文化圏における古典の持つ意味や、ハイドンの作品が後世に与えた影響の大きさを証明する作品でもあります。

 

「古典交響曲」は古典派の交響曲と同様の形式・構成に従って書かれており、プロコフィエフの諸作を特徴づける突然の転調や独特の和声法を見せながらも、簡素で引き締まったスタイルがとられています。

 

楽器編成も古典派交響曲と同様のもので、弦楽5部にフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、ティンパニ、トランペット各2本ずつの編成がとられています。

 

各木管を2本ずつ組み合わせて用いる2管編成は、古典的交響曲を演奏する場合のオーケストラの標準的編成であり、弦と管のバランスがよく調和されまさに古典的な響きが得られるものです。

 

音楽作品における古典的性格は、単に形式面に留まるものではなく、音響面からも考えなければならないものであることを、改めてプロコフィエフの「古典交響曲」によって示唆されているのです。

 

ハイドンの交響曲の中で古典的完成を示す作品が、2管編成で書かれていることがそのことを証明していると言えます。

 

初演は1918年4月21日ペトログラード(現サンクトペテルブルク)にて、プロコフィエフ自身の指揮によって行われました。

 

 

 
  




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