チューニング(バスドラム)

バスドラムのチューニングは、テンションの偏りがないようにヘッドを張り、テンションボルトを動かしたときの音の変化をしっかりと聴き取ることです。
この基本さえ押さえていれば、バスドラムの音作りは特別難しいものではないので、実際の楽器に触れる機会が少ない人も、積極的にチャレンジしてみましょう。

打面ヘッドのチューニング

ヘッド交換の手順を通してチューニング方法を確認しましょう。

手順①
  • 2本のチューニングキーを使用して、対角線上のボルトを同時に緩めていきます。
  • 締めるときと同様に対角線上に緩めていくことで、シェルやフープに無理な負荷がかかるのを防ぐことができます。
手順②
  • 取り外したボルトとフックは必ずワンセットにしてまとめておくことが重要で、モデルによってはボルトにストッパーが付属していて、フックと分離しないようになっている製品もあります。
手順③
  • ヘッドとフープをシェルから外す際に、抜けづらくなっている場合もありますが、慎重に真っ直ぐ取り外すようにしましょう。
手順④
  • ヘッドとフープを外し終えた後はエッジを布で乾拭きします。
手順⑤
  • フープも同様に乾拭きしておきますが、特にセッティング時に下側になっている部分は、ゴミや汚れが溜まっているので丁寧に取り除きます。
手順⑥
  • 新品のヘッドを装着する前に、スネアのときと同じようにヘッドの端を指で揉んでおきます。
手順⑦
  • 新しいヘッドをシェルに乗せていきますが、ヘッドの種類によっては正確な向きに張る必要がありますので、セッティング時の上下を確認しながら乗せていきます。
手順⑧
  • 続いて、フットペダルを取り付ける位置が下になるようにフープを乗せていきます。
手順⑨
  • フープにフックをかけて、ボルトをラグに差し込んでいきますが、バスドラムのテンションボルトは長く、上部にはグリスが付着していないので、手で回しても指が汚れることは少ないです。
手順⑩
  • ある程度締まる部分までは、チューニングキーを使用せずに、手締めで締めていく方が効率良く進む場合が多いです。
手順⑪
  • ボルトを手締めの目一杯まで締め終わると、次はチューニングキーを使用してテンションをかけていきますが、その際はスネアの交換時と同様に、偏りがないように注意するようにします。
手順⑫
  • ヘッドの真ん中を押さえてシェルに馴染ませていきますが、しっかり体重をかけて手で押さえるだけで十分です。
手順⑬
  • 細かいチューニングの調整に移りますが、ボルト付近を指でタップしながら少しずつピッチを整えて、適度に真ん中も叩いてピッチを確認していくと良いでしょう。
手順⑭
  • ビーターで叩いて最終確認となりますが、フロントヘッド側からも聴いてみて音の確認をとるようにします。その後は実際に演奏しながら微調整を行っていくと良いでしょう。

注意点

バスドラムは口径が大きくヘッドのテンションも比較的緩いため、ヘッドにシワができやすいことがあります。

ドラム本体の個体差やヘッドの種類によっては、均一に張ってもシワができてしまうこともありますが、ノイズが発生せずに求める音が鳴っている場合は、特に手を掛ける必要はありません。

フロントヘッドのチューニング

打面ヘッドの調整前にフロントヘッドのチューニングを行う

打面の反対側のヘッドはドラムの響きに影響し、余韻の長さとピッチを決定付ける上で重要な役割を果たします。

また、バスドラムの場合は裏側のヘッドが正面を向いているため、その影響は聴衆へと伝わるサウンドに大きく左右します。

また、フロントヘッドが偏ったテンションで張られていたり、求めるサウンドから大きくかけ離れたピッチになっていると、どんなに打面ヘッドの調整を試みても、重要な音が上手く響かなくなり作業が困難になるので、実際に音作りを行う時は、まずフロントヘッドのピッチ調整を終えてから、打面側に移る方が効率良くスムーズに行えるでしょう。

最終的な音色は両側ヘッドの相互関係で決定づけられるので、両方を交互に調整することになりますが、まずはチューニングの最初の段階として、フロントヘッドが適正に張られているかを確認するところから始めるといいでしょう。

フロントヘッドの穴開け

バスドラムのフロントヘッドは、穴を開けて使用されるケースが多いです。穴を開けることで、シェル内部の空気を前面に逃がし、打面ヘッドの直接音を外に出すことで、アタックや音の抜けが良くなります。

ロックなどの場合は、アタックの効いた抜けの良い音が好まれるため穴が開いていますが、アタックを求めないジャズなどでは、穴を開けないケースもあります。

穴を開けることにより、ライブやレコーディングで、マイクをその穴に向けることで集音しやすくなりますが、叩いた瞬間に穴から空気が放たれるので、マイクを立てる際は「吹かれ」に注意してセッティングするようにしましょう。

また、穴を開けることによってフロントヘッドの振動面は少なくなるため、響きがコントロールされるという一面もあります。

穴の大きさや位置によって効果の違いはありますが、穴を開けずに響きを生かした音作りをするケースも多くあります。

フロントヘッドの穴開けパターン例
  • 穴の大きさ」「中心からどれだけ離れているか」の2点がポイントになります。穴が小さく中心から離れているほど、胴鳴りやサスティン(余韻)の長い音を得やすくなり、反対に中心に穴を開けた場合は音がストレートに抜けていきます。



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