スネアサイドチューニング

ドラムにおいて打面の反対側の裏面ヘッドは、全体の響きや音程感を左右する重要な役割を担っています。
打面に比べて手が届きにくいため、軽視されることもしばしばですが、求める音作りの過程では、裏面ヘッドの調整は避けては通れない部分となります。
スネアドラムのスナッピー調整は、全体のサウンドに影響を与える要素として関連する作業となります。

裏面ヘッド(スネアサイド)のチューニング

スネアの裏面ヘッド(スネアサイド)をチューニングする際の基本は、打面ヘッドと根本的に変わらず、テンションの偏りがないように締めていくことが重要です。

スナッピーの反応を良くするために、ある程度テンションをかける必要がありますが、打面に比べると極薄く作られているため、張り過ぎによるヘッドの破損には注意するようにしましょう。

目安としてはヘッドの中央を指で軽く押し、凹まない程度であれば許容範囲となります。極端にHiピッチまたはLowピッチのスネアサウンドにしたい場合を除けば、スネアサイドはミディアム程度のピッチに調整し、打面ヘッドやスナッピーのテンションで音作りをしていくと効率が良いでしょう。

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テンションの偏りをチェックしながら行う

スネアサイドのチューニングも、ボルト付近を指でタップしてテンションの偏りをチェックしながら行います。この時スナッピーはOFFにし、ヘッドから浮かせるようにするとピッチが確かめやすいです。

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スネアヘッドと呼ばれる僅かな凹みがある

スネアのシェルには、スナッピーが当たる部分に「スネアヘッド」と呼ばれる僅かな凹みがあります。そのためテンションの偏りをタップチェックする際、スナッピー両脇の4つのボルトは、他のボルトよりも若干テンションが緩くなることも覚えておきましょう。

注意点

スネアサイド(スネアの裏面)は打面に比べて薄いヘッドを採用しているので、むやみに叩いたりしないように注意しましょう。傷つけてしまうと、チューニングしてテンションをかけた状態で破れやすくなります。

裏面ヘッド(スネアサイド)の交換時期

スネアサイドは打面とは違い裏面で目が届きにくい箇所で、劣化を意識することが難しい部分でもあります。

長期間に渡って使用していると、ヘッドが伸びきってしまい音が少しづつ詰まってくる変化が起こりますので、そのタイミングで交換するというのが1つの目安でもあります。

破れた際はすぐにわかるので、当然ながら即交換の対応を行います。特にテンションをかけてもピッチが鈍く上がらない場合は、サッシ(枠)との境目でフィルムが裂けてしまっていることもあるので、この部分は注意深く見ないとわからない箇所でもあります。

反対にヘッドとサッシの面がほぼ平らになっていて、フープとの段差が大きくなるフラットタイプと呼ばれるスネアサイドもあり、通常のヘッドより高いテンションをかけやすいというのが特徴です。

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スナッピーをしっかりと反応させる

ヘッドの真ん中辺りを軽く押さえた時に、凹まない程度までテンションをかけていくと、スナッピーがしっかり反応する良い状態が仕上がります。

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スネアをスタンドにセットするときは慎重に行う

スネアをスタンドにセットするとき、スネアサイドがアームに当たると、比較的容易に凹んでしまうので注意して行うようにしましょう。

スナッピーの調整

スナッピーはスネアドラムの裏面に装着され、「ザザッ」というサウンドが特徴的で、ストレイナーと呼ばれるパーツで張り具合(テンション)を調整します。

主に用いられているスナッピーは、「内面当たり(ショートスケール)」と呼ばれるもので、スナッピーの全長がスネアの口径より短く、エンドプレートがスネアサイドに当たるタイプです。

以前はエンドプレートがスネアサイドの外側にはみ出したタイプの、「全面当たり(ロングスケール)」と呼ばれるスナッピーも多く存在していました。

ロングスケールは、繊細な表現が求められるクラシックのジャンルで一部用いられていますが、現代のロックやポップス、ジャズなどのジャンルでは、扱いが比較的容易で音も整備されているショートスケールが主に利用されています。

スナッピーの脱着手順

手順①
  • まずはスナッピーをOFFにします。
手順②
  • テンション調整ノブを調整幅の中間あたりまで緩めておきます。この調整幅がスナッピー取り付けの成否を大きく左右します。
手順③
  • ドライバーを使用してスナッピーの紐またはベルトをストレイナーから外します。チューニングキーで外せるタイプもあります。
手順④
  • 反対側のバットも緩めて紐またはベルトを外します。このときに紐やベルトの破損がないかをチェックしておきましょう。特に紐の場合は、スナッピーの穴の周辺でささくれていることもあります。
手順⑤
  • スナッピーを取り外します。
手順⑥
  • 新しいスナッピーを用意して、まずはヘッドの上にスナッピーを真っ直ぐに乗せます。
手順⑦
  • 通常の場合はテンション調整ノブの付いていないバット側を先に取り付けますが、この時にスナッピーを僅かにバット側に寄せた状態にしておくと、最終的にヘッドの中央に効率良くセットすることができます。また、この段階ではボルトは仮締め程度でいいので、抜けない程度に締めておきます。
手順⑧
  • ストレイナー側も紐(ベルト)を通して、レバーの位置をONにします。
手順⑨
  • 紐(ベルト)を軽く引っ張りながら、バット側と同様に仮締めしておきます。スナッピーのコイルが変形したり破損していないか、念のためにチェックしておきましょう。
手順⑩
  • 手順②の調整幅で中間まで緩めていた、ストレイナーのノブを回してテンションをかけていきます。
手順⑪
  • 少しバット側に寄せていたスナッピーがストレイナー側に引っ張られ、良い具合にヘッドの中央付近に位置していることでしょう。どちらかに寄っている場合は再調整を行います。
手順⑫
  • 最後にストレイナーとバットのボルトをしっかりと締めて終了となります。先程より少し力を加えて回す程度で構いませんので、あまり力強く回して固く締めすぎないように注意しましょう。

スネアサイドの中央にスナッピーを正しくセットする

スナッピーの位置を気にせずに、何気なく取り付けを行ってしまうと、ヘッドの中央ではなくどちらか一方に寄った状態でセットされてしまうケースが多いです。

ON/OFF操作ができて、通常通りテンションがかかっていればOKだと認識しがちですが、中央からズレているとスナッピーの反応が鈍くなってしまうケースがありますので、正しく中央にセットすることを心掛けるようにしましょう。

スネアのモデルによっては両側に調整ノブが装備されていて、スナッピーのテンション調整幅を広げたタイプもあります。このようなタイプのスネアは、スナッピーを取り付けた後で両方から位置を調整できるため、ヘッドの中央にセットしやすいことがあります。

内面当たり(ショートスケール)と全面当たり(ロングスケール)の比較

全面当たり(ロングスケール)のスナッピーは、全長がスネアの口径より長く、エンドプレートがヘッドに接していないため、自然な響きで繊細さがあり、音の強弱をデリケートに表現できるのが特徴的です。

テンション調整ノブは、バット側にも装着されているので両側での調整を可能とし、またスナッピーガイドの上下によって、スネアサイドへの当たり具合を調整することも可能です。

パラレルアクションと呼ばれる、ストレイナーのスイッチ操作によって、スナッピー全体がヘッド面と平行に上下するタイプもあります。

内面当たり(左)と全面当たり(右)の概略図

内面当たり(ショートスケール)ではシェルの端が支点になりますが、全面当たり(ロングスケール)では両端に張り出したガイドが支点となってスナッピーを支えています。

ロングスケールタイプのスネアにショートスケールのスナッピーを装着することも可能ですが、反応が鈍くなることがありますので、そのような時はガイドを通さずに取り付ける方法もあります。

フープの交換

フープはヘッドをシェルに固定するパーツで、ヘッドを叩いた衝撃を受け止めて、シェルに効率良く伝える役割を持つ機材になります。

また、フープそのものも振動体としてサウンドに影響を与える要素があります。フープを直接叩いてみると、その影響の大きさが実感できることでしょう。

スネアドラムの場合は、オープンリムショットで演奏することも多いので、フープそのものを叩いた音もスネア全体のサウンドに含まれます。

スネアで様々なチューニングのバリエーションを試してみるのと同様に、フープも異なるタイプのものを装着して違いを感じてみることをお薦めします。

特に打面側を交換したときの違いはわかりやすいので、ぜひ機会があれば試してみるといいでしょう。

フープのタイプ

プレスフープ(フランジフープ)

  • 金属をプレスして作られるフープで、折り曲げ加工の数によってシングルからトリプルまでがあります。適度なしなりがあり、シェルと馴染んだストレートな響きが特徴的です。

ダイキャスト(ダイカスト)フープ

  • 溶かした金属を鋳型に入れて作られるフープで、プレスフープに比べて剛性が高く、チューニングによる音の変化も厳格に表れる傾向があります。

ウッドフープ

  • 金属製のプレスフープやダイキャストフープに比べると種類の数は劣りますが、木製ならではの温かみと明瞭さを兼ね備えたサウンドで支持があります。



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