ミュート編
ドラムのミュートは、布・ガムテープ・ティッシュ・毛布等を使用して、ドラムのサスティンを最終的に調整することです。
サウンドの総仕上げでもあるミュートは、サウンドをコントロールするという点では、考えようによってはチューニングとも捉えられます。
ミュートのポイント
ボリュームを低減させたり、音を消したりすることをミュートと呼びますが、これには余分な倍音や雑音をシャットアウトすることも含まれます。
ミュートは不要な倍音や響きを調整すると同時に、叩き方によるニュアンス表現の幅を狭めるという側面もあります。
ドラムはミュートによって微妙なサウンドコントロールができるので、ミュートもチューニングの一種だと捉えることができます。倍音や雑音が気になる際は必要に応じて行うようにしましょう。
ドラムのミュートは、サスティンや倍音をコントロールするため色々な方法があり、音の分離に役立ちます。様々なミュート方法を理解することで、自身の音楽スタイルに合わせたサウンドメイキングが可能となるでしょう。
ミュートを行うのが当たり前という考え方ではなく、あくまでも音作りの手段の一つとして、意味を成すミュートであることを心掛けるようにしましょう。
バス・ドラムのミュート
バスドラムは音量が大きく余韻も長いので、そのままの状態で叩くと、音楽スタイルによっては全体のサウンドに調和しない場合があります。
サウンドの芯を明確にするために、ミュートを行うことによって、バスドラムの余韻が目立つことによる不都合を解消します。
バスドラムのミュートは、一般的にバスドラムの内部に入れるミュートと、ドラムヘッドの打面に貼るミュートがあります。
効果のポイントとしては、「吸音性のあるものをシェル内部に入れて響きを抑える」「ヘッドにミュート材を当てて振動を抑える」「シェルの中に入れたミュート材によって内部の反射音が拡散される」といったものが挙げられます。
バス・ドラムのミュートの一つの目安として、ライブ・ハウスやコンサート・ホールなどのPAを利用する場所ではミュートを多めにし、反対にリハーサル・スタジオやマイクを立てない小さなライブ・ハウスなどでは、ミュートを少なめにしてサスティンを長くすると良いでしょう。
バスドラムの内部に入れるミュート |
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効果としては非常に大きく、胴鳴りも余韻も大幅に抑えられます。
毛布ミュートよりも響きを生かしたサウンドが得られます。
シェルの響きへの影響を極力抑えながら、ヘッドの振動をコントロールしています。
ウェイトにはバスドラムの質量を増やして音を引き締め、音の重心を下げる効果もあります。
ウェイトの凹凸によって、ノーミュートの質感を活かしながらシェル内部の反射音を拡散させています。
適度に響きを活かしてスマートにミュートすることができます。 |
ドラムヘッドの打面に貼るミュート |
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バスドラムペダルのビーターが面する部分に貼るミュートは、さらにアタックが強調されたサウンドメイキングが可能になり、耐久性の向上にもつながるミュートになります。 |
その他のミュート |
胴鳴りは大幅に生かされるミュートで、フロントヘッドに装着しても効果的です。
シェル内部に入れる方法とは異なり、ミュートの量を調節しやすいことがあります。
共鳴を微調整することができるので、状況によっては効果的なミュートになります。また、フロントヘッドに開けた穴の周辺から不要な倍音が出ている場合も、ガムテープを貼ることで抑えることができます。 |
スネア・タム・フロアタムのミュート
スネア・ドラムのミュート
- スネア・ドラムは常に演奏する楽曲にフィットするサウンドにする必要があるため、ミュートのバリエーションがセットの中で最も多い楽器です。スネア自体の良質な音が楽曲に適しているとは限らないので、楽曲を最優先にサスティンをコントロールしましょう。
タムタム・フロアタムのミュート
- タムタムとフロアタムは、チューニングだけで適切にコントロールできるため、ミュートをしない演奏者も多いですが、ミュートを行う場合はガムテープを使用した方法が一般的です。
リングミュート |
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エッジ周辺に貼るタイプ |
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ペーパーミュート |
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シンバルのミュート
シンバルのミュートは、どうしてもサスティンが長過ぎる場合や、ピッチがどうも合わない場合などに、ガムテープを少し貼ることでミュートを行います。
1cm四方のガムテープを貼るだけである程度の変化がありますので、色々と試してみて響きを確認してみましょう。特にリハーサル・スタジオの厚めのシンバルなどには効果的です。
ミュートが必要な理由
ドラマーにとってチューニングは必要不可欠なものですが、チューニングが苦手なドラマーでも、ミュートをすることによって余分な倍音や響きをカットしたり、簡易にフォーカスされた音を出すことが可能になります。
また、ライブやレコーディングでマイクを立てる場合は、ヘッドから数センチの位置にマイクを立てますが、ミュートが無い音色は少しぼやけた感じになる傾向があります。
ミュートを行うことによってドラム本来のサウンドが得られるため、コンプレッサーやイコライザー等のエフェクターの過剰使用を避けることができ、元々のドラムの音を活かしたサウンドメイキングが可能になります。