オーボエのメカニズム

オーボエ本体と特徴

コンセルヴァトワールシステム

世界各国の多くの地域で用いられている現代のオーボエは、「コンセルヴァトワールシステム」と呼ばれるものです。

コンセルヴァトワールとは、フランスにあるパリ高等音楽院のことで、19世紀にフランスの楽器製作家フレデリック・トリエベールが開発したシステムの楽器を、パリ高等音楽院が採用したことからこのような名称で呼ばれています。

トリエベールはそれまでのオーボエを払拭し、管のスリム化を図り、音孔の配置を体系的なものに変化させました。ベーム式のフルートやクラリネットとは異なり、F(ファ)音で交差する指使いを継承していることにより、繊細な音色を保ちながら複雑な指使いを避けるという、合理的な指使いと音色を実現しています。

コンセルヴァトワールシステムの最大の特徴は、音域によって半自動的に切り替わる二つのオクターヴを備えている点で、このシステムの恩恵により、それまでマニュアルで切り替えていたオクターヴキーの操作が手軽なものになりました。

  • 管体に埋め込まれた金属管に、コルクで覆われたチューブを挿します。

  • 直に管体の穴に、糸を巻き付けたチューブを挿します。

セミオートとフルオート

コンセルヴァトワールシステムのオクターヴキーには、第二オクターヴキーを押した際に第一オクターヴキーが自動的に閉まるセミオートマティックシステムと、音により第一オクターヴキーと第二オクターヴキーが自動的に切り替わるフルオートマティックシステムがあります。

セミオートマティックシステムは、第1と第2オクターブキーを操作する必要がありますが、指使いの柔軟性が高く、世界各国の多くの地域で利用されています。

フルオートマティックシステムは、第2オクターブキーがないことで操作は容易となりますが、構造が複雑なため調整が難しく狂いやすいという要素があり、重量も吹奏感も重めになります。

聞こえはフルオートの方が良さそうですが、それぞれのタイプに一長一短があり、どちらを選択するかは用途や好みの問題となりますが、初心者の方はセミオートマティックを選ぶのが無難でしょう。

ウィンナオーボエ

フランス生まれのコンセルヴァトワールシステムのオーボエは世界中に広まり、旧式のオーボエを使用していたドイツでも、ほぼ大半がこのコンセルヴァトワールシステム式のオーボエを使うようになりました。

しかし、唯一このコンセルヴァトワールシステムのオーボエを受け入れなかったのが、ウィーンのオーボエ奏者たちで、彼らは旧式のドイツオーボエを改良することで、現代でもオーボエ本来の魅惑的な音を奏でています。

仲間の楽器~イングリッシュホルン(コールアングレ)~

オーボエの仲間には、オーボエよりも大型のイングリッシュホルンという楽器があります。コールアングレとも呼ばれるこの楽器は、音域はオーボエよりも5度低く、オーボエのC(ド)音の指使いでF(ファ)音が出るF管の楽器になります。

リードが少し大きいですが、通常はオーボエ奏者が持ち替えて演奏する楽器です。ベルの先端が球根のような形をしているのが特徴的で、牧歌的で哀愁を帯びた音色が魅力的です。

ドヴォルザークの交響曲第九番『新世界より』の第二楽章で、この楽器がソロで演奏される旋律はよく知られています。

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