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ホルンのメカニズム

ホルン本体と特徴

 

 

 

 

 

ホルンのベルの中に手を入れているのはなぜ?

 

音を増幅させるための金管楽器のベルは、本来前方に向いているはずのものですが、ホルンのベルは後ろ向きに配置されていて、手を差し入れる仕組みになっています。このような演奏スタイルに至った経緯は、ホルンという楽器の長い歴史の中にあります。

 

ホルンは元々貴族が狩りをする時に、馬の上で吹き鳴らして仲間に合図をするための道具として使われたのが始まりで、馬の手綱を操作して使わない時に、肩に掛けておけるように丸く巻いたのが独特な形の原点です。

 

当然ながらこの時はまだベルに手を差し入れるなどの習慣はなく、片手で握りベルを上向きにして吹かれていて、このときベルは既に前ではなく横を向いていました。

 

「横を併走する仲間に音が伝わるように」と言われていたり、「馬の耳に直に音があたって驚かせないため」とも言われています。

 

やがて時が経ち狩りの道具だったホルンがオーケストラで用いられるようになり、当初は唇の調整だけで鳴る倍音を演奏していましたが、その後ほかの楽器のように自由なメロディの演奏が求められ、横に向いていたベルに右手を差し入れて、その塞ぎ加減で自由な音階を演奏する奏法が見い出され、モーツァルトやベートーヴェンの古典派時代はこの奏法で旋律を奏でていました。

 

時代の変遷によりヴァルブが開発され、ホルンにも装備されるようになりますが、微妙な音程調節や音色変化を行うために、右手をベルに差し入れるスタイルはそのまま継承され受け継がれることになりました。ホルンだけ利き手ではない左手でヴァルブ操作しているのはそのためです。

 

 

 

 

F管とB♭管

 

ホルンには管が長めのF管シングルホルン、短めのB♭管シングルホルン、F管B♭管両方を兼ね備えたダブルホルンがあります。このような種類の背景には、ヴァルブが装備されるようになってからの歴史に関係があります。

 

元々ホルンは楽曲の調性に合わせて、長さの異なる管を付け替えていましたが、ヴァルブが装備されるようになるとF管の長さに統一されていきました。替え管を付け替えた際に、各ヴァルブの迂回管の長さも変えなければいけない手間を考えると合理的な統一で、以来ホルンはF管というのが定番になり定着しました。

 

しかし、F管は音色が豊かで美しい反面、音をはずしやすいという弱点がありました。そこで、音の発音の正確性をより確実にするためにドイツで開発されたのが、管が短めのB♭管ホルンになります。

 

発音が鮮明で音をはずしにくいB♭管ホルンは、幅広い多くの演奏者に愛用されるようになり広がりを見せていましたが、一方で「ホルンらしくない」と捉えるプレイヤーも少なくなく、B♭管には低音域が不足しているという弱点も見え隠れしていました。

 

そこで双方の長所を活かすように考えられ開発されたのが、F管とB♭管を組み合わせたダブルホルンになります。

 

 

F管シングルホルンとB♭管シングルホルンは、外観のベルの大きさや管の巻きの大きさは変わりませんが、管の長さに違いがあります。

 

B♭管がトロンボーンと同じ長さなのに対して、F管はバスチューバと同じ長さがあり管が二重に巻かれています。

 

 

 

シングルホルンとダブルホルンどちらを選べばいいの?

 

ホルンを購入する際の選択肢として、B♭管シングルホルン、F管シングルホルン、一般的なダブルホルンなど何種類かあるので悩んでしまうかも知れませんが、B♭管とF管の両方を兼ね備えたフルダブルホルンがお薦めです。

 

お薦めの理由は、B♭管とF管それぞれの音程や音色の良い方を選択しながら演奏ができることと、両方の管を組み合わせたことで音域が広くなるためです。

 

シングルホルンは重量が軽く、複雑な回路を通らないので吹奏感が心地良いという特徴があり、明るく透明な音色を備えるB♭管シングルホルンを使用している上級者(プロ)の方も少なくありません。

 

しかし、音程や音域のことを考えた場合、シングルホルンだけで活動するのは難しく、基本的にはフルダブルホルンを推奨します。価格面で安いという理由だけでシングルホルンを選択してしまうと、後々苦労することがあるので注意して選ぶようにしましょう。

 

ダブルホルンはB♭管とF管が2段になっていて、親指で操作する第四ヴァルブで切り替えます。両方の迂回管を備える「フルダブルホルン」や、B♭管に補正管を足すことでF管にする「セミダブルホルン(コンペセイティングホルン)」があります。

 

 

クルスペタイプとガイヤータイプどちらを選べばいいの?

 

ダブルホルンのタイプには大別すると、クルスぺタイプ(F管とB♭管の切替ヴァルブが近い位置)と、ガイヤー(クノッフ)タイプ(F管とB♭管の切替ヴァルブが離れた位置)があります。

 

クルスペタイプは、太めのベルを備えていることが多く、暗めですが豊かな音色がする傾向にあり、ガイヤー(クノッフ)タイプは、細めのベルを備えていることが多く、明るく抜けが良い音色を特徴とします。

 

この音色の違いはベルだけではなく、F管とB♭管の切り替えヴァルブの位置の違いから生じる、管のレイアウトも少なからず影響しています。

 

クルスぺタイプは、手前側の管の回路が複雑になっていることで、独特の抵抗感を生み出し、ガイヤータイプは、全体に緩やかな管の巻き方になっていることで、吹奏感が易しく音が明るくなる傾向が見受けられます。

 

基本的に音色の好みと吹奏感で選ぶと良いですが、吹奏感ではある程度の抵抗感があったほうが、小さい音や長い音を演奏する時に奏者をサポートしてくれることも多いので、これらの要素も含めて決めるといいでしょう。

 

 

 

 

B♭管シングルホルンのヴァルブはなぜ4本付いているの?

 

F管シングルホルンのヴァルブは3本で、B♭管シングルホルンのヴァルブは4本ですが、B♭管の4本目には「ゲシュトップキー」と呼ばれる四番目のヴァルブが備えられています。

 

ゲシュトップとは、ベルに差し入れている右手を最大限に塞ぎ、金属的な音色を出す手法のことです。この音を効果的に用いると、通常の柔らかく美しい音とは対照的な音として、音楽にメリハリを付けることができます。

 

このゲシュトップの奏法を用いた際は、塞いでいない時よりも音程が高くなるという問題点があり、F管で演奏した場合は、全ての音がちょうど半音高くなるので、指使いを半音低くして対応することができますが、B♭管で演奏した場合は、四分の三音という不完全な上がり方をするので、替え指では対応することが不可能になってしまいます。

 

そこで、その四分三音分の長さを低くするようにしたのが「ゲシュトップキー」です。このゲシュトップキーの管は、長さを色々と変えることができて替え指に用いることも可能です。この手法を知っていることで可能性が広がり便利なものとなります。

 

 

 

ウィンナホルン

 

ウィンナホルンと呼ばれるこの楽器は、19世紀中頃から構造や形状が進化しておらず、当時の姿をそのまま残していて、ヴァルブも当時の特殊なシステムを採用しています。

 

教育現場を除いて、現代では殆ど使用されなくなったウィンナホルン(F管シングルホルン)ですが、例外としてウィーン・フィルハーモニー管弦楽団では、旧型タイプのF管シングルホルンが現役で使われています。

 

このウィンナホルンの最大の特徴は音色で、ホルン本来のふくよかで温かい音色が魅力的で、多くの愛好者に支持されています。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団以外でも、このウィンナホルンに持ち替えて使用する上級者(プロ)も見受けられます。

 

 

 

ベルに手を差し入れて演奏する奏法の長所と短所

 

ホルンのベルに右手を差し入れて音程を調節する「ハンドストッピング」が確立されたのは、18世紀中頃だと言われています。

 

それまで自然倍音だけで演奏していたホルンが、この奏法によって自由なメロディを奏でることが可能になり、モーツァルトの協奏曲やベートーヴェンのソナタなど数々の名曲が生まれました。

 

当時はまだこの奏法で演奏すると、ベルを塞いだ時と開けた時の音色のバラつきが生じてしまうという弱点がありましたが、このバラつきが楽曲に色彩感を与えるという効果もありました。

 

その後のヴァルブの開発で装備されるようになると、ヴァルブの音程調節によって音のバラつきは無くなりましたが、その分バラつきが楽曲に与えていた効果が減ってしまったことも事実です。

 

 

 

ホルンの右手はどうなっているの?
  • 通常

手が管の延長としての役割を担っている状態。これにより音程のバランスが適正になり、高音域の倍音の並び方も安定します。

  • ハーフミュート

手首を約45°に曲げて半分塞いだ状態。ハーフミュートと呼ばれ、これにより音程が半音から全音下がり音色がこもって暗くなります。

  • ゲシュトップ

手首を90°に曲げてベルを完全に塞いだ状態。ゲシュトップと呼ばれ、これによりF管では音程が半音、B♭管では3/4音上がり音色が金属質の音になります。

  







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