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木管楽器とは|エアリード・リード楽器の原理と仕組み~木管楽器の種類と特徴

 

木管楽器は発生原理の違いによって、エアリード楽器リード楽器に分類されます。

 

エアリード楽器は管の共鳴のみを利用し、リード楽器はリードの振動により音を発生させます。

 

 

 

エアリード楽器

 

エアリード楽器には、フルートのように楽器を横向きに構えて演奏する横笛と、リコーダーのように縦向きに構えて演奏する縦笛があります。

 

横笛も縦笛も、吹く息による空気の流れが管の共鳴をもたらし音が出る仕組みになっています。竹製の縦笛である尺八もエアリード楽器の仲間です。

 

エアリード楽器では、吹く息がエッジと呼ばれる尖がった部分に流れ、空気がエッジに吹きつけられてジェットと呼ばれる空気の流れを発生します。

 

ジェットは楽器の管内に生じる共鳴波によって上下に振られ、ジェットと共鳴波が相互に強め合い安定した演奏音を生み出します。

 

リコーダーでは、狭い吹き口から通る息の流れがダイレクトにエッジに当たり、単純に吹きつける息によって容易に音が出せる仕組みになっています。

 

フルートや尺八などは、単に息を吹きつけるだけでは上手く音が出ないので、自分の唇で息の流れを適切にコントロールしなければなりません。

 

管楽器のピッチ(周波数)は管の共鳴周波数に一致し、管の共鳴周波数は管の長さに反比例します。管の長さが半分になるとピッチはオクターヴ上昇し、管の長さが2/3の長さになるとピッチは完全5度上昇します。

 

フルート、リコーダー、尺八では、一本の管に穴をいくつか開けて、その穴を塞いだり開けたりすることにより管の実質的な長さの調節を行い、共鳴周波数を変化させてピッチをコントロールしています。エアリード楽器の中には、パンパイプのように沢山の管を備えて、各々の管に異なるピッチを割り当てるものもあります。

 

現代のフルートは金属製ですが、かつては木製の楽器であり構造上から木管楽器に分類されます。起源は古代にまで遡り、極めて原始的なものは古代エジプトや古代ギリシャにも見られます。

 

金属製前の木製フルートの原型は、1200年頃にアジアから伝えられたもので、主にドイツやスイスで愛用され民俗舞踊や軍楽用などにも用いられ、管弦楽には1800年頃から加えられました。

 

フルートは洋銀、貨幣銀、真鍮などで作られますが、中には金やプラチナ、プラスチック、ガラス、陶製のものもあります。現在の金属製のフルートの原型は、1847年のパリ万博でテオバルト・ベームが発表したものです。

 

半音間隔に開けた大きな穴をキー操作で塞ぐ構造になっており、演奏の効率化が図られています。穴を直接指で塞いで演奏する構造の木製フルートに比べると、豊かな音量、均質な音質、正確な音程を実現しています。

 

日本と中国の管楽器である竹製の縦笛の尺八は、フルートに比べると現代でも古典的でシンプルな構造ですが、人の指の感覚で直接コントロールするため豊かな表現力を持ち、精神性の高い演奏ができます。

 

エアリード楽器のエッジ

 

フルート

 

リコーダー

 


 

リコーダー

外国語表記

〔英:recorder〕

〔独:Blockflote〕

〔仏:flute a bec〕

〔伊:flauto dolce〕

解説

リコーダーには、一般的に小学校で習うソプラノ・リコーダーの他に、アルト(ソプラノより5度低い)、ソプラニーノ(ソプラノより4度高い)、テナー(ソプラノよりオクターヴ低い)、バス(アルトよりオクターヴ低い)などの種類があります。中世からバロック期にかけて盛んに使用された楽器で、単にフルートというと当時は横笛ではなくリコーダーを指しました。しかし音量が弱いことやピッチが安定しづらいことから次第に衰退していきました。20世紀に教育用簡易楽器として復刻し普及しました。

 

 

リード楽器

 

木管楽器の中のクラリネットやオーボエといった楽器は、リードと呼ばれる木片を震わせて音を発生させ、リードは材料の「葦(あし)」を意味します。

 

一枚のリードを振動させる仕組みになっているものをシングル・リード楽器といい、クラリネットやサキソフォンが該当し、リードを2枚組み合わせて振動させるものをダブル・リード楽器といい、オーボエ、ファゴット、バスーンが該当します。

 

リード楽器という呼称は、これらのシングル・リードやダブル・リードを含めての総称で、どちらも管の共鳴によってリードの振動周波数がコントロールされてピッチが決まります。リード楽器もエアリード楽器と同様に、穴の開閉により管の実質的な長さを変えてピッチをコントロールします。

 

リードの構造

 

 

シングル・リード

 

 

ダブル・リード

 

他にフリー・リードと呼ばれる楽器があり、フリー・リードとは金属などの薄く細い板(リード)を枠に固定し、これに空気や息を吹きつけ板を振動させて音を出す仕組みのことで、この仕組みを利用してメロディを奏でる楽器をフリー・リード楽器といいます。

 

リードにはその形状に応じた固有の発振周波数があり、その周波数がピッチを定めています。フリー・リード楽器にはアコーディオン、ハーモニカ、笙(しょう)などがあり、中国の笙がその起源といわれています。

 

リードの形状に応じた周波数がピッチを定めているので、フリー・リード楽器は出せる音の数だけリードが必要になります。このように複数のリードで形成されているため、和音も奏でることができます。

 

フリー・リード楽器

 

アコーディオン

外国語表記

〔英:accordion/melodeon〕

〔独:Akkrdeon/Handharmonika〕

〔仏:accordeon〕

〔伊:fisarmonica〕

解説

蛇腹の左右の箱に鍵盤やボタンを持つ楽器で、右手側にピアノ式鍵盤やボタン式鍵盤、左側にボタン式鍵盤を持つものが一般的です。両手で抱えるように演奏し、蛇腹を押し引きすることで内部のリードに送風して音を出します。音域や形状、発祥など多種多様で、タンゴで使われるドイツ発祥のバンドネオン(bandoneon)や、六角形の蛇腹を持つイギリス発祥のコンサティーナ(concertina)など、アコーディオン属の民族楽器は世界各地に存在します。

ハーモニカ

外国語表記

〔英:harmonica〕

〔独:Mundharmonika〕

〔仏:harmonica〕

〔伊:armonica〕

解説

19世紀に作られた小型の楽器で、元々は調律用であったといわれています。金属製のリードに息を吹き込むだけではなく、吸うことでも音を出します。大きく分けると単音ハーモニカと複音ハーモニカの2種類があり、さらに単音ハーモニカはブルースハープとも呼ばれる単音10穴のハーモニカ(ダイアトニック・ハーモニカ)とクロマティック・ハーモニカに分類されます。

読み方

〔しょう〕

解説

奈良時代に唐から伝来した日本の自由リードの気鳴楽器で、雅楽に用いる管楽器の一つ。雅楽の唐楽(とうがく)、催馬楽(さいばら)、朗詠(ろうえい)に用います。長短17本の細い竹管を椀(わん)型の「かしら」ともいう匏(ほう)の上面に円形に差し込んだもので、優美なその形は羽を閉じた鳳凰(ほうおう)の姿に似ているため、別の呼称で鳳笙ともいいます。全長約50センチメートル、匏の直径および深さ6~7センチメートルで、匏の前中央に吹口(すいくち)が付いていて吹いたり吸ったりして音を鳴らします。

 

木管楽器

 

フルート

外国語表記

〔英:flute〕

〔独:Flote〕

〔仏:flute〕

〔伊:flauto〕

〔略:Fl.〕

解説

横向きに構える笛で、その歴史は古く、2世紀頃から存在したといわれております。19世紀に指孔を正確に塞ぐベーム式と呼ばれる技術が開発され、それまで木製だった楽器が金属製になりました。3オクターヴの音域を持ち、管弦楽だけでなく、独奏楽器としても活躍しています。

ピッコロ

外国語表記

〔英:piccolo〕

〔独:Kleineflote〕

〔仏:petite flute〕

〔伊:flauto piccolo/ottavino〕

〔略:Picc.〕

解説

小型のフルートで、フルートのオクターヴ上の音が出ます。ピッコロとはイタリア語で「小さな」の意味で、ドイツ語やフランス語もそれぞれ、「小さなフルート」と記されます。また、フルートのオクターヴ上が出ることから、「Ottavino(オッタヴィーノ)」と表記されることもあります。

オーボエ

外国語表記

〔英:oboe〕

〔独:Oboe〕

〔仏:hautbois〕

〔伊:oboe〕

〔略:Ob.〕

解説

ダブル・リードと呼ばれる、薄く削った葦の茎を2枚重ね合わせたものを振動させて音を出します。オーケストラのチューニングで最初に音を出す楽器であり、オーケストラにオーボエが普及したのは、フルートやクラリネットよりも古くからです。

イングリッシュ・ホルン(コーラングレ)

外国語表記

〔英:english horn〕

〔独:Englishes Horn〕

〔仏:cor anglais〕

〔伊:corno inglese〕

〔略:E.hrn.〕

解説

オーボエと同じ構造を持ち、オーボエより5度下の音が出ます。オーケストラでは、オーボエ奏者が持ち替えで演奏することが多く、オーボエより乾いた音色を持ちます。コーラングレと呼ばれることもあります。

クラリネット

外国語表記

〔英:clarinet〕

〔独:Klarinette〕

〔仏:clarinette〕

〔伊:clarinetto〕

〔略:Cl. / Kl.〕

解説

18世紀初めに登場した、木管楽器の中では比較的新しい楽器。シングル・リードという、葦でできたリード1枚を振動させて音を出します。音域が管楽器の中で最も広く、機動性にも優れているため管弦楽だけではなく、吹奏楽でも最も重要な役割を担っています。移調楽器でB管とA管の2種類が主流ですが、古くはC管も存在していました。「小クラリネット」と呼ばれるE管のクラリネットもあります。

バス・クラリネット

外国語表記

〔英:bass clarinet〕

〔独:Bassklarinette〕

〔仏:clarinette basse〕

〔伊:clarinetto basso,Clarone〕

〔略:B.Cl. / B.Kl.〕

解説

クラリネットの1オクターヴ下の音が出る大型のクラリネット。チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」では、「ppppp」のクラリネットから「pppppp」のファゴットにフレーズが移動しますが、ファゴットは楽器の性質上からどうしてもクラリネットよりも小さな音で入るのが難しいため、この部分をバス・クラリネットに代用させて演奏することもあります。

ファゴット(バスーン)

外国語表記

〔英:bassoon〕

〔独:Fagott〕

〔仏:basson〕

〔伊:fagotto〕

〔略:Fag. / Bsn.〕

解説

オーボエと同じダブル・リードの木管楽器。とぼけたような音色が魅力的。2.4mにも及ぶ管を下方で一度折り返して、上方に向けた管と束ねていることから、「薪束」という意味でこの名前が付けられました。

コントラファゴット(ダブル・バスーン)

外国語表記

〔英:double bassoon〕

〔独:Kontrafagott〕

〔仏:contrebasson〕

〔伊:contrafagotto〕

〔略:K.fag. / D.bsn.〕

解説

ファゴットより1オクターブ下の音が出る大型の楽器。この楽器の最低音は管弦楽の中でも最も低い音になります。ベートーヴェンの交響曲第5番で、初めて交響曲に採り入れられ、ベートーヴェンは交響曲第9番でもこの楽器を使用しています。

サクソフォーン

外国語表記

〔英:saxophone〕

〔独:Saxophon〕

〔仏:saxophone〕

〔伊:sassofono〕

〔略:Sax.〕

解説

金属製の楽器ですが、発音原理がクラリネットと同じシングル・リードであるために、木管楽器に分類されます。19世紀半ばにベルギー人アドルフ・サックスによって考案され、主に4種類が管弦楽や吹奏楽、ジャズなどの幅広いジャンルにおいて使用されています。

 

B♭とE♭の移調楽器

 

ソプラノ・サクソフォーン(B管)

<Soprano Saxophone>

実音は記譜より長2度低い。クラシックでの使用は少ないですが、ジャズの世界ではブランフォード・マルサリス等が有名。スティングの「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」で美しい旋律を奏でているのはこの楽器です。

 

アルト・サクソフォーン(E管)
<Alto Saxophone>
実音は記譜より長6度低い。中音域から高音域まで幅広い音域をカバーし、温かい音色から鋭いアタックまで様々な表現力を持ちます。ビゼーの「アルルの女」などで美しいソロ・パートが書かれました。ポピュラーから、クラシック、ジャズまで多様なジャンルに普及しています。ジャズではチャーリー・パーカー、キャノンボール・アダレイ、デヴィッド・サンボーンなどの名手がいます。

 

テナー・サクソフォーン(B管)

<Tenor Saxophone>

実音は記譜より1オクターヴと長2度低い。中音域を受け持ち、ふくよかで温かい音色を持ちます。ラヴェルの「ボレロ」でも使用されています。ジャズではジョン・コルトレーンやマイケル・ブレッカーなどの偉大な奏者が活躍しました。

 

バリトン・サクソフォーン(E管)
<Baritone Saxophone>
アルト・サクソフォーンより1オクターヴ低い音域を持ちます。アルト、テナーに次いでジャズに多用されるほか、吹奏楽の低音セクションとしても重要な地位を占めています。

 

木管楽器の検索

 

その他の管楽器

 

オーボエ・ダモーレ

外国語表記

〔独:Liebesoboe〕

〔仏:hautbois d’amour〕

〔伊:oboe d’amore〕

解説

イングリッシュ・ホルンよりも一回り小さな楽器で、オーボエの短3度下の音が出ます。バロック時代に普及し、バッハの「マタイ受難曲」など幅広く使われ、その後一度は衰退しますが、20世紀になりその甘美な音色に注目したドビュッシー、Rシュトラウス、ラヴェルらの作品に使用されるようになり、「愛のオーボエ」という名称が生まれ復活しました。ラヴェルの「ボレロ」やプッチーニの歌劇「蝶々夫人」などの楽曲で使用されています。

バリトン・オーボエ

外国語表記

〔英:baritone oboe(bass oboe)〕

解説

オーボエのオクターヴ下の音が出る楽器。使用される機会は滅多にありませんが、ホルストの組曲「惑星」にはバス・オーボエと指定されているパートがあります。また、このバリトン・オーボエをさらに改良したヘッケルホーン(Heckelphone)は、R.シュトラウスの楽劇「サロメ」や「アルプス交響曲」などの楽曲で使用されています。

セルパン

外国語表記

〔英:serpent〕

〔独:Serpent / Schlangenrohr〕

〔仏:serpent〕

〔伊:serpentone〕

解説

17世紀から19世紀にかけて使用された低音楽器。蛇のように曲がりくねった木製の円錐管に、カップ型のマウスピースが付いています。発明当初はグレゴリオ聖歌の補強などのために教会で使用され、のちに軍楽隊にも採り入れられましたが、次第に衰退していきます。メンデルスゾーンの交響曲第5番ニ短調「宗教改革」に使用されていますが、現代ではチューバで代用されています。

  




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