音の3要素 【物理/強さ/波形】音色とは
「音」という言葉には二通りの意味があり、波の振動という物理的な音の意味と、聞こえてきた心理的な音の意味があります。
音の性質を決める音の3要素、「音の大きさ」「音の高さ」「音色」、音の3要素は心理的な音の基本的な性質を表したものです。
音の大きさはf(フォルテ)やp(ピアノ)を表現
私たちが普段の生活で耳にする音で「大きい」「小さい」や、「やかましい」「聞こえにくい」といった印象は自然に感じているものです。
このような「大きい⇔小さい」とう音の大きさの感覚の性質は、一次元尺度(直線)上に連続的に位置付けることができます。
音の大きさの感覚は根本的には音のエネルギーと対応し、音の持つエネルギーが大きいほど大きな音を感じることができます。音の大きさは音の3要素の中でも最も単純な性質であると考えられます。
音楽を演奏する場合の音の大きさは、f(フォルテ)やp(ピアノ)などの強弱記号と対応し、f(フォルテ)は大きな音で演奏し、p(ピアノ)は小さな音で演奏することを意味します。
また、音の大きさの変化を表す音楽記号がcresc.(クレッシェンド)とdecresc.(デクレッシェンド)で、クレッシェンドは次第に音が大きく、デクレッシェンドは次第に音が小さくなることを表します。
強弱記号
フォルテフォルティッシモ |
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外国語表記 |
〔伊:fortefortissimo〕 |
意味 |
「極度に強く、大きく」 |
フォルティッシモ |
外国語表記 |
〔伊:fortissimo〕 |
意味 |
「非常に強く、大きく」 |
フォルテ |
外国語表記 |
〔伊:forte〕 |
意味 |
「強く、大きく」 この記号が付けられた部分からは、次の指示まで常に強く(大きく)演奏します。前にpiuを付けたpiu f(ピウ・フォルテ)→「今までより強く、大きく」、前にconを付けたcon forza(コン・フォルツァ)→「力強く」などもあります。 |
メッゾ・フォルテ |
外国語表記 |
〔伊:mezzo forte〕 |
意味 |
「少し強く、大きく」「中ぐらいの強さ、大きさで」 |
メッゾ・ピアノ |
外国語表記 |
〔伊:mezzo piano〕 |
意味 |
「少し弱く、小さく」「中ぐらいの弱さ、小ささで」 ピアノよりも、やや強くという指示。 |
ピアノ |
外国語表記 |
〔伊:piano〕 |
意味 |
「弱く、小さく」 この記号が付けられた部分からは、次の指示まで常に弱く(小さく)演奏します。前にpiuを付けたpiu p(ピウ・ピアノ)→「今までより弱く、小さく」もあります。 |
ピアニッシモ |
外国語表記 |
〔伊:pianissimo〕 |
意味 |
「非常に弱く、小さく」 |
ピアノピアニッシモ |
外国語表記 |
〔伊:pianopianissimo〕 |
意味 |
「極度に弱く、小さく」 |
音の高さ(ピッチ)はメロディの表現
音が「高い」「低い」と感じる音の高さの感覚も、私たちが自然に持つ感覚で音の3要素のうちの一つです。
音の高さの感覚も大きさと同じように、根本的には「高い⇔低い」の一次元的な性質で周波数(1秒あたりに振動する回数)と対応し、周波数が高くなれば音の高さ(ピッチ)も高くなります。
音楽においてのピッチ(音の高さ)は、楽譜の上下方向を表す五線における音符の位置と対応し、周波数の増減に伴いピッチも上下し、楽譜上での音符の位置も上昇したり下降したりします。
但しピッチは音の大きさより少し複雑な性質があり2面性を持っています。それがピッチの直線上昇的な側面と循環的な側面です。
「ドレミファソラシド」と音階に沿ってピッチがオクターヴ上昇したとき、私たちには二通りの感覚が生じます。一つは単純にピッチが上昇している感覚で、これがピッチの「循環的な側面」となり、二つ目は同じ”ド”に到達することで元に戻ってきたような感覚で、これがピッチの「循環的な側面」となります。
ピッチの2面性を統一的に表すと螺旋階段状に表現することができます。螺旋階段の垂直方向が「直線上昇的な側面」を表し、円状の位置表現が「循環的な側面」に相当し、周波数の増加に伴いピッチもこの螺旋に沿って上昇していきます。
螺旋階段状に表現したピッチの2面性
音色は楽器の特色を表現
音色は音の3要素の中で、高さ、大きさに比べ非常に複雑であり、音色は大きさや高さと違い一次元的(直線上)に表現することができない性質を持っています。
音を聞いたときに感じる音の雰囲気や印象を、「明るい」「暗い」「綺麗」「豊かな」「「澄んだ」など様々な形容詞で私たちは表します。
音色はこのような雰囲気や印象を総称したもので、音色が多種多様な印象を含んだものである事から、多次元的な性質であるといわれており、さらに音色には2面性があり、音の違いを区別する識別的側面と音の印象を形容詞で表現する印象的側面とがあります。
「識別的側面」は音楽の演奏を聴いたときに、楽器の音を聞き分ける側面をいいます。「印象的側面」は同じ楽器の演奏音でも、演奏者の質や楽器の質で生まれる違いを区別する側面をいいます。
また、音色に影響を及ぼす様々な性質があり、音のスペクトルや音の成長、減衰パターンやビブラートのような周期的な変化など、音色の違いと対応する音の物理的性質は多様で複雑であるため、音の3要素の中でも音の大きさや高さとは異なります。