シューベルト:即興曲集 D935/Op.142 第2番 変イ長調
イメージの趣くままに紡いだ自由な即興曲集
即興曲集はシューベルト最晩年の作品で、4曲ずつの2組からなる構成で、歌心に満ちた最もシューベルトらしい作品としても愛されています。
シューベルトの才能が自由に彩られたピアノ小品の数々は、ロマン派以降のピアノ音楽の興隆の先駆けになったとも言われています。
その後に続くメンデルスゾーン、ショパン、ドビュッシーといった多くの作曲家たちのインスピレーションの源にもなっていきました。
シューベルトはピアノ演奏の名手ではありませんでしたが、楽器としてのピアノの機能を十二分に理解していたため、正式にピアノを学んでいないにも関わらず、即興曲を始めピアノソナタなど100曲以上にもなるピアノ曲を残しました。
シューベルト以前のピアノ音楽は、モーツァルト、ベートーヴェンなどのピアノソナタが王道として君臨していましたが、シューマンが「ベートーヴェンをも凌ぐ」と評したほどに、シューベルトはピアノ曲のジャンルでも高く評価されています。
第2番の変イ長調はアレグレットの4分の3拍子の楽曲で、中間部にトリオを持つ三部形式で書かれています。アレグレットとは言え、どちらかと言うとゆったりとした感情豊かな音楽と言えます。