歌曲 「月の光」 Op.46-2
フォーレらしい伴奏のピアノフレーズが印象的な歌曲
「月の光」は、1887年の作品の歌曲集『2つの歌』(Op.46)の第2曲で、ヴェルレーヌの詩による作品であり、フォーレはこの作品以後の7年間、ヴェルレーヌの詩に注力して作曲するようになります。
そのヴェルレーヌの詩に曲を付けたフォーレの作品には、「月の光」、「憂鬱」、歌曲集「5つのヴェネツィアの歌」、歌曲集「優しき歌」、「牢獄」など、ヴェルレーヌの詩に曲を付けたフォーレ作品が数多く残されています。
ドビュッシーやラヴェルも、ヴェルレーヌの詩に作曲した作品を残しており、中でもドビュッシーの名曲「月の光」(1882年)は特に有名です。
ヴェルレーヌ(Paul Marie Verlaine/1844-1896)とは、マラルメやランボーらと共に、象徴派を代表するフランスの詩人で、「叡智」「言葉なき恋歌」「艶なる宴」などの代表作で知られています。
訳詩としては、明治の文学者である上田敏による訳詩集『海潮音』が有名で、特にヴェルレーヌ「秋の歌(落葉)」の訳詩は、「秋の日のヴィオロンのためいきの身にしみてうら悲し」の出だしで広く親しまれています。
掴み所のないリズムと旋律の何とも言えない不思議な楽曲で、メロディアスであり叙情的な他ではあまり見られない感じの楽曲です。