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交響曲第1番 ハ短調 Op.68 第4楽章 [CODA]

 

 

次元を超えた華やかで壮大なコーダ

 

ベートーヴェンの9曲の交響曲に続くものという意味で、ビューローが「第10」と呼んだ『交響曲第1番』は、4つのブラームスの交響曲の中で、最も愛され演奏される機会も多い作品です。

 

ベートーヴェンとブラームスの間に見られる形態上の幾つかの類似点はあるとしても、両者の間では本質的にその拠り立つ基盤は異にしています。

 

ベートーヴェンにあっては、「苦悩を通して歓喜に至る」という意味に象徴される克己性、苦難を乗り越えて行こうとする理念に重点が置かれていて、これはある程度まで彼自身の運命を反映させたものですが、同時にそれは人間一般に関わる理念として、人間的理想を謳った世界観たるべきものでした。

 

それに対してブラームスの作品では、このような普遍性に向かう傾向ではなく、ブラームス自身の内的経験が前面に出されています。またベートーヴェンが古代の古典の伝統を汲んだ、汎ヨーロッパ的創作姿勢をとったのに対して、ブラームス作品はドイツの市民的世界に属するものであると言えます。

 

『交響曲第1番』はかなりの長い年月をかけて作曲されていますが、このような面から端的に言えば、彼の前にはベートーヴェンの9曲の交響曲が厳然として存在していたと言えるでしょう。

 

第1番の第4楽章のコーダは、交響曲史上で最も壮大であるとも言われていて、序奏のトロンボーンとファゴットのコラールがファンファーレとして全オーケストラに奏でられ、次元を超えた歓喜を迎え華やかに曲が閉じられます。

 

 

 
  




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