各楽器の特性や吹きやすさを知る
フルート
- 横に構える楽器なので、正しい持ち方をしないと腕や指に負担がかかる。
- 腕や指が極端に小さい方は、無理なく構えることができるかどうかをチェックする。
- 演奏している見映えの優雅さとは反対に、息を吹き込んだ際の抵抗がないので意外に肺活量を必要とする。
- 抵抗がないため圧力の面で顔や頭に血が上ると言ったことがないので、年配者の方でも無理なく音を出すことができ、遅く始めてもあまり苦労せずに上達し、永く音楽を楽しむことができる。
- 管楽器の中ではフルート奏者の割合が高いため、楽譜が充実している。
- 他の管楽器よりも華やかな面を要求される楽器なので、上級者向けの楽曲を演奏するためには繊細で難しい技巧が必要になる。
こんなタイプの楽器もある~U字型頭部管
どうしても手が届かないという方のために、U字型に曲げられた頭部管もあります。これを本体に装着することによって、指の位置が大幅に近くなり無理のない構え方が可能になるので、体格の小さいお子さんがフルートを始める際などには最適です。
オーボエ
- 管が細く抵抗が強いため高い緊張を強いられますが、その分息が入らないこともあるので息は予想以上に長続きする。
- 息が余ってしまうことが多いので、場合によっては吸う前に息を捨てなければいけないこともある。
- キーの構造がクラリネットやフルートよりもコンパクトで、直に指で孔を押さえる必要がないので、手が小さい方でも安心して取り組める。
- リードを自作する必要があって時間と労力を要するので、プラモデルや手芸など器用な作業が好きな人に向いている面がある。
- リードを完成させる達成感と、思い通りの音が出たときの充実感は、他の楽器では味わうことができないものである。
- オーボエの活躍の場は、ジャズや吹奏楽では限られた扱いになりますが、オーケストラでは大活躍する楽器なので、クラシックが好きな人にはお薦めの楽器である。
クラリネット
- 下の歯を下唇で巻いた形でマウスピースを噛むので、その時に下の歯並びが悪くて痛みを感じる場合は適さないこともある。
- 専門の歯医者さんに頼むと補正器具を用意してもらえることもあるので、相談することで解決できることもある。
- クラリネットは楽譜に記譜されている音符と、実際に出る実音が異なる移調楽器なので、絶対音感がある人は少し戸惑うこともある。
- 慣れてしまうと異なる調の楽器も同じ読み方で演奏することができるので、他の楽器より気楽に演奏できることもある。
- その他の木管楽器とは異なり、トーンホール(指孔)を直に指で押さえなければいけないので、指先が小さい方は少し苦労する面がある。
- オーケストラで演奏する場合は、通常のB♭管より半音下がるA管も使用するので、B♭管より少し本体が長いため、念のために指が届くかどうかを試してみる。
- 吹奏楽、オーケストラ、ジャズと幅広いジャンルで楽しむことができる楽器なので、音楽全般が好きな人にお薦めの楽器である。
ファゴット
- リードはある程度の大きさがあり抵抗も強くないため、初心者の方でも案外すぐに音を出すことができるので、スタートが遅くても比較的容易に始めることができる。
- 構造上楽器の音程が不安定なので、自身で替え指を模索して正しい音程を生み出していかなければいけないのが難点ですが、手作り感があって楽しいところであるとも言える。
- 基本的にファゴットの楽譜はヘ音記号の実音表記ですが、チェロやトロンボーンと同じように、高音域ではハ音記号のテノールを読む必要がある。
- ジャズやポップスの譜面を探すのは難しいかも知れませんが、チェロやトロンボーンの楽譜は探すと良い曲がたくさん見つかることがある。
- ファゴットの活躍の場はオーボエと同じように、ジャズや吹奏楽では限られたものになりますが、オーケストラや室内楽では欠かせない楽器で、演奏者の数も少ないことがある。
サクソフォン
- クラリネットと同様に、下の歯を下唇で巻いた形でマウスピースを噛むので、その時に下の歯並びが悪くて痛みを感じる場合は適さないこともある。
- 専門の歯医者さんに頼むと補正器具を用意してもらえることもあるので、相談することで解決できることもある。
- 他の楽器よりも操作性が良く機能的な構造で作られているので、音が出しやすく指使いもリコーダーに似ていて容易である。
- 同じ楽器でもクラシックとジャズでは随分と音が異なるので、自身が求める音のイメージをしっかりと持っておく必要がある。
- 使用する楽譜はソプラノとテナーは変ロ調(in B♭)のト音記号、アルトとバリトンは変ホ調(in E♭)のト音記号になるので、実音とは異なる移調楽譜を読む必要がある。
- サクソフォンの活躍の場は、オーケストラでは少ないことがありますが、ジャズや吹奏楽では大活躍する楽器である。
- ジャズを演奏する場合は、クラシックとは若干異なるマウスピースとアンブシュアが要求されるので、それに対応する必要がある。
トランペット
- マウスピースの口径が小さいもので高い音を演奏するので、マウスピースを唇に当てたときに違和感がなく、痛みを伴わない歯並びや唇を備えていることが望まれ、健康な歯の管理も不可欠である。
- 高い音域を演奏する場合はオーボエと同様に、顔や頭に高い緊張を強いられますが、その状態をできる限りリラックスした状態で作ることができれば、トランペットに向いていると言える。
- オーケストラでは吹奏楽やジャズで用いる変ロ調の譜面(in B♭)だけではなく、様々な調性の譜面を読み替えて演奏する必要がある。
- トランペット本体もB♭管だけではなく、音色やレパートリーに合わせて様々な調のトランペットや、ロータリーバルブ式のトランペットなどに持ち替える必要がある。
- ジャズではフリューゲルホルンも必要不可欠になりますが、トランペットは基本的にB♭管のみで対応することができ、多彩な音色の変化には何種類もあるミュート(弱音器)で対応することができる。
ホルン
- 楽器を構えた際に吹き込み口を真っ直ぐ前に保ちながら、右手を正確にベルの中に挿入しなければいけないので、手が短い場合は少し苦労することもある。
- ベルの中に差し入れる右手の大きさや形で、音程や音色が変わってくるので、その点をしっかりと認識した上で演奏する必要がある。
- 小さなマウスピースで低い音域を演奏しなければいけないので、下唇の柔軟性が求められる。
- トランペットで高音域が出せる人でも、ホルンに転向して低い音域を出す場合に苦労するケースも多くある。
- 吹奏楽では基本的にF管のへ調のト音記号を読めばいいのですが、オーケストラではトランペットと同じように、色々な移調楽譜を読み替えする必要がある。
- 初めは大変で苦労しますが、移調で記譜されていることでフラットやシャープが減るので、慣れた場合は読みやすくなる。
トロンボーン
- スライドを最長に伸ばした場合に手が届くかどうかが重要で、リーチが短い方は不利な面がありますが、スライドにヒモを付けたり、Fアタッチメントを利用することで克服することは可能である。
- 左手だけで楽器を支えているので、慣れるまでは重くて負担に感じることがある。
- バストロンボーンは特に重いので、ある程度の腕力がある方でないと、余裕を持って演奏することができないこともある。
- オーケストラで演奏する場合は、通常用いるヘ音記号以外に、テノールやアルトのハ音記号の楽譜を読まなければいけないので、これらの記号に慣れておく必要がある。
- オーケストラの古典レパートリーを演奏する場合、テナートロンボーンよりも短いアルトトロンボーンを演奏することもある。
- ジャズではクラシックで用いるタイプよりも、管の細いトロンボーンを使用する演奏者が多いですが、これらの細管トロンボーンにはFアタッチメントが装備されているモデルはあまりないので、低音域を演奏する際は遠いポジションもフル活用する必要があります。
こんなタイプの楽器もある~コンパクトトロンボーン
リーチが短く遠いポジションが届かない方のために、通常のタイプよりも少し小型のコンパクトトロンボーンがあります。
このコンパクトトロンボーンは、親指で操作するヴァルブを押したときに、通常通っている迂回管を通らなくする構造のタイプで、全音分短いC管になるというものです。
遠いポジションを避けるために、ヴァルブ装置の切り替えを逆にして、レバーを押したときに管を短くする発想の楽器です。
ユーフォニアム
- ユーフォニアムはサクソフォンと同様に、19世紀生まれの楽器なので、どなたでも演奏しやすいように操作性が優れ機能的に作られている。
- マウスピースの大きさはトロンボーンと同じで、無理をしない程度に音を出すことができる。
- 背の小さな子供の場合は、楽器を直に膝に置いてベストの高さになりますが、大人の場合は膝に置くとマウスピースの位置が低くなり姿勢が悪くなることもある。
- 正しい姿勢で構えるためには、楽器を持ち上げながら支えなければならないので、ある程度の腕力が必要である。
- ユーフォニアムには第4ヴァルブを右手の小指で操作するタイプと、左手の人差し指で操作するタイプがあり、どちらのタイプもヴァルブに無理をしない程度に手が届くかどうかをチェックする。
- ユーフォニアムの見せ場はサクソフォンと同様に、オーケストラでは限られた扱いとなり、基本的には吹奏楽で活躍する楽器となる。
チューバ
- 他の楽器に比べて管が太くて長いので、当然ながら豊富な息の量が必要となる。
- 同じチューバでも色々な大きさがあるので、自身の体格に合っているものを選択することが大切である。
- 大型の楽器で基本的に椅子や膝に置いて演奏するので、構えた際にマウスピースが適正な高さのポジションに位置するかどうかの確認と、ヴァルブを無理しない程度に操作することができるかをチェックする。
- オーケストラやアンサンブルでは、チューバを何種類か使用することもあるので、移動の際は車を利用するのが便利で、複数のチューバを収納できるタイプの車を選ぶことも忘れないようにする。
- チューバの楽譜は、金管バンドを除いて基本的にはヘ音記号の実音表記で、チューバは様々な調性の楽器を持ち替える可能性があるので、フレキシブルに対応する必要がある。