音楽療法の機能
音楽が心を癒し病気を治療する効果は、音楽療法として医療にも活用されています。
音楽療法士は患者に合った音楽を調合して心を動かし、患者の自己治癒力に働きかけます。
音楽で病気を治療する
音楽療法が求められるものとして「修復」「向上」「維持」「方向転換」「予防」「クオリティ・オブ・ライフの向上」の6つの機能が挙げられます。
効果の例では、歩けなくなった人たちへの歩行訓練などで音楽療法の効果が認められる修復であったり、知的障害などを持った人たちに実際に演奏してもらい、新しいことにチャレンジして意欲を高める向上といったように、音楽療法が効果を上げています。
その他では病気や老化の影響を食い止め現在の機能を維持するために、音楽によって脳に刺激を与えることが効果的であり、また心地よい音楽で痛みなどが和らぐ方向転換の効果も音楽療法の機能です。
音楽により免疫力を高めることができるので、音楽療法は予防医学にも貢献します。
さらに、音楽によりクオリティ・オブ・ライフの向上(人生の質)を高めることは、音楽療法を通して活躍する音楽のチカラの究極的機能といえます。
音楽が心を動かすチカラは医療の分野でも十分な役割があり、音楽療法(ミュージック・セラピー)は疾病や障害のある人の治療に音楽を援助的に活用し、心を癒す手助けとなっています。
音楽家と精神科医が協力して行う近代的な音楽療法は、20世紀に入りアメリカで始まりました。1950年には音楽療法士という名の職業がアメリカで生まれ、1983年には全米認定音楽療法士という資格制度もスタートしています。
音楽療法士は患者の好みやその日の体調や気分、音楽経験などを考慮して適切な音楽を選択しなければなりません。そのため音楽療法士は、幅広く音楽に精通しておく必要があります。
また、患者の状況が思いもよらない変化をすることがあり、要求が変わることもあります。その状況や要求の変化に応じて、音楽療法士は音楽を展開していかなければなりません。そのためには、即興演奏や編曲の能力、転調や移調を行える能力、「歌える」能力を必要とします。