音脈分凝

物理的には1つの時系列として離散的に並んでいる音を、脳が複数の別の音脈として聞き入れる現象を音脈分凝といいます。

音脈分凝【ストリーム・セグリゲーション】

高低の周波数が急激に交互に変化する時系列がある場合、高低の周波数が交互に聴こえるのではなく、高い周波数と低い周波数が別の流れ(音脈)を作り出し、2つの別々の音脈として聴こえる現象を音脈分凝(ストリーム・セグリゲーション)といいます。

音程が小さい2つの音を繰り返し聴くと、上下運動の変化を感じ取ることができます。ところが、音程が大きくなり2音の繰り返しが速くなると、上の高い音の繰り返しと下の低い音の繰り返しが、別々の音のまとまりとして聴こえてきます。

同じピッチの音同士による「近接の要因」が働いて、それぞれのゲシュタルトを形成し、そして物理的には2音の繰り返しパターンであるにも関わらず、低音部と高音部の2つの独立した音の流れが聴こえてくるのです。

一般的に音脈分凝はテンポが速いほど発生しやすくなりますが、繰り返される2音の音程が全音以下の場合には、テンポを速くしても音脈分凝が起こることはなく、ピッチが変化する1つの音の流れだけとして聴き入れられます。

二つの音脈の周波数差と刺激間の時間間隔との組み合わせの条件によって、音脈分凝を生じさせることができますが、周波数差を大きくしたり刺激間の時間間隔を短くすることで、音脈分凝を発生させやすくすることができます。

また、二つの音脈の音圧レベルを変化させることでも音脈分凝を起こすことができ、音脈分凝の現象が起こる要因としては、2つの音の音程が短3度以上隔たる必要があります。

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